【3476】投資法人みらい/年末POの式場取得は裏目、予算保守的だがホテル歩合賃料次第。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3476】投資法人みらい(東証REIT) NT

 

現在値 40,550円/100株 PER16.0 P/NAV0.82  4月分配 10月分配 


三大都市圏を中心とする総合型。スポンサーは三井物産とイデラCP。
予想分配金は年2回の合計2,530円配で、分配金利回りは約6.24%となります。

 

投資法人みらいは投資主優待制度を導入しており、奈良の商業施設「ミ・ナーラ」の有料エリアの入場割引券を年2回進呈していましたが、現時点では休止している模様です。

業績を確認していきます。DPUは分割を遡及修正しています*。

■2018年4月期_第4期 営業収益 39.5億円、経常利益 16.9億円 DPU 1,451円*

■2018年10月期_第5期 営業収益 44.1億円、経常利益 18.6億円 DPU 1,440円*

■2019年4月期_第6期 営業収益 49.5億円、経常利益 22.7億円 DPU 1,437円*

■2019年10月期_第7期 営業収益 53.4億円、経常利益 24.7億円 DPU 1,563円

■2020年4月期_第8期 営業収益 54.4億円、経常利益 25.9億円 DPU 1,561円

□2020年10月期_第9期 営業収益 53.6億円、経常利益 22.9億円 DPU 1,380円ce修正

□2021年4月期_第10期 営業収益 48.4億円、経常利益 21.6億円 DPU 1,150円ce修正

2020年4月期_第8期については、営業収益が第7期比2.0%増の54.8億円、経常利益は同4.9%増の25.9億円となり、昨年12月の決算公表時POの際の修正予算水準で着地しました。収入面ではPOの新規取得物件である、麻布十番・南青山・大森が寄与したほか、簿価67億円のMIUMIU神戸を85億円で3期に期分けして分割売却を実行中であり、実現利益12.6億円を第7期に3.6億円、第8期に4.1億円、翌第9期に4.8億円をそれぞれ計上します。そのため、この第8期についてはDPUベースで259円分が売却益で嵩揚げされたものの、新型肺炎の影響でスマイルホテル3物件の歩合賃料等が▲0.8億円減収したため、期中物件取得や六甲アイランドDCの持分譲渡による多少の穴埋めがあったものの、DPUは第7期比2円減の1,561円と微減配となっています。

 

進行中の2020年10月期_第9期の予算については、営業収益は第8期比1.5%減の53.6億円、経常利益は同11.6%減の22.9億円を予想しており、DPUについてはMIUMIU神戸の最後の売却益の計上があるものの、同181円減となる1,380円と大幅減配を予想しています。トップラインについては、第8期中取得のマイスクエア、広島鯉城ビルが巡航化するほか、品川や新宿ESのフリーレント剥落や新規入居が寄与するものの、ホテル歩合賃料の全剥落で▲2.6億円の減収を前提としているほか、新型肺炎による商業等の減収リスクをポートフォリオ全体で▲2.3億円分見込んでおり、相当程度のバッファーが計上されています。

 

当法人は2019年12月に3rdPOを実施しており、三割込で約44億円(@57,037円)を調達しています。MIUMIU神戸の売却で戻って来た買付余力約42億円と合わせ、麻布十番ビル(28億円/3.5%)、南青山式場(29億円/3.7%)、大森専門学校(39億円/5.7%)の3物件を計96億円で取得しています。相対で取得した当初10年解約不可のリースバック案件である大森専門学校の利回りが高く、こちらで利回りを稼いで利回りの低い都心2物件を突っ込んだ形となりますが、出来上がりの4.5%はインプライド割れとみられ、やや力押しで纏めた印象の強いディールとなりました。そして案の定、歩合ミックス賃料で3.7%の南青山式場については、今次新型肺炎の影響を色濃く受けることとなり、当初より低い利回りが更に低くなってしまいました。

 

当法人はREITでは珍しく中期経営計画を策定しており、前中計を1年前倒しで達成したことから、「Repower 2020-ER」という拡張型中計に修正しており、DPU1,425円を目指すほか、業界平均利回りである4.7%(計画当初の水準)に対して160bp.取られてしまっているリスクプレミアムを平均水準まで圧縮させる計画を走らせていました。然しながら、今次新型肺炎禍による影響を鑑みて一旦棚上げし、ホテル歩合賃料が相当程度戻るであろう2021年中旬を期限とした「みらいリバイバルプラン」を新たに策定しています。具体的には①ホテルWBF淀屋橋南のオフィス用途変更、②ミ・ナーラの再改装、③物件入替(売却)、を挙げるとともに、新中計では巡航DPUのめやすとして1,300円台中盤を提示しています。

 

③の物件入替(売却)による直接的なDPU引上げ策以外はどれも確度が高くないものの、昨日②のミ・ナーラに関する開示があり、現PM会社のやまみの経営が悪化したことから伊藤忠アーバンへのリプレイスを明らかにしていますが、MLPM契約を固定賃料からパススルーに変更しており、リスク度合いが上った格好となります。これら施策がおおよそ目論見通り実現した場合、足許の株価水準でDPU利回りは6.5%超まで回復すると試算されますが、ホテルの戻りが鈍いとみられ、巡航ベースのDPU利回りはせいぜい6.0%弱と考えられます。

 

*参考記事① 2020-03-17 38,050円 NT

【3476】投資法人みらい/ホテルのエクスポージャー大きく、内部成長余地は限定的。

 

*参考記事② 2019-10-10  66,300円 NT

“さくら”取り逃すも、MIUMIU神戸売却は好判断・投資法人みらい(3476)。 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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