【3048】ビックカメラ/何は無くともEC売上高の成長モメンタム維持に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3048】ビックカメラ(東証1部) OP

現在値 1,132円/100株 PER110.65 PBR1.45 8月配当優待 2月配当優待

家電量販大手。ターミナル駅周辺で大型店。傘下にソフマップ・コジマ。
配当実績は2月末・8月末の合計20円のため、想定配当利回りは1.77%となります(期末は未定)。

ビックカメラは株主優待を実施しており、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対し、年3,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.41%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約6.18%まで上昇します(配当金は年20円出るものと想定)。

業績を確認していきます。  
■2016年8月期 売上高 7,790億円、経常利益 230億円、EPS 65.9円 
■2017年8月期 売上高 7,906億円、経常利益 243億円、EPS 74.2円 

■2018年8月期 売上高 8,440億円、経常利益 292億円、EPS 93.6円 

■2019年8月期 売上高 8,940億円、経常利益 358億円、EPS 79.1円 

■2020年8月期 売上高 8,410億円、経常利益 65億円、EPS 10.2円 ce修正 
□2020年2月中 売上高 4,365億円、経常利益 90億円、EPS 27.5円(4/9)

2020年2月中間期の売上高は、前年同期比1.2%減の4,365億円、経常利益は同34.7%減の90.9億円となり、売上高・利益ともに期初予算を下回りました。冷蔵庫・洗濯機といった白物に増税前の仮需がみられたものの、その後の反動減が想定超だったほか、暖冬による販売減や期末にかけて新型肺炎の影響を受けました。新規出店については、昨年11月に所沢駅前、本年2月に日本橋三越本店に百貨店インハウスの出店を果たしています。一方、子会社のコジマについては、増税前仮需が顕著に顕在化し、上期の既存店売上高は毎月102.9%で仕上がったため、予算クリアとなっています。なお、コジマについてはビックカメラのWネーム店舗をワンズモール稲毛とスマーク伊勢崎を新店を出店しています。


なお、2020年8月期通期予算については中間時点で修正しており、売上高は前期比5.9%減の8,410億円(従予:9,410億円)、経常利益は同74.9%減の65.0億円(従:269億円)にそれぞれ大幅に減額しています。3月の月次売上高が前年比約2割落ち込んだことや、外出自粛に伴う4月・5月の売上減を一定程度織り込んでいるとみられます。また、利益が一段と落ち込むのは商品不足による仕入条件悪化や、旧品販売割合の増加による粗利益率の低下によります。下期の名有り新店については、コジマとのWネーム店をイオンモール高崎とイーアス沖縄豊崎に開業する予定となっています(高崎の方は時期未定)。修正予算自体はかなり屈んではいるものの、新型肺炎の回復状況は会社想定より弱いとみられ、リベート減少も見込まれることから達成は不透明な状況です。

 

当社グループ3社(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)は2017年に物流拠点の統合を完了していることもあり、手薄だったEC分野への傾注を深めています。2018年4月には提携先である楽天(4755)と合弁会社“楽天ビック”を設立し、Amazonのコジマ店舗を引き上げるとともに、グループ3社でオムニチャネル型ECを展開し、EC売上高2,000億円を目指しています。2019年8月期実績ベースで年成長率25%とモメンタムが加速しており、EC売上高は1,080億円(構成比12%)となっていますが、足許の新型肺炎による影響で更にこのECの伸びが期待されるほか、船橋ららぽーと横の三井不動産の物流施設(MFLPⅠ+Ⅱ)を1.7倍に借り増ししており、取扱能力を飛躍的に高めているため、早ければ翌2021年8月期にもこの目標達成が射程に入るものと考えれます。

 

中期的な業績のポイントとしては、この好調なEC売上高の伸長でインバウンド減収分を埋め切れるかどうかという点であり、EC構成比増による“ロングテール商品”販売増で利幅の改善も期待出来ることから、EC化が全ての鍵を握っているといっても過言ではありません。子会社の携帯販売のラネットについては5Gで伸びシロがあるものの、日本BS放送(9414)は想定通りの広告主がつかず苦戦しているため、あくまで本業のEC化によるオーガニックな成長に期待する形となります。

 

財務的な観点では、2014年6月に刷ったユーロ/円CB・150億円の償還・転換を完了し、相当程度の増強が済んでいます。その後の2018年に創業者の資産管理会社から139億円(発行済株式の5%)にも及ぶメガトン級の自社株買いを実行し、その後も数十億円規模の自社株買いを実施していますが、自己資本比率は33%程度をキープしており、財務的には比較的余力が残っています。

そのため、配当金については下方修正のタイミングで期末の予想配当を10円から未定に変更したものの(中間では10円を配当済)、こちらは当初予想どおり配当される目もまだ残されていると考えています。

 

*参考記事① 2019-06-13  1,128円 OP

インバウンド一服も、Paypay効果で穴埋め・ビックカメラ(3048)。

 

*参考記事② 2018-12-23  1,414円 OP

自社株買いから大増配を実現、バリュエーション良化で改めて期待・ビックカメラ(3048)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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