【9946】ミニストップ/業界に先駆けロイヤリティ方式を廃止するも、地力不足感は否めず。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9946】ミニストップ(東証1部) NT

現在値 1,368円/100株 PER--.- PBR1.10 2月配当優待 8月配当優待

イオン系コンビニで業界4位。関東、東海地盤。ファストフードに強み。
配当金(実績)は年2回合計で20.0円のため、配当利回りは約1.46%となります。

ミニストップは株主優待制度を導入しており、2月末・8月末の単元株以上の株主に対し、ソフトクリーム券を5枚進呈していますので、1枚220円換算した場合の配当優待利回りは約3.07%となります。

業績を確認していきます。     
■2017年2月期 売上高 1,969億円、経常利益 22.8億円 EPS  7.4円 
■2018年2月期 売上高 2,069億円、経常利益 11.9億円 EPS▲32.9円 

■2019年2月期 売上高 2,053億円、経常利益 7.4億円 EPS▲31.6円 

■2020年2月期 売上高 1,934億円、経常利益▲21.2億円 EPS▲196.6円 

■2021年2月期 売上高 1,869億円、経常利益▲36.6億円 EPS▲136.8円 ce

□2020年8月中 売上高 918億円、経常利益▲23.7億円 EPS▲91.5円(10/7)


2020年8月中間期の売上高は前年同期比7.8%減の918億円、経常利益は同赤字拡大の▲23.7億円となり、期初予算との比較はないものの減収減益となりました。既存店売上高前提を100.1%水準でセットしていたものの、新型肺炎禍によりオフィス立地や特殊立地(施設内)店舗が大きく影響を受けた結果、底堅いロードサイド立地や好調な住宅立地店舗だけでは埋めきれず、トータルでは94.5%水準に留まりました。商品構成比では、店頭FF品のコーヒーやソフトクリーム、ハロハロといった独自商品が伸長したものの、ソフトドリンクやたばこなど客数と相関しやすい商品が大幅に減少しました。なお総店舗数に関しては、国内横ばい・海外は韓国を中心に減少し、ネット純減35店・期末の総店舗数は5,315店となりました。


2021年2月期の通期予算については、8月11日時点で公表に踏み切っており、売上高は前年同期比3.4%減の1,869億円、経常利益は同赤字拡大の▲36.6億円を予想していますが、此方は期初に参考値として公表された売上高2,020億円、経常利益1.0億円を下回る水準となっています。また、この通期予算公表時点では以降の既存店売上高を95~96%水準まで戻ることを前提としているとみられますが、足許10月は91.1%とかなり低調(前年10月はたばこ仮需剥落や消費増税後なので前年ハードルが相当低い)に推移しているため、早くも未達懸念が燻ります。採算性改善策として、前期から実施している営業時間の短縮や、新生活様式に合わせたMDの変更(100円おにぎりや寿司、酒類の強化)に取り組む方針ですが、いかんせんトップラインの減少が大きく到底埋めきれない見通しです。

 

新型肺炎禍という状況もあり、目下走っている中期経営計画はないものの、中期的な取り組みとして、①PVシフト、②ソフトクリーム事業拡大、③FCモデル刷新、といった戦略を掲げています。①は弁当ベンダーから直接仕入れるよりも好採算であろうイオンのトップバリュ製品への切替、②はブランド力のあるソフトクリームに特化した専門店を集中展開する方針であり、早期100店体制を目指します。現状、この専門店については「MINI SOF」を13店舗(東京3店・神奈川3店・愛知3店・京都2店・大阪2店)出店しているほか、「Softcream Time」というワッフルやスムージーも提供する上級業態を1店舗(リンクス梅田)出店していますが、全体5,000店体制への貢献度という点では無視出来る水準です。

 

また、③についてはコンビニ本部に対する“風当たり”が強くなっていることへの対応として、廃棄弁当やアルバイト人件費・社会保険料、家賃といった店舗運営経費を本部共通化するとともに、営業時間もオーナー側の意向を汲むスキームを導入し、FC加盟店の士気向上を図る方針です。実際に9月には“パートナーシップ契約”という従来のFC契約を廃し、粗利に対してチャージする所謂ロイヤリティ方式ではなく、事業利益を折半で分け合う新スキームに変更する旨を公表しています。ただ本施策は一朝一夕に売上が向上するものではなく、むしろ短期的には本部利益を痛めるため(切替は翌年9月)、新型肺炎禍に苦しむ当社が収益的に持ち堪えられるのか否かというリスクを孕んだ状態で大きく舵を切る経営判断となります。

 

なお株主還元については、有利子負債をネットしてなお100億円超の現金を抱える好財務状態であることから、通期予算公表時に配当予想をそれまでの未定から年20円に修正しており、傷んだ損益状況とは裏腹にまだまだ有配圏をキープしています。

 

*参考記事① 2020-07-09 1,455円 NT

【9946】ミニストップ/公表ベースでは通期未定も、社内予算では均衡圏が目標か。

 

*参考記事② 2019-01-04 2,059円 NT

イオンと三菱商事の提携解消で、いよいよ本体に接近か・ミニストップ(9946)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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