【6061】ユニバーサル園芸社/強固な財務体質活かし、同業他社買収の絶好機到来か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6061】ユニバーサル園芸社(東証JQS) OP

現在値 1,498円/100株 PER10.4 PBR1.03  6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月末の年1回20円のため、配当利回りは約1.34%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末の株主に対して2,000円分、12月末の株主に対して1,000円分のクオカードをそれぞれ進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.33%となります。

業績を確認していきます。   
■2016年6月期 売上高 58.4億円、経常利益 7.4億円 EPS 102.9円 
■2017年6月期 売上高 71.8億円、経常利益 9.3億円 EPS 130.1円 

■2018年6月期 売上高 73.5億円、経常利益 8.0億円 EPS 84.0円 

■2019年6月期 売上高 86.0億円、経常利益 9.5億円 EPS 104.1円 

■2020年6月期 売上高 94.6億円、経常利益 10.1億円 EPS 143.8円 ce

□2019年12月2Q 売上高 44.8億円、経常利益 4.7億円 EPS 58.6円(2/13)

2019年6月期の売上高は前年同期比14.2%増の44.8億円、経常利益は同19.9%増の4.7億円となり、期初予算水準を確保して2桁幅の増収増益となりました。主力のグリーン事業については、
海外において2015年に買収した米ローリング社の人材流出を伴う経営混乱が一巡し、採算性が良化したことにくわえ、国内についても景況感改善によるレンタル契約件数が漸増傾向となりました。その一方、卸売事業については運送費の値上がりにより減益となったほか、小売事業も昨年末に東急電鉄が改装開業した南町田の商業施設に飲食併設の大型小売店を出店したため大幅増収となったものの、償却負担が重くセグメント損益は赤字となっています。


なお2020年6月期の通期予算については、期初のものを据え置いており、売上高が前期比10.0%増の94.6億円、経常利益は6.3%増の10.1億円を予想しています。グリーン事業については、景況感の改善傾向に伴うレンタル契約件数の増加と、既存契約先のギフト・装飾需要の取り込み拡大を図る計画となっていましたが、今般の新型肺炎影響により嗜好性の強いグリーン需要は新規獲得が停滞するとみられるため、下期は既存契約のリース売上程度に留まるとみられます。また、卸売事業・小売事業についても大幅な採算悪化が想定されます。海外事業については、米国事業の採算良化分があるものの、ミラージュ社を買収したばかりのシンガポールでは足許で新型肺炎による影響が更に強まっていることから、国内外でダウンサイドに振れる公算が高く、未達どころか一転して減益での着地も想定されます。

 

当社は中期的な目標として、翌2021年6月期の売上高100億(CAGR14%)、経常利益を13.0億円(CAGR15%)を定量目標値として置いているほか、更に5年後の長期的な目標として、2026年6月期に売上高300億円、経常利益30億円を新たに掲げています。基本的な戦略としては、拠点である大阪の茨木を軸に、オフィスの新築竣工が相次いでいる東京市場の深耕を進めるとともに、顧客にギフト向け等の園芸関連商品の拡販を図っていく方針です。実際に2018年には東京本社と東西南北4支店に次ぐ、5支店目(東京中央支店)を潮見に開設しており、丸の内・大手町エリアを中心とした都心部オフィス需要の獲得強化を図っています。

 

また当社はこうしたオーガニック成長以外の部分、要はMAを積極活用した外部成長を大きな特徴としており、中長期的にはMAをドライバーとした高成長が期待されています。2015年・2016年にアメリカで一部事業の譲受を含むの3社のMAを実行したほか、2018年6月にはシンガポールの多くの5つ星ホテル等に強みをもつミラージュ社(年商5.6億円・営業益4千万円)を買収、また同年10月には園芸ネット(年商5.1億円・営業益2千万円)を矢継ぎ早に買収しています。ただ直近のMA案件は海外案件が多く、米ローリング社のようなトラブル案件を引いてしまったり、それでなくとも正のれん案件ばかりでP/L寄与が薄かったりと微妙案件が多いので、今後は国内の相続絡みでディスカウントされた事業承継案件や、新型肺炎による廃業・救済案件といった当社にとって良い条件でのMA案件の獲得に期待がかかります。

 

なお配当は据置の年20円を予想しています。当社は実質無借金で良好な財務状況を維持していることから、配当性向が2割(今期予想13.9%)を切っている現状は明らかに還元不足であるものの、今後は同業他社の買収チャンスが一段と拡大することが見込まれるから、この戦略的低還元施策の継続により買収余力を温存してほしいと思います。

 

*参考記事① 2019-11-15 1,842円 OP

相次ぐ海外買収で、業容拡大は順調か・ユニバーサル園芸社(6061)。

 

*参考記事② 2019-03-29 1,610円 OP

海外ゴタつくも、今期は順調な業績進捗を確認・ユニバーサル園芸社(6061)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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