【7921】宝印刷(東証1部) --
現在値 1,851円/100株 PER18.8 PBR1.44 5月配当優待 11月配当
上場企業のディスクロージャー事業大手。上場準備から継続開示まで。
配当金は5月11月の年2回計50円のため、配当利回りは2.70%となります。
宝印刷は株主優待制度を導入しており、5末に100株以上を保有する株主に対して、
1,500円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.51%とな
ります。なお、3年以上保有の場合は長期特典により2,000円相当のギフトにグレード
アップしますので、この場合は約3.78%となります。
業績を確認していきます。
■2014年5月期 売上高 126億円、営業利益 12.8億円 EPS 74.5円
■2015年5月期 売上高 134億円、営業利益 9.0億円 EPS 50.1円
■2016年5月期 売上高 146億円、営業利益 15.7億円 EPS 56.3円
■2017年5月期 売上高 151億円、営業利益 14.7億円 EPS 50.1円
■2018年5月期 売上高 155億円、営業利益 15.3億円 EPS 56.3円 ce
□2017年11月中売上高 87.9億円、営業利益 13.2億円 EPS 84.8円(12/27)
2017年11月中間期の売上高は前年同期比2.2%増の87.9億円、営業利益は同微減
の13.2億円となり、期初予想を下回りました。当社は証券会社同様に株式市場への
感応度が高い銘柄ですが、昨年下期にかけて地合いも堅調だったため、外部環境
としては追い風の中での6ヵ月間でした。大型銘柄の目論見書や、海外オファリング
の増加、また招集通知の翻訳業務の増加などが順調に推移した一方、招集通知の
送付早期化にともなう前期末検収(要は5月納品)の増加により、一部売上を先食い
したことから、招集通知を含めた会社法関連業務は反落となりました。
なお、2018年5月期の通期予算については据え置いており、売上高が2.3%増の155
億円、営業利益は3.6%増の15.3億円を見込んでいます。当社は季節偏重性は強く、
6月を跨ぐ1Qが最繁忙期となりますが、前述のとおり微妙に未達で仕上がっている
ので、下期で巻き返すのはかなり困難かと推察されます。当社と市場シェアを二分
するプロネクサスとの間で、IPO/POのシェアや、短信/有報のシェアはさほど変動
がないものの、同社は今期(※2018年3月期)予算超過ペースで業績進捗している
ため、同社の方が顧客の高単価化を上手く推進出来ている可能性がありそうです。
当社は前回中計(※売上高140億円・営業利益12億円)を1年前倒しで達成しており、
今期を初年度とする新3年中計にローリングしています。同計画によれば、3年後の
2020年5月期に売上高191億円(CAGR8%)、営業利益19億円(CAGR11%)を目指して
おり、期待される業績モメンタムのわりに今期の予算が弱く、本中計期間の末期に
かけて伸び幅が鋭角的になるという、かなり闇鍋感の強い“気合いベースの中計”
となっています。基本的にはプロネクサスからIPO/PO、短信/有報のシェアを奪う
のがメイン戦略となりますが、開示書類作成支援ツールの積極拡販や、アニュアル
レポートに代わる高単価商品である統合報告書などの、任意開示書類の受注強化
により、オーガニックな成長を狙います。他方、新領域においては、関連事業のMA
によりトップライン21億円分の伸びを確保する計画であり、この辺のMAの成否が、
中計連続達成の鍵を握りそうです。
そして、MA実行の肝となる財務面については、依然としてほぼ無借金状態を堅持
しており、現金もじゃぶじゃぶ(65億円保有)なので、MAの出物次第かと思われます。
また、株主還元については、旧村上ファンドの一派であるストラテジックキャピタル
(アクティビスト)から揺すられた際の配当金水準である年間50円配を維持している
ほか、プロネクサス程ではないものの、たまに自社株買いをするようになっている
ので、MAの出物がないのであれば、2015年のように発行済株式の5%レベルでの
大型自社株買いで株主にお金を戻してほしいところではあります。プロネクサスは
足許で株主優待制度の再拡充なども実施しているので、当社がどこまで対抗意識
を持って株主還元を強化してくるか・・・という観点で注目していきたいと思います。
*参考記事① 2017-10-07 1,718円 ---
前中計クリアで、株主還元の更なる強化に期待・宝印刷(7921)。
*参考記事② 2015-08-24 1,255円 ---
ストラテジックキャピタルの揺さぶりで大増配、宝印刷(7921)。
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