【3476】投資法人みらい(東証REIT) NT
現在値 66,300円/1株 PER21.1 P/NAV1.38 4月分配優待 10月分配優待
三大都市圏を中心とする総合型。スポンサーは三井物産とイデラCP。
予想分配金は年2回の合計3,130円配で、分配金利回りは約4.72%となります。
投資法人みらいは投資主優待制度を導入しており、奈良の商業施設「ミ・ナーラ」の有料
エリアの入場割引券を年2回進呈しています(4月末・10月末/保有口数は関係なし)。
業績を確認していきます。DPUは投資口の分割を遡及して修正しています(*)。
■2017年10月期 営業収益 33.7億円、経常利益 15.2億円 DPU 1,293円*
■2018年4月期 営業収益 39.5億円、経常利益 16.9億円 DPU 1,451円*
■2018年10月期 営業収益 44.1億円、経常利益 18.6億円 DPU 1,440円*
■2019年4月期 営業収益 49.5億円、経常利益 22.7億円 DPU 1,437円*
■2019年10月期 営業収益 54.0億円、経常利益 24.6億円 DPU 1,560円ce修正
■2020年4月期 営業収益 53.1億円、経常利益 24.8億円 DPU 1,570円ce修正
2019年4月期の営業収益は当初予算並みの49.5億円、経常利益は同0.2億円上振れし、
22.7億円となりました。なお分配金についても、当初予想の5,700円から5,745円へと45
円の上振れとなりました。主な増収要因は昨年10月に実施した第2回POで取得した「六甲
アイランドDC」、その他スマイルホテル3物件等が寄与したほか、名古屋伏見と博多南の
通期稼働効果とFR期間の終了となります。利益の上振れ要因については、オフィステナ
ントの賃料改定進展や、水道光熱費の見込み比減少が寄与したものとみられます。
進行期である2019年10月期の予算は、営業収益が前期比9.0%増の54.0億円、経常利益
は同8.3%増の24.6億円を見込んでおります。収入面では川崎・和泉中央のFR解消および、
新宿の段階賃料発生が寄与するほか、MIUMIU神戸の分割売却(※後述)による上乗せに
よりトップライン段階からブーストする格好となります。なお、分割考慮後の修正分配金に
ついては123円増となる1,560円を予想しており、これらの数値はMIUMIU神戸の売却に伴
って6月21日に開示された増額後の通期予算となります。
既述のとおり、当法人はMIUMIU神戸を3期に分けて分割売却していく方針であり、67億円
の簿価を18億円上回る85億円で売却します。実現益は進行中の2019年10月期に4.6億円、
翌期に5.3億円、翌々期に6.1億円をそれぞれ計上する予定であり、DPUベースでは135円、
145円、167円(推計)が向こう3期に上乗せされます。建前上は“モノ消費”から“コト消費”
へと潮流がシフトする中で、物販型の商業物件のウエイトを減らすのが本件売却の趣旨と
なっていますが、神戸・旧居留地大丸の裏に位置する本物件は、三宮エリアの駅前への商
圏のシフト傾向や、一棟貸し特有のリスクを孕んでいること等を踏まえると理解できる部類
の売却であると考えています。ただ真の狙いとしては、MIUMIUの高止まりした賃料を基準
に鑑定NOI3.7%で逃げられるので、一気に18億円の含み益を顕在化し、DPUとして吐き出
すことで、向こう3期の分配金利回りを作りにいくのが目的と推察されます。
なお、当法人はREITとしては異例となる中期経営計画を策定しており、2020年4月までの
3年間で、分配金を1,275円→1,425円まで1割強引き上げる目標を置いていましたが、1年
半前倒しで達成しました。そのため、本中計を「Repower 2020-ER」として拡張型に修正
しており、REIT業界の分配金平均利回りである4.7%(計画当初の水準)に対して、160bp.
も取られてしまっているリスクプレミアムを、平均水準まで圧縮させる計画としています。
MIUMIU神戸の売却益により、足許の利回りがかさ上げされてしまっているものの、これ
を考慮しなければREIT業界の平均回りである3.3%との差は80~90bp.ほどまで詰まって
おり、スプレッドをどこまで潰しにいくのかは不明ですが、内容的には順調と言えます。
当法人は8月にスターアジア不動産投資法人(3468)によるさくら総合リート(3473)の買収
工作に対して、ホワイトナイト的な立場で対抗買収に乗り出しましたが、合併比率的にも
(さくらの既存株主が)不利だったこともあり、あえなく失敗となりました。そのため、今後は
物件売却をして利回りを作りながら、コンスタントにPOして成長していく形になろうかと思
いますが、幸いにも足許のP/NAVはヒストリカルでも過去最高の1.38倍となっているため、
プレミアム増資効果は高く、早々に次のPOを実施し、外部成長することが望まれます。
*参考記事① 2019-03-08 47,575円(分割修正後株価) NT
中計分配金達成で、なりふり構わぬ株価対策へシフト・投資法人みらい(3476)。
*参考記事② 2018-10-03 48,725円(分割修正後株価) NT
念願の初回PO実現、DPU5,700円は射程圏・投資法人みらい(3476)。
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