業績ジリ貧で、上場来初めての減配へ・明光ネットワークジャパン(4668)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4668】明光ネットワークジャパン(東証1部) ---

現在値 887円/100株 PER23.0 PBR1.65 2月配当8月配当優待

小中高向け個別指導の明光義塾をFC軸に展開。『東京医進学院』も。
配当金は2月・8月の合計で30円のため、配当利回りは約3.38%となります。

明光ネットワークジャパンは株主優待制度を導入しており、単元保有の8月末株主に対し、

1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.09%となります。

なお3年以上保有を継続した場合に限り、2,000円分が追加となりますので、その場合の

利回りは6.72%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年8月期 売上高 187億円、経常利益 38.0億円 EPS85.8円  
■2016年8月期 売上高 186億円、経常利益 23.2億円 EPS35.2円    
■2017年8月期 売上高 193億円、経常利益 28.0億円 EPS76.9円

■2018年8月期 売上高 191億円、経常利益 15.5億円 EPS24.7円    

■2019年8月期 売上高 203億円、経常利益 19.4億円 EPS38.4円 ce   
□2019年2月中 売上高 102億円、経常利益 12.8億円 EPS25.9円 ce    

2018年8月期の売上高は前期比1.4%減の191億円、経常利益は同44.5%減の15.8億円での

落着となり、ついにトップラインが減少した上、期初予想に対しても大幅未達となりました。

直営セグにおいては、FCセグからの教室数の振替(後述)により教室数は増加したものの、

ICTを用いた先進的学習方法への切替を進めた結果、営業が手薄となり、生徒数の回復

が遅れました。またFCセグに関しても、直営教室への振替と、S&B施策継続により、教室

数が前期比純減85教室となる1,661教室まで減ってしまった結果、ロイヤリティが落ち込み

ました。特に利益率も利益寄与度も高いFCセグが苦戦しており、新規オーナーの開拓も進

んでいないことから、全社の減収幅に比べて減益幅がより鋭角的となっています。

 

進行期である2019年8月期の予算については、売上高が6.3%増の203億円、経常利益は

24.5%増の19.4億円と反転を見込んでいます。直営セグについては、4月に買収したFCの

直営教室への振替がフルで寄与し、トップラインに10億円程度オンされるほか、利益面に

ついては、昨年から本格導入した双方向型指導方式である「MEIKO式コーチング」の導入

効果発現と、初年度に内村航平選手を起用して大量投入したTVCMやWebプロモーション

費用が減少するため、浮上する見通しになっています。

 

今期は2020年8月期を最終年度とする中計の3年目となっており、4年間で売上高225億円

(CAGR4.5%)、営業利益36億円(CAGR14%)に引上げる計画となっていますが、依然として

生徒数の減少に歯止めがかかっておらず、数年来13万人超で推移していた生徒合計数も、

年を追うごとに減少ピッチが加速しており、足許では年間▲5千人ピッチという強烈な幅で

減少しているため要注意と言えます。これに対して当社は、メガFCの子会社化(※直営化)

を推進しており、2014年のMAXIS社を皮切りに本年4月にはケイライン社を、足元12月に

はケイ・エム・ジー社をそれぞれ買収して傘下に収めています。いずれも年商10億円水準

のメガFCですが、相手先の相続絡みの買収というよりは、利益が殆ど出なくなったところを

救済的に買収している印象です。しかも“のれん”付きでの買収となっているため、当社側

としても、直営化により「MEIKO式コーチング」を導入させることによる抜本的な収支改善

を楽観的に見越して買っている印象も受けます。そのため、このような“高値タコ足喰い”の

ような買収政策で、中計で目標とする売上高まで届くことがあっても、のれんの償却も相俟

って、利益が全く伴ってこない可能性はかなり高いと言わざるを得ません。

そんなわけで、事業展開の先行きに明るさはみられないものの、依然財務は鉄板であり、

無借金ながら65億円もの現金(※このほかに有価証券と長期預金合わせて40億円あり)を

抱えているため、依然として高水準の買収余力をキープしています。また、好財務を活か

した株主還元に関しては、「配当性向目標80%基準」が事実上撤回され、今期は増収増益

予算にも拘わらず、期初時点から年42→30円配へと大幅な減配を予想しており、上場来

初めての減配となる見通しです。現段階ではまだ吐き出せる状況なので、このタイミング

で大幅減配というのは案外でしたが、本業のジリ貧化に備えてMAなどの資金需要がある

ものとして、一応前向きに評価するようにはしたいと思います。

 

*参考記事① 2017-11-29  1,320円 --

生徒数減でジリ貧も、余裕の20期連続増配へ・明光ネットワークジャパン(4668)。


*参考記事② 2016-11-28 994円 ---

労務費増加で減益も、連続増配は継続へ・明光ネットワークジャパン(4668)。

 

 

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