【9273】コーア商事ホールディングス/医薬品製販事業が想定超、一部指定で記念配に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9273】コーア商事ホールディングス(東証1部)  OP

現在値 2,623円/100株 PER15.2 PBR1.74 6月配当 株主優待あり

ジェネリック医薬品の原薬販売が中心。注射剤や経口剤を中心とした医薬品製販も。


配当は年間34円のため、配当利回りは約1.30%となります。コーア商事は株主優待制度を実施しており、6月末の単元株主に1,000円分のクオカードを進呈しているほか、1年超継続保有の株主に対しては同2,000円分を進呈しているため、配当優待利回りはそれぞれ約1.67%、約2.05%となります。

業績を確認していきます。
■2017年6月期 売上高 151億円、営業利益 16.1億円、EPS 122.1円

■2018年6月期 売上高 148億円、営業利益 12.7億円、EPS 78.3円 

■2019年6月期 売上高 152億円、営業利益 12.1億円、EPS 66.0円 

■2020年6月期 売上高 160億円、営業利益 23.2億円、EPS 176.2円 

■2020年6月期 売上高 170億円、営業利益 24.0億円、EPS 171.6円 ce

□2020年12月2Q 売上高 78.0億円、営業利益 9.5億円、EPS 66.6円 四e   

2020年6月期の売上高は前期比5.4%増の160億円、営業利益は同92.4%増の23.2億円となり、5月の増額修正予算を更に上回って着地し、大増勢となりました。利益柱の原薬販売事業については、抗生物質製剤、催眠鎮静剤、抗がん剤等が堅調だった一方、引き続き高脂血症治療薬向け原薬については薬価改定と競合激化により低調に推移しましたが、それでも研究開発向けの好採算商材の伸長により減収ながらもミックス効果で利益は大幅に良化しました。医薬品製販事業についても「マキサカルシトール」の蔵王工場の増産効果通期寄与や、「炭酸ランタン」の販売本格化により増収増益となりました。

 

進行期である2021年6月期の通期予算については、売上高は6.0%増の170億円、営業利益は同3.0%増の24.0億円を予想しています。原薬販売事業については、新型肺炎の影響により一部で原料の納入遅れが散見されるものの、仕入元を10ヵ国90社に分散させていることから影響は軽微に留まる見通しであり、売上・採算面についても医薬品卸会社の在庫調整の影響が無くなることから概ね底堅く推移する見通しです。医薬品製販事業についても、「マキサカルシトール」拡販が続く見通しであるほか、蔵王工場で新たなバイアル(注射剤)系ラインの稼働開始による上乗せが見込まれる一方、2期に渡って相次いで設備拡張を実施しているため、減価償却費が重しとなります。

 

当社は2018年6月の東証2部上場の際に約4.4億円(@890円)を調達しており、既述の蔵王工場の生産設備拡充費用に充当しています。蔵王工場は総投資額50億円にものぼる当社の旗艦工場であり、上述の「マキサカルシトール」「炭酸ランタン」といった代表商品の生産・増産体制を整備したほか、この2商品以外では抗がん剤をはじめとした高薬理活性剤(※少量で人体へ大きな影響を及ぼす薬剤)シリンジ品の少量多品種生産や、工場設備拡張により各種バイアル液剤や凍結乾燥領域の受託製造も可能となったため、大手注射剤メーカーが手掛けずらいロットの少ないニッチ領域での業容拡大を志向しています。

 

当社は中計を開示していないものの、医薬品製販事業における中期的な目標として、3年後の2023年6月期頃には原薬販売事業と並ぶ利益水準を目指すこととしており、機械的に数字を当てはめていくと、2023年6月期に想定される営業利益は32億円(CAGR15%/5yで計算)となります。主力の原薬販売が薬価改定の影響等で利益水準がジリ貧となっていたため、表記目標もいささか画餅感がありましたが、医薬品製販事業で高リン血症治療剤である「炭酸ランタンOD錠」が原材料安も相俟って想定超で推移していることから、達成可能性が残るものとみています。また、原薬販売の方でも、当社が取り扱い急性膵炎薬の原料である「ナファモスタットメシル酸塩」が新型肺炎に有効性があるとされており、手掛かり材料としてのテーマ性を孕みます。

 

なお株主還元については、実績期で10円増配したこともあり、予想段階では据置の年34円配当を予想しています。蔵王工場への設備投資も一巡しており、財務的にも余裕があるほか、6月末には東証一部に指定替えとなったことから、記念配的な観点も含め増配公算が高いものと考えています。

 

*参考記事① 2019-12-02 830円(*分割後は415円) OP

独禁法違反で昇格はまだ先か、コーア商事ホールディングス(9273)。

 

*参考記事② 2019-05-05  766円(*分割後は383円) OP

生産コスト想定超で減額も、早期に指定替え志向か・コーア商事ホールディングス(9273)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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