【3921】ネオジャパン(東証一部) NT
現在値 1,396円/100株 PER58.9 PBR5.38 1月配当優待 7月優待
企業や官公庁向けにクラウド/パッケージ型のグループウェアの販売。
配当は1月末一括の7.5円配当となっており、配当利回りは約0.54%となります。
ネオジャパンは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する1月末・7月末の株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.25%となります。
業績を確認していきます。
■2017年1月期 売上高 21.1億円、経常利益 4.2億円 EPS 20.6円
■2018年1月期 売上高 23.1億円、経常利益 4.5億円 EPS 22.0円
■2019年1月期 売上高 26.6億円、経常利益 5.4億円 EPS 25.8円
■2020年1月期 売上高 37.4億円、経常利益 7.1億円 EPS 33.3円 連結
■2021年1月期 売上高 53.3億円、経常利益 5.6億円 EPS 23.7円 ce
2020年1月期は連結決算への移行にともない連単比較となるものの、売上高は前期比40.6%増の37.4億円、経常利益は同31.1%増の7.1億円となり、期中の増額修正を更に上回って3割を超える増収増益となりました。クラウド型製品は主力の「desknet’s NEO」を中心にユーザ数が増加し、同製品の売上は同18%増となりました。また、旧来製品のプロダクト型についてもクラウド型への移行により趨勢減となっているものの、単価優位性を活かして大規模ユーザ向けの案件が安定的に推移しているほか、付随のカスタマイズや役務提供が上伸し、同製品の売上は同17%伸長しました。トップライン成長に比して利益成長がやや緩慢ですが、これは研究開発費の増加と買収したPro-SPIRE社(※後述)の利益率が当社単体より劣ることに由ります。
進行期である2021年1月期の予算については、売上高が42.4%増の53.3億円、経常利益21.9%減の5.6億円を予想しています。クラウド型のユーザー増加数の伸びは直近1年間でも年率2割を超える高いモメンタムを維持しており、市場全体としても向こう4年間はCAGR5%弱の成長が見込まれているほか、本来“草刈り場”となるプロダクト型も価格志向の官公庁や大企業からの引き合いが根強いため、横ばい圏を確保する見通しです。なお4割を超える大増収の一方で、2割強の減益となるのは、利益僅少のPro-SPIRE社の通期連結(4ヵ月→12ヶ月)化とのれん代の償却、人件費の増加、海外子会社への新規投資によるところが主な要因です。
当社は中期計画を開示していないものの、会社側コメントによれば2021年1月期までの4年間で、2017年1月期実績に対しておよそ倍の売上高・利益を目標としていることであり、計算上は売上高42億円・経常利益8.4億円が目標値となります。そして最終年度である進行期の予算に照らせば売上高は超過達成・利益は未達見通しではあるものの、実績期の経常利益で7.1億円を計上しているほか、今期は投資先行といった戦略的要素を割引くとするならば、中期目標を概ね達成する見通しとして評価するのが相当と考えています。
昨年8月に買収したSIerであるPro-SPIRE社には5.2億円を投じ、のれんも1.3億円発生したものの(10年償却)、同社業績は巡航ベースで年商20億円もあることから当社業績へのインパクトはかなりの大きさであると言えます。当面のシナジー効果としては当社単体のグループウェアサービス導入にかかるSIやCI(クラウドインテグレーション)等の受注になるとみられるものの、将来的にはウェブマーケティングといった付加受注の拡張を目指す方針です。競合のサイボウズは、RPAの活用によるBPO等の周辺業務の受注拡大策を進めていますが、当社は本件買収により受注の高度化を図っていく方針であり、よりオーガニックな成長を志向している模様です。
本邦のグループウェア市場は、大企業向けクラウド型はマイクロソフトの「office365」や「Google Apps」に集約されつつあるものの、当社が提供する中小企業向けのクラウド型についてはコスト優位性(クラウド型・プロダクト型ともにサイボウズの約半分とされる)があるため、当面は同分野は年率2桁の成長が十分期待出来ます。また、競合の撤退・縮小が相次ぐプロダクト型については2017年から首位をキープしており、価格優位性を武器に残存者利益を享受していく見通しです。とはいえ、国内市場はいずれ頭打ちとなることから、昨年はマレーシアに合弁企業を設立し、本格的にアジア市場を開拓していく青写真となっています。
財務状況については、実質無借金状態が継続しており、ネットキャッシュ約28億円のほか有価証券(債券)を11億円超保有しています。配当は据置きとなる年7.5円を予想しており、減益計画のため配当性向は今期予想ベースで31%に達しますが、目下の資金需要はさほどないとみられるため、ある程度数字の見通しが立った時点で増配を公表する公算が高いと考えています。
*参考記事① 2019-12-18 1,029円 NT
SIer買収による業績インパクトは非常に大きい、ネオジャパン(3921)。
*参考記事② 2019-06-05 888円 NT
業績は順調に2桁伸長だが、株主還元もの足りぬ・ネオジャパン(3921)。
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