【7605】フジ・コーポレーション/期初予算奪回はなお難しいが、客足の戻りは順調。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7605】フジ・コーポレーション(東証一部) OP

現在値 2,323円/100株 PER12.1 PBR 1.36 10月配当 4月株主優待

タイヤの専門店「タイヤ&ホイール館フジ」を東北・関東に直営で展開。
配当は10月末一括の35円配当であり、配当利回りは1.51%となります。

 

フジ・コーポレーションは株主優待制度を導入しており、4月末現在の単元株主に対して、5,000円の三菱UFJニコスギフトカードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約3.65%となります(※1年以上の長期保有が必要)。

業績を確認していきます。 
■2017年10月期 売上高 307億円、経常利益 23.4億円 EPS 143.8円 

■2018年10月期 売上高 328億円、経常利益 28.6億円 EPS 194.2円 

■2019年10月期 売上高 351億円、経常利益 37.6億円 EPS 251.9円 

■2020年10月期 売上高 315億円、経常利益 28.7億円 EPS 191.8円 ce修正

□2020年4月2Q 売上高 187億円、経常利益 22.8億円 EPS 151.8円

□2020年7月3Q 売上高 256億円、経常利益 29.0億円 EPS 192.2円(9/7)

2020年4月中間期の売上高は前年同期比10.9%減の187億円、経常利益は同16.9%減の22.8億円となり、期初予算を下回って2桁の減収減益となりました。冬季書き入れ時である1Q・2Q期間において記録的な暖冬に見舞われたほか、当社は大規模事業者であるため政府によるキャッシュレス消費税還元キャンペーン(5%)を外れたため、還元対象となる小規模なタイヤ販売事業者に顧客を奪われる格好となりました。そのため、6ヵ月累計の既存店売上高は前年の91%水準に留まり、この上期に2店の移転出店と1店の新規出店を実施したものの、既存店の穴を埋めることは出来ずにトップラインから2桁減となりました。


2020年10月期の通期予算については、中間時点で減額しており、売上高が前期比10.4%減の315億円(従予:360億円)、経常利益は23.7%減となる28.7億円(従予:38.0億円)に修正しています。去る9月7日には既に3Qの開示がなされており、売上高は前年同期比6.3%減の256億円、経常利益は同6.9%減の29.0億円で進捗しているため、利益ベースでは修正後予算を超過している状況です。新型肺炎による緊急事態宣言が明けたGW明けから客足が戻っており、4月に88%だった既存店売上高は5月には106%、6月には119%となり、9ヶ月累計では95%にまで持ち直しています。7月以降は還元キャンペーン(5%)が終了し、他店への流出が抑えられることから、減額前の期初予算の奪回はなお難しいとみられるものの、一層の巻き返しが期待されるような状況です。

 

当社は2015年までJASDAQ上場企業でしたが、2016年に東証二部から一部へ指定変更となり、二部指定の際にPOで14億円(80万株@1,868円)を調達しており、タイヤ・ホイールの在庫購入費用に充てています。これは同年9月に“第3ロジスティクス”という先進物流倉庫を竣工させて在庫保管能力を増やしたことと関係していますが、当該倉庫は仕入・販売・顧客管理等を統括する基幹システムと連携させているため、多品種在庫の確保と効率保管、速やかな商品発送を両立させています。また、追加で30億円を投じてこの“第三ロジスティクス”において第三(自動化)倉庫を建設しており、今夏の竣工以降は自動化倉庫の在庫保管能力が2倍となるため、自社のサプライチェーンは一層強化されたことになります。

 

当社は、FCを活用して全国中への出店を目指す競合のオートバックスセブン(9832)、イエローハット(9882)(なおブリヂストン系の「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」もメーカー系大手として存在し全国展開している)とは異なり、直営出店のみのため店舗展開力に劣ります。これは直営出店への拘りによる特有の出店の遅さや、エリアを拡大すると自前の先進的物流倉庫群(宮城県)の活用効率が落ちてしまうため、どうしても東日本ドミナント方式での出店に偏ってしまうのが一因とみられます。そのため、ここ3年間における新規出店もゼロでしたが、ようやくこの4月に47店舗目となる福島の白河店を新規開業するに至っています。

 

なお株主還元については、実績期の業績好調にともなう特別配当の5円を減配し、年35円配を予想しています。自己資本比率は足許ベースで65%と財務体質が非常に良いため、配当性向18%程に過ぎない現水準は明らかに還元不足のため、自社株買いに期待したいと思います。

 

*参考記事① 2020-03-16 1,456円 BY

【7605】フジ・コーポレーション/今期は駆け込み一巡で反落気配、踏み込んだ株主還元に期待。

 

*参考記事② 2019-09-28  2,192円 NT

今期は駆け込み特需で業績がブースト、フジ・コーポレーション(7605)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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