今期中の「公募REIT成り」が業績より重要、シーアールイー(3458)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3458】シーアールイー(東証1部)  ーーー

現在値 1,505円/100株 PER19.1 PBR1.21 7月配当優待 1月優待

物流施設の賃貸管理、開発、アセットマネジメント。首都圏地盤。

配当金は7月に一括の30円配当のため、配当利回りは1.99%となります。
シーアールイーは株主優待制度を実施しており、1末7末の単元保有株主

に対して500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは
約2.65%となります。

業績を確認していきます。
■2014年7月期 売上高 220億円、経常利益 23.5億円 EPS 161円
■2015年7月期 売上高 252億円、経常利益 21.8億円 EPS 144円 
■2016年7月期 売上高 338億円、経常利益 41.2億円 EPS 198円 
■2017年7月期 売上高 404億円、経常利益 49.5億円 EPS 292円 

■2018年7月期 売上高 315億円、経常利益 15.0億円 EPS 78.6円 ce
□2018年1月中 売上高 160億円、経常利益 14.0億円 EPS 74.4円 四e 

2017年7月期の売上高は前期比19.6%増の404億円・経常利益は同20.2%増

の49.5億円となり、利益は期初予想を上回りました。物流投資事業において、

「LS久喜Ⅱ」「LS浦和美園」「LS新座」の3物件を期末までに無事に引き渡した

ほか、PM事業におけるファンド向けPM受託において、不採算案件を解約し

たことが奏功しました。一方で、当初引き渡し予定だった「LS守谷」を販売用

不動産として翌期に送ったため、売上高は予想を下回りました。

 

進行期である2018年7月期の予算については、売上高が22.2%減の315億円、

経常利益は69.7%減の15億円と、一転して大幅な減収減益を予想しています。

物流投資事業では、送った「LS守谷」に加え、「LS鳥栖」「LS千歳」「LS川越」

の合計4物件の販売を見込んでいますが、前の期に計上した15千坪超級の

「LS浦和美園」のような大型物件が剥落するため、数字がかなり落ちます。

PM事業に関しても選別受注や顧客への売却推進施策によりさほど伸びは

期待出来ず、まともな伸びが期待出来るのはAM事業のみとなります。

 

今期は昨年より私募運用を開始した「CREロジスティクスファンド投資法人」
を公募REITとして上場させる計画であり、現時点では減収減益計画である

ものの、この成否いかんで数字が変わってくるものと思われます。前の期に

売却した3物件は全てリース会社相手の“ウェアハウジング”となっており、

いよいよ今期はIPOで直接的に出口を取りにいく形となります。なお、この

私募REITを含めた当社のAUMは1,000億円弱に達しており、中長期的には

5,000億円を目標とし、PM事業に並ぶストック源を積み上げる目論見です。


3月には不動産ファンド大手のケネディクス(4321)と資本業務提携し、15%

の資本を受け入れることでREITやファンドの知見導入を進めているほか、

かねてからの出資先であるエンバイオ・ホールディングス(6092)との間で

土壌汚染地の浄化と不動産業者への再販を意図した合弁会社(当社の

持分は40%)を設立し、自社開発用地以外の転売事業も始めています。

 

ただ当社の場合、中長期的なKPIをいくつか掲げているものの、肝心の

業績定量目標値を設定しておりません。そのためこの先の業績を展望

するのは難しい状況ですが、開発物件販売の有無に左右されないよう、

先ずは公募REITを無事に上場させることが何よりも重要かと考えます。

 

なお財務に関しては、この1年で自己資本比率が30.4→42.7%へ飛躍的

に良化しており、借入余力も増加しているほか、昨年の東証一部への

指定替えにより金利も順調に低下してきています。そのため足許では

株主還元を充実させてきており、今期減益予想ながら配当を20→30円

に増配しているほか、別途10億円(4.72%)の自社株購入枠設定という、

腰の入った還元を始めています。実際にちゃんと自社株を買っている

様子ですので、その辺の還元姿勢に関しては、別途評価も可能です。

 

*参考記事 2017-05-07  1,612円 ---

REIT上場控え、ケネディクスの持分法会社へ。シーアールイー(3458)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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