【3082】きちり(東証1部) --
現在値 718円/100株 PER34.9 PBR3.90 6月配当 12月株主優待
女性向け居酒屋『きちり』等を直営展開。関西から関東に軸足移行。
配当金は6月に一括の10.0円配当であり、配当利回りは1.39%となります。
きちりは株主優待制度を実施しており、12末現在の100株以上の株主に対して3,000円
分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出すると約5.57%となります。
業績を確認していきます。
■2014年6月期 売上高 69.1億円、経常利益 5.1億円 EPS 29.1円
■2015年6月期 売上高 73.7億円、経常利益 4.3億円 EPS 11.5円
■2016年6月期 売上高 80.3億円、経常利益 4.3億円 EPS 25.7円
■2017年6月期 売上高 88.4億円、経常利益 3.1億円 EPS 16.9円
■2018年6月期 売上高 92.0億円、経常利益 3.5億円 EPS 20.5円 ce
□2017年12月中 売上高 46.4億円、経常利益 2.1億円 EPS 12.9円(2/5)
2017年12月中間期の売上高は前年同期比5.0%増の46.4億円、経常利益は同28.9%
増の2.1億円となり、久々に中間時点で期初予想を上回って着地しました。既存店の
予算前提を前年比98.3%に置いていましたが、その水準を下回ったのは1ヵ月のみで、
うち4ヵ月も100%クリアと好調に推移しました。上期にセブン&アイの手掛ける新型の
商業であるプライムツリー赤池に“いしがまやハンバーグ”を出店しています。
なお2018年6月期通期の予算については、期初の予想を据え置いており、売上高が
前期比4.0%増の92.0億円、経常利益は同10.1%増の3.5億円を予想しています。今期
は退店ゼロながら、出店8程度を見込んでいるため、出店による成長がメインとなり
ます。既存店売上に関しては、前述のとおり上期に上振れした分の貯金が多少ある
ほか、既に開示されている1月・2月の月次も前年割れしているものの、98.6%・99.2%
と予算前提をクリアしているため、現時点において会社予算は走破圏と言えそうです。
当社の強みは、主力の「KI・CHI・RI」のブランド成熟化(もっと言うと陳腐化)が進んで
しまっていることに危機感を持ち、新業態の開発を進めている点にあると言えます。
平河町に220坪もの規模で出店した「Anchor Point(ステーキ・クラフトビール)」や、
「とん久(黒豚とんかつ)」といった業態にくわえ、昨年末には神戸・三宮の「ajito」を
「マジックインワンダーランド」、という手品付きの業態へとリニューアルしています。
ただ手品業態はAPCの展開する「塚田農場」以上に店員にオペレーションの負荷
がかかるため、想定客単価2,600円程で展開していくのには苦しいフォーマットで
あることは事実です。それでも会社側はこの手品にかなり前のめりであり、主力の
「KI・CHI・RI」でも店員にマジックをやらせる方針とのことですので、その辺の施策
に関しては、リスク要因として注意して見ていく必要がありそうです(※エンタメ路線
に傾注して差別化を図るDDHDに、必要以上にインスパイアされている印象です。)
この他に当社の特徴と言えるのが、外食プラットフォーム事業の展開であり、相手
先ブランドでの飲食アウトソーシング受注を進めているほか、小規模ながらCVC事
業も展開しており、iPadを利用したPOSレジ会社や、労務管理システム会社などの
飲食に関連する出資先のサービスを、自社や提携相手先で導入することで成長さ
せていく青写真です。また、当社の提携先はサントリー系のダイナックや三井物産等
のビッグネームが多いものの、“青さの残る”当社がカウンターとして受けきれてない
印象が強く、新規提携先の開拓より、既提携先との深耕を進めてほしいところです。
なお、会社側では足許の業績復調傾向にある程度手応えを感じている模様であり、
中間決算発表時点で、期末の予想配当を2.5円上乗せ(名目上は20周年記念配当)
して、期末一括の10円配当を予想しています。ただいくら記念配当とはいえ、配当
性向は50%水準に達してしまうため、さすがに株主よりも従業員への還元を優先し
て欲しい感じはあります(※社員数320名/平均年齢27.5歳、平均年収339万円)。
*参考記事① 2017-03-12 663円 --
平河町の大型店や新業態注力はリスク高め、きちり(3082)。
*参考記事② 2016-03-10 646円 ---
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