【3030】ハブ/トップライン回復待ちだが、他社比の採算性は高く黒字確保へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3030】ハブ(東証1部) OP

現在値 708円/100株 PER--.- PBR1.83  2月配当優待 

首都圏中心に英国風パブ『HUB』、ウイスキー主体の『82』を展開。外食のロイヤルHD系。

配当基準日は2月・8月の年2回ですが、現時点では配当予想を公表していません。

ハブは株主優待制度を実施しており、2月末の単元株主に対して、1,000円分の食事券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.41%(無配の場合)となります。

業績は下記の通りとなっております。
■2017年2月期 売上高 102億円、経常利益 7.6億円 EPS 44.1円 

■2018年2月期 売上高 110億円、経常利益 7.8億円 EPS 44.2円 

■2019年2月期 売上高 116億円、経常利益 7.9億円 EPS 47.2円 

■2020年2月期 売上高 120億円、経常利益 7.1億円 EPS 41.9円

■2021年2月期 売上高 (未定)億円、経常利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce


2020年2月期の売上高は前期比4.4%増の120億円、経常利益は同9.7%減の7.1億円となり、期初予算を大きく下回ったほか、5期ぶりの経常減益となりました。予算上の既存店売上高を104.5%でセットしていたものの、100.7%に留まったことが主要因です。昨年秋のラグビーW杯に備えて、ビールの仕入を相当程度増やして受入体制を敷いたものの、実際は台風による試合中止が響いて想定以下となったほか、ラグビーに限らず台風休業を強いられたため、特需あれど前年並みに留まりました。出店については、前期持ち越しの2店を含む計画通りの7店(浜松町・福岡ドーム・池袋・渋谷3・渋谷PARCO・リンクス梅田・梅田東通り)の出店を果たしています。


2021年2月期の通期予算については、新型肺炎影響により合理的な算出が出来ないため未定としています。休業期間は4月4日から5月末までの大よそ2ヵ月間であり、3月も時短営業したため既存店売上高は60.8%に沈んでいます。6月16日時点の足許についても、全114店舗中10店舗ほどが再開出来ていないほか、営業時間も短縮していることから、1Q(3月-5月)期間だけでは織り込み切れず、2Q期間(6月-8月)までダメージが続くものと考えられます。そのため既存店の回復実態を確認出来るのは早くても3Q期間(9月-11月)となりますが、当社は同業他社よりフード/酒類比率が低く原材料ロスが比較的少ないことや、バイト繰りが少なくて済むセルフサービス式であることから、トップラインの回復が鈍くとも採算性はある程度保持されるものと考えています。なお、名有り新店として今6月に福岡大名店を出店しています。


今期は本来であれば公表済3年中計の中間年度の位置付けであり、最終年度の2022年2月期に売上高139億円(CAGR6%)、経常利益9.5億円(CAGR6%)を目指していましたが、今次新型肺炎による影響を鑑み、本中計を一旦取り下げています。当初計画では1年に7店ずつ計21店を高速出店し、計画初年度のラグビーW杯で一気に弾みをつける目論見でしたが、新型肺炎により出端を挫かれた格好となり、既存店売上高についても“昼飲み”文化の啓蒙等により、年1%成長する前提を置いていたことから、表記目標水準の達成は困難になったものとみられます。

 

但し、出店に関しては当初計画通り進む可能性が残るものと考えています。これは仙台や名古屋、福岡といった地方中核都市にドミナント化の“シード(核)”となる店舗の出店を済ませているため、今後新型肺炎の影響により廃業する他社・個人の飲食店舗が増えれば、出店機会が大きく広がることに由ります。また既述のとおり当社は酒類中心のセルフサービス方式のため好採算であり、外食大手のロイヤルHD傘下でもあるため、企業体力や空き物件情報収集力が高いことから、(P/Lがついてくるのはだいぶ先としても)業容拡大という観点に限ってみれば好機到来という見方も出来ます。

 

また当社は無借金経営を続けており、時価総額80億円程度の企業でありながら、現金同等物も16億円弱確保し、自己資本比率も7割強と圧倒的な財務健全性をキープしています。そのため、終わった2020年2月期の落着減配(14円→7円)は案外であり、今期も配当予想を未定としていますが、親のロイヤルHDの懐具合等も鑑みると無配転落させることは考えずらく、最終的には7円~10円の程度の幅で有配となる可能性が高いと考えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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