生産コスト想定超で減額も、早期に指定替え志向か・コーア商事ホールディングス(9273)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9273】コーア商事ホールディングス(東証2部) ---

現在値 766円/100株 PER9.4 PBR0.59 6月配当 株主優待なし

ジェネリック医薬品の原薬販売が中心。注射剤や経口剤を中心とした医薬品製販も。


配当は年間24円のため、配当利回りは約3.13%となります。
コーア商事は株主優待制度を実施しておりませんが、2018年12月のみ東証2部への

指定変更を記念して、単元株主に対して2,000円分のクオカードの進呈がありました。

業績を確認していきます。当社は昨年6月のIPO銘柄です。
■2016年6月期 売上高 152億円、営業利益 17.5億円、EPS 124.8円 
■2017年6月期 売上高 151億円、営業利益 16.1億円、EPS 122.1円

■2018年6月期 売上高 148億円、営業利益 12.7億円、EPS 78.3円 

■2019年6月期 売上高 156億円、営業利益 13.0億円、EPS 80.7円 ce修正

□2018年12月中 売上高 67.4億円、営業利益 3.5億円、EPS 14.7円(2/8)    

2018年12月中間の売上高は前年同期比・予想比共に不詳ながら、売上高は67.4億円、

営業利益は3.5億円となり、通期予算に対して低調な業績進捗となりました。主力の原薬

販売事業については概ね堅調に推移したものの、医薬品製販事業については、腎臓病

向け医薬品「炭酸ランタン」の生産コストが想定超となり、収益を圧迫しました。透析患者

向けの二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「マキサカルシトール」の増産開始があった

ものの、全社業績の穴を埋めるには至りませんでした。

 

2019年6月期通期予算については、本中間時点で修正しており、売上高は前期比5.6%増

の156億円(従予:162億円)、営業利益は同2.0%増の13.0億円(従予:16億円)へそれぞれ

減額しています。原薬販売事業については、競合環境の激化による売上減少を織り込む

とともに、医薬品製販事業については、今期より販売を開始した「炭酸ランタン」の販売

計画を下方修正しています。また、本年1月にこの「炭酸ランタン」に絡み、公取から独禁

法3条のカルテル疑義で立ち入りを受けており、排除措置および課徴金納付となる公算

が高いことから、本件織り込み前とみられる修正後会社予算も未達リスクが残ります。

 

当社は2018年6月に東証2部市場に上場しており、約4.4億円(@890円)を調達しています。

資金使途としては、医薬品製販事業における蔵王工場の生産設備の拡充が主となって

おり、抗がん剤をはじめとする高薬理活性剤(※少量で人体へ大きな影響を及ぼす薬剤)

のシリンジを少量多品種方式で展開していく計画です。抗がん剤のほかにも、透析分野

とリウマチ分野にも注力していく方針であり、会社側としては目下赤字であるこの医薬品

製造事業をこの今期中に黒字化させるとともに、4年後の2023年6月期頃には原薬販売

事業と並ぶ利益水準を目指すこととしていますので、単純にアクチュアルの数字をベース

に計算すると、2023年6月期の全社営業利益は32億円(CAGR15%/5y)となります。

 

ジェネリック原薬分野については、同業にダイト(4577)がおり、当社と同様に原薬の商社

機能を有するとともに、当社の最大取引先でもある日医工をはじめ、沢井製薬と取引が

あり競合関係にあります。ダイトは売上高規模が当社の倍以上もあり、圧倒されている

ものの、同社は固形製剤や内服製剤の取り扱いが多いため、シリンジ品に注力する当

社とは今後ともある程度棲み分けが出来るものと考えられます。

 

なお、株主還元については分割修正後で66銭増配となる年24円配当を予想しています。

IPO時の調達資金で蔵王工場への設備投資も一巡したため、良好な財務状況を考慮す

るともう一歩踏み込んだ株主還元も可能ですが、未だ名有りになっていない工場の新設

やライン拡充などの設備投資に備えて財務を温存しているものとみられます。ちなみに

会社側は早期に東証一部市場への指定変更を志向しているものとみられ、株主数の確

保のため、昨年末に実施した記念の株主優待を定常化させる可能性などもありそうです。

(真偽の程は不明ながら、会社四季報の某号にはそれを匂わすような記述もあります)

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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