【7038】フロンティア・マネジメント/採用優先で費用先行だが、新型肺炎禍は大きな“追い風”。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7038】フロンティア・マネジメント(東証一部)  NT

現在値 5,350円/100株 PER54.4 PBR14.53  12月配当株主優待 6月株主優待

企業再生を手掛けた大西・松岡両氏が設立。コンサルとM&A助言が主力。

配当(実績)は12月末一括の23円配のため、配当利回りは約0.42%となります。


フロンティア・マネジメントは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末時点の単元株主に対して、夫々1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約0.80%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年12月期 売上高 33.3億円、営業利益 0.1億円 EPS▲4.4円  
■2017年12月期 売上高 38.8億円、営業利益 2.5億円 EPS 28.8円 

■2018年12月期 売上高 46.9億円、営業利益 6.7億円 EPS 91.3円 

■2019年12月期 売上高 47.7億円、営業利益 6.6億円 EPS 75.3円 

■2020年12月期 売上高 53.0億円、営業利益 8.0億円 EPS 97.6円 ce 
□2020年6月中間 売上高 23.0億円、営業利益 1.1億円 EPS 14.4円(8/11) 

 

2020年6月期の売上高は前年同期比13.5%増の23.0億円、営業利益は同4倍の1.1億円となり、期初予想との比較はないものの、増収増益での折り返しとなりました。M&Aを中心とするFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)事業においては、新規受注獲得自体は底堅く推移したものの、案件の計上が無かったため業績は低調に推移しました。一方、主経営コンサル事業については、継続案件の積上げにより期当たり5億円程度の売上高が継続的に計上されるようになったほか、再生事業についても新型肺炎の(追い風)影響が本格化していないものの、堅調に推移しました。利益面については、採用積極化により期末200名まで人員拡充を予定していましたが、上期に集中して採用を実施したことにより通期計画を達成し、人件費増により利益は僅少な水準に留まりました。


なお2020年12月期の通期予算については、売上高が前期比11.1%増の53.0億円、営業利益は同20.6%増の8.0億円と2割の増益を据え置いています。新型肺炎禍によりFA事業のクロスボーダーMA案件が低調となっているものの、大企業のノンコア切り出し案件や再生系案件の増加により下期にかけて持ち直す見通しです。また、経営コンサル事業・再生支援事業についても既に獲得済の高単価大型案件が寄与するほか、金融機関を通した事業再生に関する引き合いが増加しており、上期末時点の受注残は昨年を大きく上回る17億円水準を確保しています。そのため、引き続き超高水準の人件費の増加(期末218名予定)が見込まれるものの、これらの費用増をこなして表記の営業利益水準を達成出来る公算が高いものとみられます。

 

当社はこれまで年率10%の売上高成長(営業利益率20%)を掲げてきましたが、この度最終年度を2022年12月期に定めた3年中計を改めて公表しており、最終年度に売上高47億円→65億円、営業利益6.6→12.0億円を業績目標値、その他KPI目標として従業員数177人→240人を定めています。当社はそもそもの出自がリサ・パートナーズ(旧8924)から6割出資を受けて、代表の大西氏と松岡氏(ともに2割出資)が設立した会社ということもあり地銀ルートが強く、地銀の抱えている再生案件に限らず、地銀自体の統廃合案件のFA等にも広く対応可能なことに特徴があります。折しも新型肺炎影響で地方の中小企業、ひいては地銀の経営難が見込まれるため、SBIHD(8473)のような“地銀の駆け込み寺”的なポジションで当社の出番は大幅に増えることが予想されます。

 

特筆すべきは事業構成比が変わってきており、2018年の上場を跨いだここ数年間はどうしてもM&A案件の成功報酬(スポット案件)頼りの面が強かったものの、継続性の高い経営コンサル事業・再生支援事業の積上げが進んだことにより、業績蓋然性が高くなっています。今後の成長戦略としては先述の新型肺炎による地方企業・地銀の案件増にくわえ、本年5月には海外100万社のスタートアップ情報を日本語提供するZuva社と資本業務提携をしたことで、本邦の中堅事業会社から大企業に至るまで引き合いが大幅に増加していることから、来期以降はその辺の海外案件が顕在化するものとみています。そのため、鍵となる人材採用が順調に進んでいることから、表記中計程度の業績は十分に達成可能な範囲にあるものと考えています。

 

株主還元については、資金を必要としないビジネスモデルのため、配当性向30%基準で配当を実施しています。今期の配当予想は未定となっているものの、この公表配当性向を単純に当てはめれば、今期の配当額は29円~30円となる公算が高いとみられます。

 

*参考記事① 2020-04-27 2,287円 OP

【7038】フロンティア・マネジメント/SBI的な地銀支援で、中期的な高成長に期待がかかる。

 

*参考記事② 2019-04-02 1,428円*分割修正済 OP

地銀統廃合案件の獲得が成長の鍵、フロンティア・マネジメント(7038)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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