【7605】フジ・コーポレーション/今期は駆け込み一巡で反落気配、踏み込んだ株主還元に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_9542.jpg

【7605】フジ・コーポレーション(東証一部) BY

現在値 1,456円/100株 PER5.7 PBR 0.89 10月配当 4月株主優待

タイヤの専門店「タイヤ&ホイール館フジ」を東北・関東に直営で展開。
配当は10月末一括の35円配当であり、配当利回りは2.40%となります。

 

フジ・コーポレーションは株主優待制度を導入しており、4月末現在の単元株主に対して、5,000円の三菱UFJニコスギフトカードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約5.83%となります(※1年以上の長期保有が必要)。

業績を確認していきます。 
■2016年10月期 売上高 290億円、経常利益 22.5億円 EPS 135.4円 
■2017年10月期 売上高 307億円、経常利益 23.4億円 EPS 143.8円 

■2018年10月期 売上高 328億円、経常利益 28.6億円 EPS 194.2円 

■2019年10月期 売上高 351億円、経常利益 37.6億円 EPS 251.9円 

■2020年10月期 売上高 360億円、経常利益 38.0億円 EPS 254.6円 ce

□2020年1月1Q 売上高 114億円、経常利益 17.6億円 EPS 117.8円(3/6)

□2020年4月2Q 売上高 215億円、経常利益 27.8億円 EPS 186.1円 ce

2019年10月期の売上高は前期比7.2%増の351億円、経常利益は同31.3%増の37.6億円となり、期初の予算を大きく超過して3割を超える大幅増益となりました。書き入れ時の2019年1月期1Qにおいて、北海道を除いたエリアでの降雪量は平年以下の水準に留まったものの、前年の大雪に起因した需要喚起により、スタッドレスタイヤ類・作業料・用品類が好伸しました。また下期についても、昨年8月のタイヤメーカーの一斉値上げと消費税増税にともなう駆け込み特需が発生した影響で再度ブーストが掛かった格好となり、期末まで販売数量を大きく積み増しました。


進行期である2020年10月期の予算については、売上高が2.4%増の360億円、経常利益は1.0%増となる38.0億円を予想しています。最繁忙期となる1Qについては去る3月6日に既に開示がなされており、売上高・経常利益ともに1年前と比べて1割強の減収減益で通過しています。全国的に暖冬の影響を受けたほか、消費税増税による駆け込みの反動やキャッシュレスによる還元策が当社では適用除外であったため、これら複合要因により出足は鈍いスタートとなりました。アップサイドとして、実績期で改装を実施した新潟・高崎・甲府の売上増が期待されるものの、1Qでの躓きが大きく、微増ながらも増収増益を予想する会社計画は過大感が強く、今期については早くも未達懸念が燻っているような状況です。

 

当社は2015年までJASDAQ上場企業でしたが、2016年に東証二部から一部へ指定変更となり、二部指定の際にPOで14億円(80万株@1,868円)を調達しており、タイヤ・ホイールの在庫購入費用に充てています。これは同年9月に“第3ロジスティクス”という先進物流倉庫を竣工させて在庫保管能力を増やしたことと関係していますが、当該倉庫は仕入・販売・顧客管理等を統括する基幹システムと連携させているため、多品種在庫の確保と効率保管、速やかな商品発送を両立させています。また、追加で30億円を投じてこの“第三ロジスティクス”において第三(自動化)倉庫を建設しているため、これが竣工する本年夏頃には自動化倉庫の在庫保管能力が2倍となるため、自社のサプライチェーンは一層強化されることとなります。

 

当社の場合、競合であるオートバックスセブン(9832)、イエローハット(9882)がFCを活用して全国的に店舗展開をするのではなく(なお、ブリヂストン系の「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」もメーカー系大手として存在し全国展開している)、直営出店のみであり、店舗展開力に劣ります。これはFC展開をしないことによる相対的な出店の遅さもさることながら、エリアを拡大すると自前の先進的物流倉庫群(宮城県)の活用効率が落ちてしまうため、どうしても東日本ドミナント方式での出店に偏ってしまうのが一因とみられます。事実、今期も出店予定店舗がまだ名有りとなってないため、3年連続の出店ゼロが濃厚な気配であり、在庫保管能力が増えるばかりで販売力が伸びないのが致命的な弱点となりますが、会社側ではネット販売への注力により対応する方針のようです。

 

なお株主還元については、実績期の業績好調にともなう特別配当の5円を減配し、年35円配を予想しています。財務体質が非常に良いので配当性向15%ほどに過ぎない現水準は明らかに還元不足ですが、当社は倉庫増床などに積極的に資金を投じる傾向があるので、今後の先行投資を睨んだ上での判断とみられます(それを踏まえたとしても還元不足ですが)。

 

*参考記事① 2019-09-28  2,192円 NT

今期は駆け込み特需で業績がブースト、フジ・コーポレーション(7605)。

 

*参考記事② 2018-10-01 2,376円 NT

大雪特需で今期は鉄板、復元増配に期待。フジ・コーポレーション(7605)。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村