【4668】明光ネットワークジャパン/昨今のFC直営化路線が完全に裏目、1年で純資産50億円減。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4668】明光ネットワークジャパン(東証1部) NT

現在値 581円/100株 PER54.0 PBR1.54 2月配当8月配当優待

小中高向け個別指導の明光義塾をFC軸に展開。『東京医進学院』も。
配当金は2月・8月の合計で10円のため、配当利回りは約1.72%となります。

明光ネットワークジャパンは株主優待制度を導入しており、単元保有の8月末株主に対し、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.58%となります。なお3年以上保有を継続した場合に限り、1,000円分が追加となりますので、その場合の同利回りは約5.16%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年8月期 売上高 193億円、経常利益 28.0億円 EPS 76.9円

■2018年8月期 売上高 191億円、経常利益 15.5億円 EPS 24.7円    

■2019年8月期 売上高 199億円、経常利益 19.0億円 EPS 36.0円   

■2020年8月期 売上高 182億円、経常利益 4.5億円 EPS▲85.2円  

■2021年8月期 売上高 183億円、経常利益 3.1億円 EPS 10.7円 ce   
□2020年2月中 売上高 93.0億円、経常利益 6.8億円 EPS 13.2円 ce    

2020年8月期の売上高は前期比8.8%減の182億円、経常利益は同76.3%減の4.5億円となり、期初段階から2桁幅での減益を予想していたものの、更にそれを大きく下回る落着となりました。直営セグにおいては、2019年2月末に買収したKMG社のFCの直営化が巡航したほか、FCからの譲受による教室増があったものの、新型肺炎禍による通常期間の休講や、その代替として好採算の夏期講習の減少を余儀なくされたことから採算性が急悪化しました。FCセグについても、直営教室への振替や構造的な生徒数減少傾向により、教室数が純減99教室となる1,441教室まで減少し、ロイヤリティ収入が一段と減少しました。また日本語学校事業についても入国制限の影響を色濃く受けたほか、学童・スポーツ等事業も営業縮小を余儀なくされました。

 

進行期である2021年8月期の予算については、売上高が0.4%増の183億円、経常利益は同29.4%減の3.1億円と連続減益を見込んでいます。直営・FCともに実績期で生徒数を大きく減少させていることから、期初の低調な滑り出しから、下期にかけて徐々に生徒数を回復させて概ね横ばい圏で推移させていく計画とみられますが、通年寄与が期待される春先の入会数が前年の65%程度だったため、既に予算比ビハインドの懸念が燻ります。利益面については、のれんの一括減損実施により、期当たりののれん償却額が約4億円軽減されることや、不採算教室の閉鎖一巡により利益が改善しやすい構造にはあるものの、入国制限の続く日本語学校事業が大きく足を引っ張ることから、全社トータルでは減益幅が拡大する見通しを示しています。

 

終わった2020年8月期はは4年中計の最終年度であり、4年間で売上高225億円(CAGR4.5%)、営業利益36億円(CAGR14%)まで引き上げる計画となっていましたが、構造的な生徒数の減少により、新型肺炎禍なくとも未達公算が高い状況でしたが、結局は壊滅的なマイナス成長で終了となりました。本中計期間では、少しでもトップラインを膨らませるべくメガFCの直営化を推進し、2014年にMAXIS社、2018年4月にはケイライン社(年商8.5億円・営業益0.5億円)を6億円で買収、同年12月にKMG社(年商10.5億円・営業益僅少)を3億円で買収しましたが、いずれも多額の“のれん代”つきであったため、昨今の新型肺炎禍ではその減損を余儀なくされてしまい、全て裏目に出てしまった格好となります。

 

今後の取組としては、今秋より教室運営の新基幹システム「GAIA」の稼働開始を予定しており、高効率化や営業強化を進めるほか、これまでzoomを活用していたオンライン授業を独自システムに切り替えるといったオーガニックな梃入れ策を進めます。また、提携先のスプリックス(7030)が開発した教育ITを活用した個別指導業態「RED」や、三者割当増資を引き受けた教育ベンチャー「tyotto塾」のFC開拓を進め、これらのFCは初期負担が少ないことから、既存フランチャイジーに限らず全国で加盟営業を進める方針です。


財務状況については実質無借金を継続しており、70億円もの現金(この他に有価証券約20億円あり)を抱えているため、依然として高水準の財務余力をキープしていますが、上述ののれんの減損を▲23億円にくわえ、ベンチャー投資先の評価損も▲5億円計上したこと等から、たった1年で純資産が▲50億円も毀損しています。そのため今期は更に減配し、年10円配当を予想していますが、これでも配当性向100%近い水準のため、資本政策上仕方ない判断かと思われます。

 

*参考記事① 2020-01-09  1,020円 NT

【4668】明光ネットワークジャパン/相次ぐFC直営化も浮上兆し見えず。

 

*参考記事② 2018-12-25 887円 OP

業績ジリ貧で、上場来初めての減配へ・明光ネットワークジャパン(4668)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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