【3476】投資法人みらい(東証REIT) NT
現在値 38,050円/100株 PER12.0 P/NAV0.77 4月分配優待 10月分配優待
三大都市圏を中心とする総合型。スポンサーは三井物産とイデラCP。
予想分配金は年2回の合計3,170円配で、分配金利回りは約8.33%となります。
投資法人みらいは投資主優待制度を導入しており、奈良の商業施設「ミ・ナーラ」の有料エリアの入場割引券を年2回進呈しています(4月末・10月末/保有口数は関係なし)。
業績を確認していきます。DPUは投資口の分割を遡及して修正しています(*)。
■2017年10月期_第3期 営業収益 33.7億円、経常利益 15.2億円 DPU 1,293円*
■2018年4月期_第4期 営業収益 39.5億円、経常利益 16.9億円 DPU 1,451円*
■2018年10月期_第5期 営業収益 44.1億円、経常利益 18.6億円 DPU 1,440円*
■2019年4月期_第6期 営業収益 49.5億円、経常利益 22.7億円 DPU 1,437円*
■2019年10月期_第7期 営業収益 53.0億円、経常利益 24.7億円 DPU 1,563円
■2020年4月期_第8期 営業収益 54.8億円、経常利益 26.0億円 DPU 1,570円ce修正
■2020年10月期_第9期 営業収益 56.1億円、経常利益 26.6億円 DPU 1,600円ce修正
2019年10月期_第7期の営業収益は修正予算を1億円下回る53.0億円、経常利益は同0.1億円上振れとなる24.7億円となりました。分配金については、売却益を乗せた修正予想の1,560円から1,563円へと3円の上振れで着地しています。主な増収要因は川崎・ドンキ和泉中央・東新宿のFR解消および、新宿イーストサイドの段階賃料発生が寄与するほか、MIUMIU神戸の分割売却(※後述)による上乗せが大きく寄与し、対前期では大幅増となりました。一方、予算比でトップラインがショートしたのは、歩合賃料割合の大きいスマイルホテル3物件やサンルート新潟といったホテル物件の稼働後退により0.3億円の減収となったのが主な要因です。賃料改定が続いて好調なオフィスを不調なホテルが食い潰して、何とか予算水準の数字を確保したような格好となっています。
進行期である2020年4月期_第8期の予算については、昨年12月の決算公表時PO(※後述)により従来予想を修正しており、営業収益が第7期比2.7%増の54.8億円(従予:53.1億円)、経常利益は同5.5%増の26.1億円(従予:24.8億円)を見込んでおります。収入面ではPOの新規取得物件である、麻布十番・南青山・大森が寄与するほか、簿価67億円のMIUMIU神戸を85億円で3期に期分けして分割売却を実行中であり、実現利益12.6億円を第7期に3.6億円、今第8期に4.1億円、翌第9期に4.8億円をそれぞれ計上します。そのため、今8期については分配金ベースで259円分が売却益で嵩揚げされることとなり、第7期比7円増となる1,570円(従予:UNCH)を予想しています。
当法人は2019年12月に3rdPOを実施しており、三割込で約44億円(@57,037円)を調達しています。先述のMIUMIU神戸の売却で戻って来た買付余力約42億円と合わせ、麻布十番ビル(28億円/3.5%)、南青山式場(29億円/3.7%)、大森専門学校(39億円/5.7%)の3物件を計96億円で取得しています。相対で取得した当初10年解約不可のリースバック案件である大森専門学校の利回りが高く、こちらで利回りを稼いで利回りの低い都心2物件を突っ込んだ形となりますが、出来上がり4.5%はインプライド割れとみられるほか、南青山式場は歩合ミックス賃料での3.7%のため、ディール全体としてやや力押しで纏めた印象であり、今後に不安感を残す内容となりました。
当法人はREITとしては異例の中期経営計画を策定しており、当初この2020年4月期_第8期までの3年間で、分配金を1,275円→1,425円まで1割強引き上げる目標を置いていましたが、1年半前倒しで達成しています。そのため、本中計を「Repower 2020-ER」として拡張型に修正しており、REIT業界の平均利回りである4.7%(計画当初の水準)に対して、160bp.取られてしまっているリスクプレミアムを、平均水準まで圧縮させる計画としています。MIUMIU神戸の売却益による嵩上げ分を控除すれば、足許の業界平均回り4.9%との差は200bp.を超える水準まで再度開いてしまっており、拡張型中計は未達となる見通しです。ここまでリスクプレミアムのスプレッドが広がってしまった背景としては、足許の新型肺炎ショックにより、ホテルや商業施設といった組入物件を改めて嫌気された点と、比較的新しいREITであるためIPO/POで参加している機関投資家の簿価が高く、ロスカットにかかりやすいこと、高い個人投資家比率がアダになっている点等が株価の急下落の一因とみられます。
現状、足許の株価がNAVを大きく割り込んでしまっているため、当面は外部成長が困難であるほか、内部成長もホテルのエクスポージャーが大きく、伸びシロのある物件が少ないため分配金的にジリ貧となっていくシナリオが想定されます。低簿価物件の積極的な物件売却と、自社株買いを含めた株価対策が望まれるような状況です。
*参考記事① 2019-10-10 66,300円 NT
“さくら”取り逃すも、MIUMIU神戸売却は好判断・投資法人みらい(3476)。
*参考記事② 2019-03-08 47,575円(分割修正後株価) NT
中計分配金達成で、なりふり構わぬ株価対策へシフト・投資法人みらい(3476)。