【6061】ユニバーサル園芸社/海外低調だが財務盤石で“勝ち残り”へ、業容拡大の好機続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
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【6061】ユニバーサル園芸社(東証JQS) OP

現在値 1,828円/100株 PER10.3 PBR1.03  6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月末の年1回20円のため、配当利回りは約1.09%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末・12月末の株主に対しての株主に対してそれぞれ1,000円分のクオカードをそれぞれ進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.18%となります。

業績を確認していきます。   
■2017年6月期 売上高 71.8億円、経常利益 9.3億円 EPS 130.1円 

■2018年6月期 売上高 73.5億円、経常利益 8.0億円 EPS 84.0円 

■2019年6月期 売上高 86.0億円、経常利益 9.5億円 EPS 104.1円 

■2020年6月期 売上高 91.1億円、経常利益 11.6億円 EPS 140.8円 

■2021年6月期 売上高 95.7億円、経常利益 12.3億円 EPS 177.5円 ce

□2020年12月2Q 売上高 43.3億円、経常利益 4.5億円 EPS 59.1円 ce
★★★
2020年6月期の売上高は前期比6.0%増の91.1億円、経常利益は同21.7%増の11.6億円となり、売上高こそ予算を下回ったものの、利益は予算を超過して2割を超える増益となりました。主力のグリーン事業については、下期に海外を中心とした新型肺炎によるオフィス閉鎖等の影響を受けて尻すぼみとなったものの、上期までに国内を中心に景況感の改善傾向にともないレンタル契約件数を積上げたほか、既存リース案件の継続によりセグメントとしては増収増益を確保しました。一方、フロー要素の強い卸売事業・小売事業については新型肺炎の影響を色濃く受ける形でともに減益となりました。また営業外において、米ローリング社の固定資産につき減損処理を実施しており、(単体の)ボトムラインで▲約7億円の特損を打ち込んでいます。


進行期である2021年6月期の予算については、売上高が前期比5.0%増の95.7億円、経常利益は6.2%増の12.3億円を予想しています。グリーン事業については、新型肺炎の影響で新築のホテルやオフィス向けの契約キャンセルが想定されるものの、既存リース案件の継続により業績面は相当程度下支えされる見通しです。また、卸売事業・小売事業については、個人向けの巣ごもり需要でネット販売を中心にある程度復元することが期待されるほか、昨年末に開業した東急のグランベリーパーク内の飲食併設型の大型小売店舗についても、施設の営業再開にともない通期でフル寄与する見通しです。一方、海外についてまだは外出制限等の措置がなされている地域もあることなどから、全社業績の足を引っ張ることが想定されます。

 

当社は中期的な目標として、この2021年6月期の売上高100億(CAGR14%)、経常利益を13.0億円(CAGR15%)を定量目標値として置いているほか、更に5年後の長期的な目標として、2026年6月期に売上高300億円、経常利益30億円を掲げています。進行期の予算に照らせば中期目標の方は若干の未達となりますが、新型肺炎なかりせば十分達成していたであろうとみられます。基本戦略としては、拠点である大阪・茨木を軸に、オフィスの新築竣工が相次いでいる東京市場の深耕を進めるとともに、顧客にギフト向け等の園芸関連商品の拡販を図る方針です。2018年には5支店目を潮見に開設しており、丸の内・大手町エリアを中心とした都心部オフィス需要の獲得強化を図っています。

 

こうした本業部分の内部成長以外でも、MAを活用した外部成長を特徴としており、高成長が期待されます。2015年・2016年にはアメリカで一部事業の譲受を含むの3社のMAを実行したほか、2018年6月にはシンガポールのミラージュ社(年商5.6億円・営業益4千万円)、同年10月には園芸ネット社(年商5.1億円・営業益2千万円)を矢継ぎ早に買収しています。足許7月には植木・花卉・種苗の生産を行う川口市の小林ナーセリー(年商2.5億円・利益非開示)を事業譲受方式で買収しており、これまで未進出だった生産分野に本格的に進出することを明らかにしています。この数年で関東におけるグリーン事業や小売事業の業容がかなり広がってきたので、生産といった上流まで抑えることによる中長期的なシナジー創出が期待されます。

 

なお配当については据置の年20円を予想しています。当社は実質無借金で極めて良好な財務状況を維持していることから、配当性向が2割(今期予想11.3%)を切っている現状は明らかに還元不足であるものの、新型肺炎により立ち行かなくなった同業他社の買収チャンスが一段と拡大していることから、この戦略的低還元施策の継続により買収余力を温存してほしいと考えています。

 

*参考記事① 2020-04-30 1,498円 OP

【6061】ユニバーサル園芸社/強固な財務体質活かし、同業他社買収の絶好機到来か。

 

*参考記事② 2019-11-15 1,842円 OP

相次ぐ海外買収で、業容拡大は順調か・ユニバーサル園芸社(6061)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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