相次ぐ海外買収で、業容拡大は順調か・ユニバーサル園芸社(6061)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6061】ユニバーサル園芸社(東証JQS) OP

現在値 1,842円/100株 PER12.8 PBR1.30  6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月末の年1回20円のため、配当利回りは約1.09%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末の株主に対して2,000円分、12月末の株主に対して1,000円分のクオカードをそれぞれ進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.71%となります。

業績を確認していきます。   
■2016年6月期 売上高 58.4億円、経常利益 7.4億円 EPS 102.9円 
■2017年6月期 売上高 71.8億円、経常利益 9.3億円 EPS 130.1円 

■2018年6月期 売上高 73.5億円、経常利益 8.0億円 EPS 84.0円 

■2019年6月期 売上高 86.0億円、経常利益 9.5億円 EPS 104.1円 

■2020年6月期 売上高 94.6億円、経常利益 10.1億円 EPS 143.8円 ce
□2019年9月1Q 売上高 20.6億円、経常利益 1.4億円 EPS 14.0円(11/13)

□2019年12月2Q 売上高 44.6億円、経常利益 4.0億円 EPS 59.1円 ce

2019年6月期の売上高は前期比16.9%増の86.0億円、経常利益は同18.2%増の9.5億円となり、増収増益となったほか、期初予算に対しても上振れして着地しました。主力のグリーン事業については、海外において2015年に買収したローリング社の人材流出にともなう売上の減少基調が継続した一方で、国内については東京中央支店(江東区)の新規稼働効果や、企業景況感の改善にともなうレンタル契約件数の順調増により、全社業績が押し上げられました。また、利益貢献は少ないものの、昨年10月に買収した園芸ネット社(後述)の業績も一部寄与し、卸売事業・小売事業の両セグメントともに前期比2割もの大幅な売上高伸長をマークしました。但し、営業外においてローリング社の収益減少認識にともなうのれんの減損を実施しています。

進行期である2020年6月期の予算については、売上高が10.0%増の94.6億円、経常利益は6.3%増の10.1億円を予想しており、トップラインは2桁の伸びとなる計画です。グリーン事業については、景況感改善によるオフィス等のレンタル契約件数の増加が引き続き期待されるほか、既存契約先のギフト・装飾需要の取り込み拡大を図る計画です。海外事業については、経営の混乱が続いていた米ローリング社の赤字縮小が見込まれるほか、昨年買収したシンガポールのミラージュ社および園芸ネット社(後述)の業績がフルで寄与します。なお、トップラインに比べて、利益の伸びが鈍いのは利幅の薄い小売事業の構成比が増えることに由ります。

 

当社は中期的な目標として、翌2021年6月期の売上高100億(CAGR14%)、経常利益を13.0億円(CAGR15%)を定量目標値として置いているほか、更に5年後の長期的な目標として、2026年6月期に売上高300億円、経常利益30億円を新たに掲げています。基本的な戦略としては、拠点の大阪を軸に、オフィス市況が活況を呈している東京市場の深耕を進めるとともに、顧客にギフト向け等の園芸関連商品の拡販を図っていく方針です。

 

またこうした国内事業のオーガニック成長以外の施策として、2015年・2016年にアメリカで一部事業の譲受を含むの3社のMAを実行したほか、昨年6月にはシンガポールのフラトン、リッツカールトン、アンダーズ等の著名ホテルやオフィス向けに強みをもつミラージュ社(年商5.6億円・営業益4千万円)を買収したほか、同年10月には園芸ネット(年商5.1億円・営業益2千万円)を矢継ぎ早に買収しています。ただ買収した米ローリング社の混乱もあり、こうしたMAにはやや消極的なスタンスでしたが、足許では改めてMAによる外部成長を志向しているため、前述のような売上高目標300億円という“大風呂敷”を広げているものとみられます。ただ、のれん代の嵩む買収も少なくないため、利益の伸びには物足りなさが残りますが、一旦はトップライン成長に期待したいと考えています。

 

なお、配当に関しては今期も据置の20円を予想しています。当社は実質無借金で良好な財務状況を維持しているため、配当性向が2割(今期予想13.9%)を切っている現状は明らかに還元不足であるものの、これは将来的な同業買収のための財務温存策と考えられ、実際にコンスタントにMAもこなしているので、戦略的な低還元政策として捉え、会社判断を支持したいと思います。

 

*参考記事① 2019-03-29 1,610円 OP

海外ゴタつくも、今期は順調な業績進捗を確認・ユニバーサル園芸社(6061)。

 

*参考記事② 2018-11-04 1,662円 OP

相次ぐ海外MAで業容拡大も、指定替えには要時間?ユニバーサル園芸社(6059)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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