【4668】明光ネットワークジャパン/相次ぐFC直営化も浮上兆し見えず。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4668】明光ネットワークジャパン(東証1部) NT

現在値 1,020円/100株 PER32.6 PBR1.91 2月配当8月配当優待

小中高向け個別指導の明光義塾をFC軸に展開。『東京医進学院』も。
配当金は2月・8月の合計で30円のため、配当利回りは約2.94%となります。

明光ネットワークジャパンは株主優待制度を導入しており、単元保有の8月末株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.92%となります。なお3年以上保有を継続した場合に限り、2,000円分が追加となりますので、その場合の同利回りは約5.88%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年8月期 売上高 186億円、経常利益 23.2億円 EPS35.2円    
■2017年8月期 売上高 193億円、経常利益 28.0億円 EPS76.9円

■2018年8月期 売上高 191億円、経常利益 15.5億円 EPS24.7円    

■2019年8月期 売上高 199億円、経常利益 19.0億円 EPS36.0円(10/10)   

■2020年8月期 売上高 210億円、経常利益 16.9億円 EPS31.6円 ce   
□2020年2月中 売上高 106億円、経常利益 11.3億円 EPS22.2円 ce    

2019年8月期の売上高は前期比4.5%減の199億円、経常利益は同22.4%増の19.0億円での落着となり、期初予想はやや下回ったものの2割強の増益を確保しました。直営セグにおいては、前期に買収したフランチャイジーのケイライン社の巡航化や、期中に買収したKMG社(※後述)の一部寄与によるFCセグからの教室数の振替が寄与して2桁の増収となったものの、新たにのれん代の償却が発生したため、利益伸長は限定的となりました。一方のFCセグについては、直営教室への振替とS&B施策継続により、教室数が純減121教室となる1,540教室まで減少し、ロイヤリティ収入が更に減少したものの、前期に計上したブランディング関連広告費が3億円以上剥落したため、結果としてその広告費の未消化が全社業績を下支えした格好となります。

 

進行期である2020年8月期の予算については、売上高が5.2%増の210億円、経常利益は同11.4%減の16.9億円を見込んでいます。直営セグについては、昨年2月末に買収したKMG社のFCの直営化が巡航で寄与し、トップラインに10億円程度オンされるため増収に転じる見通しです。一方、利益面については、戦略投資費用を4億円(イントラ・ICTコンテンツ開発費1.5億円、英語関連1.5億円、新業態開発1.0億円)を投じるほか、KMG社の買収により新たなのれん代が2.5億円発生したため、年間の償却額は約5億円にまで上昇し、増収による増益分を食って減益に転じる見通しです。

 

今期は4年中計の最終年度の位置付けとなっており、4年間で売上高225億円(CAGR4.5%)、営業利益36億円(CAGR14%)まで引き上げる計画となっていましたが、今期の予算は表記の数字よりもかなり低い水準でセットされていることから、実質的に断念したものとみられます。生徒数の減少はいまだ歯止めがかかっておらず、数年来13万人超で推移していた生徒合計数も、直近期末では11万人超にまで減少している状況であり、足許ではやや減少のピッチが緩やかになってきたものの、浮上の兆しが見えない状況が続いています。

 

この生徒数の減少に対して当社は、メガFCの子会社化(当社直営化)を推進しており、2014年のMAXIS社を皮切りに、2018年4月にはケイライン社(年商8.5億円・営業益0.5億円)を6億円で買収したほか、同年12月にKMG社(年商10.5億円・営業益僅少)を3億円で買収して傘下に収めています。いずれも年商10億円級のメガFCですが、表記のとおり利益が殆ど出ていないため救済的な色合いも強く、かつ“のれん代”付きでの買収となっているため、実際は買収によりトップライン自体は伸びるものの、のれんの償却が増えるばかりで利益寄与は殆どなく、見えがかり上の図体のデカさだけは維持されるものの、当社株のバリュエーションだけが悪化する一方となっています。

 

なお、こうしたFC直営化といったある種“付け焼き刃”的なもの以外では、同業のスプリックス(7030)と提携し、同社が開発した教育ITを活用した個別指導業態「RED」のフランチャイジーを開拓していく計画です。当社としては格下の相手と組むことになるものの、「RED」は月謝6,000円台~という圧倒的な低価格を実現しているため、全国展開していて地方教室も多い当社としては得意なFCビジネスに乗せやすいという判断かと思われますが、利益貢献には時間がかかりそうです。


財務状況については引き続き鉄板状態であり、ほぼ無借金ながら74億円もの現金(この他に有価証券と長期預金合わせて約44億円あり)を抱えているため、依然として高水準の財務余力をキープしています。ひところはこの好財務を活かし、「配当性向目標80%基準」で積極的な株主還元が実施されていましたが、足許では業績低迷を受けて年30円配にまで切り下げており、今期も配当性向は予想を据え置いていますが、配当性向は図らずも80%超えてしまっている計算となるため、この辺の還元水準がいっぱいいっぱいと考えています。

 

*参考記事① 2018-12-25 887円 OP

業績ジリ貧で、上場来初めての減配へ・明光ネットワークジャパン(4668)。

 

*参考記事② 2017-11-29  1,320円 NT

生徒数減でジリ貧も、余裕の20期連続増配へ・明光ネットワークジャパン(4668)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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