【3048】ビックカメラ/日興証券会長、コジマ社長を歴任した木村一義氏が代表就任。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3048】ビックカメラ(東証1部) OP

現在値 1,107円/100株 PER24.6 PBR1.42 8月配当優待 2月配当優待

家電量販大手。ターミナル駅周辺で大型店。傘下にソフマップ・コジマ。
配当実績は2月末・8月末の合計15円のため、配当利回りは1.36%となります。

ビックカメラは株主優待を実施しており、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対し、年3,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.84%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約5.87%まで上昇します(配当金は年15円出るものと想定)。

業績を確認していきます。  
■2017年8月期 売上高 7,906億円、経常利益 243億円、EPS 74.2円 

■2018年8月期 売上高 8,440億円、経常利益 292億円、EPS 93.6円 

■2019年8月期 売上高 8,940億円、経常利益 358億円、EPS 79.1円 

■2020年8月期 売上高 8,479億円、経常利益 146億円、EPS 30.9円  

■2021年8月期 売上高 8,960億円、経常利益 170億円、EPS 44.9円 ce 
□2021年2月中 売上高 4,410億円、経常利益 60億円、EPS 15.9円 ce 

2020年8月期の売上高は、前期比5.2%減の8,479億円、経常利益は同43.2%減の146億円となり、売上高・利益ともに期初予算を下回ったものの、中間時点の下方修正水準からは大幅に持ち直して着地しました。新型肺炎が本格化した3月から5月にかけて、休業や時短の影響を受けたほか、インバウンド大幅減で都心店が低調だった一方、郊外店中心のコジマについては定額給付金の追い風もありTV、PC、洗濯機などを中心に堅調に推移したほか、在宅勤務増によりソフマップが底堅く推移しました。出店については、日本橋三越本店に百貨店インハウスで出店したほか、コジマとのWネーム店を稲毛、伊勢崎、高崎、沖縄豊崎に出店しています。また、ラネットは携帯買替需要の増加、BS11は番組制作費の未消化によりそれぞれ増益と確保しています。


進行期である2021年8月期通期予算については、売上高は前期比5.7%増の8,960億円、経常利益は同15.7%増の170億円と反転増を見込んでいます。トップラインについては、単体の都心店はインバウンドの戻りが当分鈍いとみられるものの、“巣ごもり需要”が好調なコジマの下支えが期待されます。従来は営業、EC、総務など8本部制だった体制を3部制に集約することで単体損益の改善に取り組む方針であり、トップライン部分ではECや(傘下のコジマと異なり手薄だった)PB商品の商品開発力の強化、原価部分では電子値札導入による人件費の削減や2,000円以下送料徴収による収益性の改善を図ります。出店については、来春にJR熊本白川ビル、日本橋三越の増床、ららぽーと愛知東郷を予定しています。

 

当社グループ3社(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)は2017年に物流拠点の統合を完了していることもあり、手薄だったEC分野への傾注を深めています。2018年4月には提携先である楽天(4755)と合弁会社“楽天ビック”を設立し、Amazonのコジマ店舗を引き上げるとともに、グループ3社でオムニチャネル型ECを展開し、EC売上高2,000億円を目指しています。終わった期ベースではEC年成長率37%とモメンタムが更に加速しており、EC売上高は1,487億円(構成比17.5%)まで達していることから早晩達成期待がかかるほか、足許では船橋ららぽーと横の三井不動産の物流施設(MFLPⅠ+Ⅱ)を1.7倍まで借り増ししており、棚移動ロボットの高稼働化や、マテハンの導入により更なる取扱可能高の拡大を目指しています。

 

他の成長軸としては、EC売上増や物流施設高度化に付随して好採算の“ロングテール商品”が増えることが期待されるほか、会社側は新たにPB品への注力を明らかにしています。従来は既存メーカーの型番違い品にラベルを付け変えて出していただけのものを、上流工程まで遡って手を入れていく方針(ダサい安家電ではなく、意匠性のあるものにする等)であり、この辺はコジマ社長時代にPB商品の売上割合を大きく増やした木村新社長の肝入り政策であると考えられます。あとはインバウンドの復調といった“他律的な”回復が期待されるものの、まだアテに出来ない状況であるほか、ラ・ネットも大手キャリアによる格安スマホの直販潮流は中長期的には逆風であり、割引要素も多くあります。

 

財務的な観点では、2014年6月に刷ったユーロ/円CB・150億円の償還・転換を完了し、相当程度の増強が済んでいます。その後の2018年に創業者の資産管理会社から139億円(発行済株式の5%)にも及ぶメガトン級の自社株買いを実行し、その後も数十億円規模の自社株買いを実施していますが、自己資本比率は30%弱をキープしており、まずまず安心な状況と言えます。配当が従来の年20円水準から、増配してなお年15円予想に留まっているのは残念ですが、インバウンドが戻れば20円に復元されるものと考えています。

 

*参考記事① 2020-06-18  1,132円 OP

【3048】ビックカメラ/何は無くともEC売上高の成長モメンタム維持に期待。

 

*参考記事② 2019-06-13  1,128円 OP

インバウンド一服も、Paypay効果で穴埋め・ビックカメラ(3048)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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