【3921】ネオジャパン(東証一部) NT
現在値 1,029円/100株 PER36.9 PBR4.08 1月配当優待 7月優待
企業や官公庁向けにクラウド/パッケージ型のグループウェアの販売。
配当は1月末一括の6.5円配当となっており、配当利回りは約0.63%となります。
ネオジャパンは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する1月末・7月末の株主
に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.60%となります。
業績を確認していきます。
■2017年1月期 売上高 21.1億円、経常利益 4.2億円 EPS 20.6円
■2018年1月期 売上高 23.1億円、経常利益 4.5億円 EPS 22.0円
■2019年1月期 売上高 26.6億円、経常利益 5.4億円 EPS 25.8円
■2020年1月期 売上高 35.9億円、経常利益 6.0億円 EPS 27.8円 ce修正
□2019年7月2Q 売上高 14.0億円、経常利益 3.3億円 EPS 14.8円 四e
□2019年10月3Q 売上高 23.3億円、経常利益 5.6億円 EPS 25.8円(12/13)
2019年7月中間期の売上高は前年同期比18.1%増の15.5億円、経常利益は同11.6%増の3.5億円となり、期初予想との比較はないものの、2桁幅の増収増益で進捗しました。クラウド型製品は主力の「desknet’s NEO」を中心にユーザ数が増加し、同製品の売上は同16%増となりました。また、旧来製品のプロダクト型についてもクラウド型への移行により趨勢減となっているものの、単価面の優位性を活かし、大規模ユーザ向けの案件が安定的に推移しているほか、付随のカスタマイズや役務提供が上伸し、同製品の売上は同27%伸長しました。利益面については、トップラインの伸びに対してやや緩慢であるものの、これは主に研究開発費の計上によるものとなっています。
なお、2020年1月期の通期予算については、Pro-SPIREの子会社化(※後述)による連結決算への移行にともない3Q時点で修正しており、連単間の単純比較で参考値となるものの、売上高が前期比22.5%増の35.9億円(従予:29.3億円)、経常利益9.8%増の6.0億円(従予:5.7億円)今期も売上高から2桁の伸びを予想しています。クラウド型のユーザー増加数の伸びは足元でも年率2割を超える高いモメンタムを維持しており、グループウェア市場全体としても、向こう5年間はCAGR5%弱の成長が見込まれているため、引き続き会社予想水準の成長幅が確保される蓋然性は高いものと考えています。当社は業種的に、トップラインが拡大(会員社数が増加)すれば、データセンターやライセンス料が継続的に入る所謂ストック型のビジネスモデルとなっているほか、クラウドに奪われる側であるプロダクト製品の趨勢減も会社側想定より緩やかになっているものとみられます。
当社は中期計画を開示していないものの、会社側のコメントによれば2021年1月期までの4年間で、2017年1月期実績に対しておよそ倍の売上高・利益を目標としている模様であり、単純に2倍した数値では売上高42億円・経常利益8.4億円となります。足許の業績モメンタムを考慮するとやや過大な印象もありましたが、9月末にPro-SPIRE社を買収したことによる上乗せもあり、利益目標には若干届かないとみられるものの、売上高目標は大幅に超過する見通しとなりました。SIerであるPro-SPIRE社の買収には5.2億円を投じ、のれんも1.3億円発生したものの(10年償却)、同社業績は巡航ベースで年商20億円・経常利益0.5億円もあることから当社業績へのインパクトはかなりの大きさであると言えます。
本邦のグループウェア市場は、大企業は外資系の3社(IBM・マイクロソフト・Google)、中小企業はサイボウズや当社がシェアを取ってきましたが、近年のクラウド型への移行に伴い、IBMの「Notes」が縮小(プロダクト型はシェア増)し、大企業向けは「office365」や「Google Apps」に集約されつつあるような状況です。一方、中小企業向けはグループウェアそのものの普及率が低く、大手3社とサイボウズはクラウド型へのシフトを進めて手薄になっていることもあり、従来のクラウド型についてはコスト優位性(クラウド型・プロダクト型ともにサイボウズの約半分とされる)のある当社が2017年から業界首位をキープしているような状況です。モロに競合するサイボウズは、RPAの活用によるBPO等の周辺派生ビジネスの取り込みを進めていますが、当社の場合はPro-SPIRE社の買収により、製品導入に絡めたSIやカスタマイズによる案件の大型化・高単価化を図っていく方針であり、注力分野にはやや差がある印象です。
なお財務状況については、実質無借金状態が継続しており、ネットキャッシュ約25億円のほか有価証券(債券)を11億円超保有しております。今般は買収に約5億円を投じましたが、基本的にこれといった資金需要もないため、今期は配当性向23%水準となる6.5円配(50銭の増配)を予想しているものの、この水準の引き上げ、ないしは自社株買いを期待していきたいところではあります。
*参考記事① 2019-06-05 888円 NT
業績は順調に2桁伸長だが、株主還元もの足りぬ・ネオジャパン(3921)。
*参考記事② 2018-05-07 1,236円 NT
ストック型収益モデルで、業績予想精度は高い・ネオジャパン(3921)。
![]() |
新品価格 |
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。