相次ぐ海外MAで業容拡大も、指定替えには要時間?ユニバーサル園芸社(6059)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6061】ユニバーサル園芸社(東証JQS) ---

現在値 1,662円/100株 PER14.7 PBR1.24  6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月末の年1回20円のため、配当利回りは約1.20%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末の株主

に対して2,000円分、12月末の株主に対して1,000円分のクオカードをそれぞれ進呈して

おりますので、配当優待利回りは3.00%となります。

業績を確認していきます。
■2015年6月期 売上高 40.1億円、経常利益 5.9億円 EPS 94.1円    
■2016年6月期 売上高 58.4億円、経常利益 7.4億円 EPS 102.9円 
■2017年6月期 売上高 71.8億円、経常利益 9.3億円 EPS 130.1円 

■2018年6月期 売上高 73.5億円、経常利益 8.0億円 EPS 84.0円 

■2019年6月期 売上高 83.3億円、経常利益 8.4億円 EPS 112.4円 ce
□2018年12月中 売上高  38.0億円、経常利益 3.2億円 EPS 36.4円 ce

2018年6月期の売上高は前期比3.3%増の73.5億円、経常利益は同13.2%減の8億円となり、

増収確保となったものの、期初計画を割り込んで減益着地となりました。主力のグリーン

事業については、国内企業の景況感の改善にともない、レンタル件数が増加したものの、

海外において2015年に買収したローリング社の人材流出にともなう売上減少とリクルー

ティング費用の増加が足を引っ張り、全社業績を押し下げました。また、小売事業につい

ては元より利益貢献が少ないものの、天候不順の影響もあって赤字継続となりました。

進行期である2019年6月期の予算については、売上高が13.2%増の83.3億円、経常利益

は4.7%増の8.4億円とトップラインで2桁成長を予想しています。グリーン事業については

引き続き景況改善が見込まれるほか、首都圏の新規オフィス需要増とその受け皿として

8月に江東区に東京中央支店を開設しているため、受注増加が期待されます。レンタル

グリーンの業界シェアも、1年前の5.0→5.5%へ50bp.増加しており、伸び幅は緩いものの

レンタル料がストック的に寄与します。ただ立て直し中の海外事業や、今期も天候不順

(台風)の影響が懸念される小売事業が業績の“押し下げ役”となる可能性は十分にあり、

全社の利益予算は微増益予想となっているものの、要注意圏にあると言えそうです。

 

当社は、中期的な目標として、2021年6月期の売上高を100億(CAGR14%)、経常利益を

13.0億円(CAGR15%)とする定量目標値を置いていますが、目下好伸しているのは国内

事業のみであり、特にオフィス市況が好調な関東エリアが牽引している格好です。地盤

である関西エリアもやっと勢いがついてきたものの今一歩であり、昨年に大幅改装して

ショールーム化した大阪本社を活用した受注強化が望まれます。

 

また当社はこうした国内事業のオーガニック成長を狙う以外に、2015年にワシントンで

ローリング社を買収したほか、2016年にセッジフィールド社(の2支店)、およびプレミア社

を買収しており、アメリカでは一気に業容を拡大しております。ただ冒頭で記載のとおり、

ローリングでゴタゴタした経緯もあるため、米国展開はスローダウンするとみられます。

その一方で、アジア展開は本格化の兆しがあり、本年6月にシンガポールのミラージュ

社を約2.5億円(年商5.6億円、営業益4千万円)で買収しております。同社は成長著しい

シンガポールのホテルやオフィス向けに強みを持った成長企業であり、債務超過企業

だったためバリュエーション的にも割安な取得が出来ています。同社の“のれん代”が

更にオンされるため償却がまた重くなるものの、内容的には悪くないものと思います。

 

ちなみに配当に関しては、今期も据置の20円を予想しています。当社は実質無借金で

非常に良好な財務状況を維持しているため、配当性向が2割(今期予想17.8%)を切って

いる現状は不足感は否めません。ただ当社の場合は、比較的コンスタントにMAを実施

出来ているため、今後の案件のために財務温存することも合理的な判断と考えており、

株主還元余力は大きいものの、あくまで成長企業として捉えるべきかと考えています。

 

なお、再来期を目処に中計達成とともに本則市場への鞍替えを目標としていましたが、

海外MAが増えると社内体制整備にリソースを奪われる二律背反的な側面があるので、

その辺のトーンに関してはかなり薄れてきているような印象も受けます。

 

*参考記事① 2018-03-16 1,905円

米国子会社のれん重く、今期横ばい圏だが増配も・ユニバーサル園芸社(6061)。

 

*参考記事② 2017-10-09 

前上期減額も巻き返す、好財務活かしたMA案件待ち・ユニバーサル園芸社(6051)。

 

 

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