【3458】シーアールイー/第2位株主のケネディクスの関与継続が確認出来た点は大きい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3458】シーアールイー(東証1部)  OP

現在値 1,371円/100株 PER11.9 PBR1.73 7月配当優待 1月優待

物流施設の賃貸管理、開発、アセットマネジメント。首都圏地盤。
配当金は7月末の一括の23円配当のため、配当利回りは1.68%となります。

 

シーアールイーは株主優待制度を実施しており、1月末・7月末の単元保有株主に対して、500円分、7月末の株主に対しては1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.77%となります。

業績を確認していきます。
■2017年7月期 売上高 404億円、経常利益 49.5億円 EPS 146円 

■2018年7月期 売上高 335億円、経常利益 31.0億円 EPS 83.3円 

■2019年7月期 売上高 239億円、経常利益 13.8億円 EPS 27.9円 

■2020年7月期 売上高 411億円、経常利益 40.4億円 EPS 103.7円 

■2021年7月期 売上高 547億円、経常利益 45.0億円 EPS 105.8円 ce
□2021年1月中 売上高 120億円、経常利益 5.5億円 EPS 13.9円 四e

 

2020年7月期の売上高は前期比72.1%増の411億円、経常利益は同193.0%増の40.4億円となり、期初予算に対して売上は若干ショートしたものの、経常利益は同5割の増益予想から一転して3倍近い水準を確保し、大増勢での落着となりました。主力の物流投資事業については、傘下の「CREロジスティクスファンド投資法人」が期末となる7月に本年2度目となるPO(※後述)を実行出来たため、前期からの期ズレとなっていた竣工済の「千歳」「上尾」と、期中竣工の「三芳」を無事に下すことに成功したことが寄与しました。特に増益幅が大きく拡大したのは、前期は売却物件が「川越」の1物件に留まったことも要因の一つとなります。また、傘下REITの順調な規模拡大に伴って取得と期中運用にかかるAM報酬が拡大し、AM事業についても2割を超えるセグメント増益を果たしました。


進行期である2021年7月期の通期予算については、売上高が32.8%増の547億円、経常利益は11.1%増の45.0億円と2桁幅の増収増益基調の継続を予想しています。物流投資事業においては、意図的に期ズレさせたものとみられる「川越Ⅱ」にくわえ、竣工済の「神戸西」「狭山日高」と竣工予定の「三芳Ⅱ」までを売却前提として予算に織り込んでおり、実績期と同じ3物件の売却予定にも拘らず、売却面積は24,551坪から40,252坪まで大きく増加することから、個々の物件の大型化により纏まった幅での増収増益を作る格好です。一方、AM事業や不動産管理事業については、本年8月に吸収合併したロジコムの巡航化によりトップラインこそ増加するものの、同社の利益僅少のため、セグメント利益は概ね横ばい程度を見込んでいます。

 

本年度は3年中計の最終年度となっており、当初計画ではこの2021年7月期にも売上高600億円(CAGR21.3%)、営業利益50億円(CAGR16.2%)、向こう3年間の投資額は900億円を計画していましたが、予算に照らせば売上はやや届かないものの、利益は達成する見通しとなります。成長ドライバーは2017年2月に公募成りを果たした傘下REITであり、今後の開発物件は原則としてこちらに下す方針としています。傘下REITは新型肺炎禍における物流アセット選好の流れもあって株価を順調に回復させ、本年1月には2nd_POを実施したほか、7月にも連続で3rd_POを実施しており概算108億円を調達し、「千歳」「上尾」「三芳」の3物件を取得して順調に資産規模を拡大しています。

 

また当社についても、この8月にPO及び三者割当・自己株式売出し等を実施し、約32億円(@1,503円)を調達しています。資金使途については竣工予定の建物代金に充てる方針であり、「狭山日高」に16億円、「大阪交野」に16億円と残額を使用します。本件取組による希薄化率は8%程度であり、特筆すべきは株価が1,500円超の水準となる比較的高いバリュエーションで資金調達が出来たこととと、第2位株主のケネディクスが“親引け”的に三者割当で自己株処分を引受して持分低下を防いでいることから、引き続き同社の高いコミットが期待出来る点がポイントと考えられます。ケネディクスは先ごろ三井住友F&LによるTOBが公表されたことから、今後の出口やウェアハウジング先の確保のための連携がより一層進むことが期待されます。

 

財務の状況については、昨年ロジコムの買収(今年8月に合併)に20億円を投じたこともあり、自己資本比率で30%水準を割り込んでいたものの、今次POによりまた30%水準に復元しているものとみられ、当面の手当てがなされたものと考えています。配当予想については1円増配となる23円を予想していますが、当社はPM事業やAM事業で得られた“ストック収益”の半分をメドに配当とすることにしているため、その計算式に照らしたものとなります。

 

*参考記事① 2020-06-09  1,380円 OP 

【3458】シーアールイー/傘下REITが2ndPOを成功、物流選好の流れで飛躍期入りも。

 

*参考記事② 2018-12-17 1,011円 OP

まさかのロジコム買収で、REIT以外にも業容拡大・シーアールイー(3458)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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