まさかのロジコム買収で、REIT以外にも業容拡大・シーアールイー(3458)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3458】シーアールイー(東証1部)  ---

現在値 1,011円/100株 PER19.3 PBR1.53 7月配当優待 1月優待

物流施設の賃貸管理、開発、アセットマネジメント。首都圏地盤。
配当金は7月末の一括の21円配当のため、配当利回りは2.08%となります。

 

シーアールイーは株主優待制度を実施しており、1月末・7月末の単元保有株主に対して、

500円分(7月末の株主に対しては1,000円分)のクオカードを進呈しておりますので、配当

優待利回りは約3.56%となります。

業績を確認していきます。
■2015年7月期 売上高 252億円、経常利益 21.8億円 EPS 72.3円 
■2016年7月期 売上高 338億円、経常利益 41.2億円 EPS 99.2円 
■2017年7月期 売上高 404億円、経常利益 49.5億円 EPS 146円 

■2018年7月期 売上高 335億円、経常利益 31.0億円 EPS 83.3円 

■2019年7月期 売上高 321億円、経常利益 19.0億円 EPS 52.2円 ce
□2019年1月中 売上高 48.3億円、経常利益 2.1億円 EPS 8.8円(12/7) 

 

2018年7月期の売上高は前期比17.0%減の335億円、経常利益は37.4%減の31.0億円での

落着となり、2桁の減収減益となったものの、期初予想及び6月の増額予算との比較では

上振れしました。主力の物流投資事業において、3QにREITに卸した「LS守谷」「LS鳥栖」

にくわえ「LS春日部」をリース会社に売却し(ウェアハウジング目的とみられる)、これらが

想定超の価格で売却出来たことが利益寄与し、前期計上の大型案件「LS浦和美園」の剥

落影響を最小限で食い止めました。なお、REIT上場にともないAM事業のアップフロントが

膨らんだため、同セグメントは前期比2倍弱の増益となっています。


進行期である2019年1月期の予算については、売上高が4.4%減の321億円・経常利益は

38.8%減となる19.0億円と連続で減収減益を予想しています(期初の中間予想は非開示)。

物流投資事業においては、竣工済2物件「LS川越」「LS千歳」と、期中竣工予定の2物件

「LS川越Ⅱ」「LS上尾」の4棟の販売が予定されており、実績期よりも1棟増えるものの、

実績期よりもさらに物件が小型化しているため、採算性が悪化するとみられます。一方、

ストック型の管理事業についてはマスターリース賃料改定による積み上げが期待出来る

ものの、物流投資事業の穴を埋めるには到底足らないような水準となっています。

 

当社は今般はじめて中期経営計画を開示しており、3年後の2021年7月期に売上高600億

円(CAGR21.3%)、営業利益50億円(CAGR16.2%)、向こう3年間の投資額は900億円を計画

しています。当然のことながら、本中計の成長ドライバーは2月に公募REIT成りを果たした

「CREロジスティクスファンド投資法人」であり、今後の開発物件は原則として当該REITに

卸す方針ではあるものの、同REITの足許の株価は公開価格である@110,000円を割り込む

@105,500円水準で推移しているほか、NAVも0.92倍の水準に留まっています。そのため、

実施できるかどうかもわからないREITのPOだけに頼ることは出来ないため、不動産特定

共同事業スキームを用いた小口投資商品(太陽光発電)の開発や、パルマと合弁で進める

ストレージ特化型ファンドなどの組成を急いでいるような状況です。


それでも頼みの綱であるREITが公募割れしている現状では、他の投資商品の開発が進ん

だり、管理事業やAM事業がオーガニックで伸びたとしても、表記の中計業績目標はかなり

荷が重いと判断される状況になっていましたが、足元12月にLCホールディングス傘下の中

核子会社である同業のロジコム(年商40億円、利益は僅少)を20億円超で買収出来ました。

LCホールディングスがダヴィンチ創業者の金子氏の支配となり、病院REIT組成へ注力し

た始めたことにより祖業を手放した“タナボタ”的案件ではあるものの、小さい上場会社を

一つ丸飲みしてしまったようなものなので、物流不動産業界における当社のプレゼンスが

大きく拡大したという点において評価することが出来そうです。この買収は短期では数字

がオンされるだけかと思いますが、中期的な目線では必ずシナジーが出てくると思います。

 

なお財務に関しては、自己資本比率で40%水準をキープしており、件のロジコムの買収に

20億円を投じているものの、増資懸念はさほど高くないように感じています。事実、今期も

減益予想ながら、配当予想を20→21円へ増配しており、配当性向40%を確保しているため、

開発型不動産会社の株主還元としては高水準と判断されますので、これは財務面に余裕

のある証左だと考えています。

 

*参考記事① 2018-05-12  912円*分割修正済 ---

念願の傘下REIT上場だが、基本はケネディクス頼り・シーアールイー(3458)。

 

*参考記事② 2017-11-17   753円*分割修正済 ---

今期中の「公募REIT成り」が業績より重要、シーアールイー(3458)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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