米国子会社のれん重く、今期横ばい圏だが増配も・ユニバーサル園芸社(6061)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6061】ユニバーサル園芸社(東証JQS) ---

現在値 1,905円/100株 PER17.4 PBR1.45  6月配当優待 12月優待

オフィスなどへの観葉植物レンタル大手。園芸・生花などの小売を拡大。
配当金は6月の年1回20円で、配当利回りは約1.05%となります。

 

ユニバーサル園芸社は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する6月末の

株主に対して2,000円分、12月末の株主に対して1,000円分のクオカードをそれぞれ

進呈しておりますので、配当優待利回りは2.62%となります。

業績を確認していきます。
■2014年6月期 売上高 37.8億円、経常利益 6.1億円 EPS 77.4円
■2015年6月期 売上高 40.1億円、経常利益 5.9億円 EPS 94.1円    
■2016年6月期 売上高 58.4億円、経常利益 7.4億円 EPS 102.9円 
■2017年6月期 売上高 71.8億円、経常利益 9.3億円 EPS 130.1円 

■2018年6月期 売上高 76.0億円、経常利益 9.6億円 EPS 109.3円 ce修正
□2017年12月中 売上高  35.4億円、経常利益 3.7億円 EPS 54.1円(2/13) 

2017年12月中間期の売上高は前年同期比6.3%増の35.4億円、経常利益は同3.4%減

の93.7億円となり、ほぼ期初計画水準で着地しました。主力のグリーン事業において、

国内景況感の改善にともない、レンタルの件数が増加したほか、海外においても前期

の事業譲受の一次費用が剥落したため、赤字幅が縮小しました。一方で、小売事業に

ついては天候不順で客足が伸びなかったほか、全社的には円高による為替影響もあり
経常利益ベースでは反落となりました(※営業利益ベースでは27%増益)。

2018年6月期通期の予算については、売上高が6.9%増の76.0億円、経常利益は6.7%増

の9.6億円を据え置いているものの、米国の税制改革法が成立したため、今期のうちに

DTAを取り崩す方針であり、最終利益を6.5→5.2億円に減額しています。グリーン事業

については好調な上期に続き、レンタル件数の増加と業界シェア(現状は約5.0%)の拡大

を図ります。また、レンタルで開拓した定期顧客に対して、ギフト・装飾・ランドスケープ

等の園芸関連用品を売り込むことで業容の拡大を狙います。業績進捗が低いですが、

例年下期偏重傾向にあるため、2Q累計期間の進捗としてはまずまずかと思われます。

 

当社は2015年にワシントンで買収したローリング社を皮切りに、2016年のセッジフィー

ルド社(の2支店)、プレミア社とアメリカで3社の買収を立て続けに実行してきましたが、

社内体制がかなり混乱した反省もあることから、今期はこうしたMAによる“外部成長”

は実施しないものと思われます。海外事業は概ね堅調に推移しており、赤字も縮小

してきているようですが、プレミア社の買収額5.7億円を筆頭として“のれん代”が発生

してしまっており、この償却が年間0.7億円程度かかるので、暫くは営業利益段階から

重しとなります。たかだか年数千万とはいえ、当社の規模では無視できない金額です。


また当社は、中期的な目標として、2020年6月期の売上高を100億(CAGR14%)、経常

利益は13.0億円(CAGR15%)の定量目標を置いていますが、前述のとおり米国でのMA

でゴタゴタした経緯もあるため、簡単にMAを乱発出来るような状況にはなく、また国内

についても関東こそ良いものの、お膝元の関西が伸び緩慢になってしまっているため、

これだけの伸び幅でのオーガニック成長を期待するのは無理筋といえます。売上高は

中計達成の目が残りますが、利益計画は良くて1~2年遅れの達成かと思われます。

 

なお、株主還元に目を向けると、株主優待制度を導入により株主数を1,141→3,272名

へ増加させているほか、昨年さらにこの優待制度を拡充して、年1→2回にしています。

こうした一連の取組により、年末時点の株主数は3,874名へとさらに増加していますが、

既に昇格要件をほぼクリアしているものと思われます。会社側のアナウンスによれば、

東証一部への指定替えを目論んではいるものの、目安の時期は2.5年後の中期業績

目標値の達成と同じタイミング・・・としているため、前述のとおり達成確度が低そうな

中計目標を鑑みると、この昇格ネタまで先送りされてしまいそうな感覚はあります。

(※昇格審査の都合でMAがやりづらくなるほか、社員待遇改善などデメリットも多い)

 

ちなみに配当に関しては、今期も据置の20円配当を見込んではいるものの、当社は

実質無借金で財務良好であり、DTAを飲み込んでも配当性向2割を切る現状の還元

水準はまだまだ余力残しであるため、今期も期末にかけて増配含みと思われます。

実際に「配当水準は適宜引き上げを検討」とマテリアルにも記載しており、配当金の

総額も意識している雰囲気もあるため、ひとまず25円+水準を期待したいと思います。

 

*参考記事① 2017-10-09 

前上期減額も巻き返す、好財務活かしたMA案件待ち・ユニバーサル園芸社(6051)。

 

*参考記事② 

相次ぐ海外M&Aで業績飛躍期へ、ユニバーサル園芸社(6061)。

 

 

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