【3921】ネオジャパン/テレワーク需要増で、中計は利益予算についても超過達成が視野に。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3921】ネオジャパン(東証一部) NT

現在値 2,441円/100株 PER72.5 PBR8.71 1月配当優待 7月優待

企業や官公庁向けにクラウド/パッケージ型のグループウェアの販売。
配当は1月末一括の7.5円配当となっており、配当利回りは約0.31%となります。

ネオジャパンは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する1月末・7月末の株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約0.71%となります。

業績を確認していきます。
■2017年1月期 売上高 21.1億円、経常利益 4.2億円 EPS 20.6円
■2018年1月期 売上高 23.1億円、経常利益 4.5億円 EPS 22.0円
■2019年1月期 売上高 26.6億円、経常利益 5.4億円 EPS 25.8円 
■2020年1月期 売上高 37.4億円、経常利益 7.1億円 EPS 33.3円 連結

■2021年1月期 売上高 53.3億円、経常利益 7.2億円 EPS 33.6円 ce修正(9/10)

□2020年7月期 売上高 26.2億円、経常利益 5.8億円 EPS 26.8円(9/10)

2020年7月中間期の売上高は前年同期比68.6%増の26.2億円、経常利益は同65.2%増の5.8億円となり、Pro-SPIRE社(※後述)の連結開始による“連単比較”となるため単純比較は出来ないものの、売上高・利益ともに6割を超える大増勢となりました。新型肺炎禍で営業活動が滞った部分があったものの、
クラウド型製品は主力の「desknet’s NEO」を中心にユーザ数が増加し、同製品の売上は同21%増となりました。一方で、旧来製品のプロダクト型についてもクラウド型への移行により趨勢減となっているものの、買収したPro-SPIRE社を中心とする開発事業については売上高9.3億円、セグメント利益1.0億円を叩き出すなど堅調に推移しました。


なお2021年1月期通期の予算も中間時点で修正しており、売上高こそ前年同期比42.4%増の53.3億円と期初予想を据え置いたものの、経常利益は微増となる7.2億円(従予:5.6億円)に増額しています。クラウド型のユーザー増加数の伸びは直近12ヵ月間をとっても年率2割を超える高いモメンタムを維持しており、市場全体としても向こう3年間はCAGR5%弱の成長が見込まれているほか、本来“草刈り場”となるプロダクト型も同業他社の撤退・縮小方針や、価格志向の官公庁や大企業からの引き合いが根強いため、横ばい圏を確保する見通しです。利益増額修正の内訳は、新型肺炎禍による販促イベントや広告宣伝費の未消化による部分が大きい一方で、新たな顧客獲得策の一環として、テレワーク支援の名目により約200社の法人・行政機関等に当社ライセンスを一時無償提供する等しています。


当社は中期計画を開示していないものの、会社側コメントによれば2021年1月期までの4年間で、2017年1月期実績に対しておよそ倍の売上高・利益を目標としていることであり、計算上は売上高42億円・経常利益8.4億円が目標値となります。そして最終年度である進行期の予算に照らせば売上高は超過達成・利益は未達見通しではあるものの、実績期の経常利益で7.1億円を計上しているほか、今期の予算も異例の業績進捗率にもかかわらず増額修正後でなお7.0億円水準に留まっていることから、テレワーク需要増加による“追い風”もあり、一転して中計に掲げる利益予算の達成も十分視野に入るものと考えています。

 

昨年8月に買収したSIerであるPro-SPIRE社には5.2億円を投じ、のれんも1.3億円発生したものの(10年償却)、同社業績は巡航ベースで年商20億円もあることから相応の業績上乗せが期待されます。当面のシナジー効果としては当社サービス導入にかかるSIやCI(クラウドインテグレーション)等の受注になるとみられるものの、将来的にはウェブマーケティングといった付加受注の拡張を目指す方針です。競合のサイボウズは、RPAの活用によるBPO等の周辺業務の受注拡大策を進めていますが、当社は本件買収により受注の高度化を図っていく方針であり、よりオーガニックな領域で受注額を増やしていくことを志向しているものと考えられます。


本邦のグループウェア市場は、大企業向けクラウド型はマイクロソフトの「office365」や「Google Apps」に集約されつつあるものの、これら米大手の商品は無償提供から、より課金領域が多い有償提供に移行しつつあります。そのため、クラウド型・プロダクト型ともに最競合のサイボウズの約半分とされるコスト優位性を誇る当社は、そのリプレイス需要の獲得を狙うことで年率2桁成長の継続を目指します。また、競合の撤退・縮小が相次ぐプロダクト型については2017年から首位をキープしており、こちらも価格優位性を武器に残存者利益を長く享受していく見通しです。

財務状況については、実質無借金状態が継続しており、ネットキャッシュ約27億円のほか有価証券(債券)を12億円超保有しています。配当は据置きとなる年7.5円(配当性向22.3%)を予想しており、目下の資金需要はさほどないとみられるため、ある程度数字の見通しが立った時点で増配を公表する公算が高いと考えています。

 

*参考記事① 2020-06-03  1,396円 NT

【3921】ネオジャパン/プロダクト型の“残存者利益”は大きく、高成長路線を堅持。

 

*参考記事② 2019-12-18 1,029円 NT

SIer買収による業績インパクトは非常に大きい、ネオジャパン(3921)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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