インバウンド一服も、Paypay効果で穴埋め・ビックカメラ(3048)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3048】ビックカメラ(東証1部) ---

現在値 1,128円/100株 PER11.3 PBR1.49 8月配当優待 2月配当優待

家電量販大手。ターミナル駅周辺で大型店。傘下にソフマップ・コジマ。
配当は2月末・8月末の年2回・合計20円のため、配当利回りは1.77%となります。

ビックカメラは株主優待を実施しており、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対し、

3,000円分(通年合計額)の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.43%とな

ります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加され

るため、配当優待利回りは最大で約6.20%まで上昇します。

業績を確認していきます。  
■2015年8月期 売上高 7,953億円、経常利益 204億円、EPS 39.2円
■2016年8月期 売上高 7,790億円、経常利益 230億円、EPS 65.9円 
■2017年8月期 売上高 7,906億円、経常利益 243億円、EPS 74.2円 

■2018年8月期 売上高 8,440億円、経常利益 292億円、EPS 93.6円 

■2019年8月期 売上高 8,950億円、経常利益 306億円、EPS 99.7円 ce修正 
□2019年2月中 売上高 4,418億円、経常利益 139億円、EPS 46.5円

2019年2月中間期の売上高は、前年同期比6.5%増の4,418億円、経常利益は同3.2%減の

139億円となり、増収減益となったものの、売上高・利益ともに期初の予算を上回りました。

インバウンド売上が低調だったものの、キャッシュレス決済(主にPaypay)のキャンペーン

による押し上げ効果があったほか、PCやゲーム機、ドラム式洗濯機といった時短家電の

販売が上伸しました。また、2月に開業した小田急町田店も上期からフル寄与しています。

子会社のコジマについては、MD改革の奏功により、上期の既存店売上高は毎月100%を

クリアしたほか、EC売上高に関しては前年同期比136%という高水準を達成しました。


なお、2019年8月期通期の予算については売上高のみ中間時点で増額しており、売上高

は前期比6.0%増の8,950億円(従予8,900億円)、経常利益は同4.6%増の306億円(UNCH)

を其々予想しています。下期の名有り新店は、コジマとのダブルネーム店を福岡の三菱

地所の「Mark is」へ出店するほか、当社グループとしては珍しく7&i系の「アリオ八尾」へ

900坪超級で出店する予定となっています。上期は予算比で上振れしつつも、結局減益

で着地となりましたが、これは新物流拠点の稼働や業務効率化のための投資費用を投

じたことに起因するものであり、下期で取り返して、通期では増益で仕上げる計画です。

 

当社グループ3社(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)は2017年に物流拠点の統合を完了

していることもあり、これまで手薄だったEC分野へ注力しています。昨年4月には提携先

である楽天(4755)と合弁会社“楽天ビック”を設立しており、Amazonのコジマ店舗を事実

上引き上げるとともに、グループ3社でオムニチャネル型ECを展開し、今期のEC売上高

は前期比25%増となる1,000億円を突破する見通し(EC化率は約11%)となっています。

 

ただこの好調なEC売上高伸長とは裏腹に、足許ではここ数期の業績を大きく牽引した

インバウンドが低調に推移しているほか、傘下の日本BS放送(9414)の成長もブレーキ

がかかってしまっていることから、連結業績の伸びは今ひとつとなっています。PB製品

の売上占有比増(4.8%→6.1%)といった、全社的な底上げ要素はあるものの、中期的に

見れば業績の踊り場に入ったものとみられます。

 

財務的な観点では、2014年6月に刷ったユーロ/円CB・150億円の償還・転換を完了し、

財務面はある程度の増強が済んでいます。かような背景や、ここ数期の堅調な業績推

移による内部留保の積み上がりもあり、昨年5月には139億円(発行済株式の5%)にも及

ぶメガトン級の自社株買いを、創業者の資産管理会社を実質的な相手先として実行し

ているほか、足許4月でも追加で30億円(同1.4%)を取得することを明らかにしています。

また、配当金についても、実績期から年12円→20円へと大幅な増配へ踏み切っている

ことから、今後はこの辺の還元施策の更なる拡充が投資論点になろうかと思います。

 

ちなみに、当社に大量の持株を自社株買いさせた創業者一族の資産管理会社は、別

名義で片倉工業株を集めている観測もあります。同社は商業施設(用地)を大量に保有

しているので、何らかの意図があるものとみられます。さいたま新都心のコクーンシティ

は当社拠点である池袋からも近いので、様々な憶測を呼ぶところではあります。

 

*参考記事① 2018-12-23  1,414円 ---

自社株買いから大増配を実現、バリュエーション良化で改めて期待・ビックカメラ(3048)。

 

*参考記事② 2018-05-18  1,740円 --

創業家への自社株買いで、総還元性向は100%近傍へ・ビックカメラ(3048)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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