【4923】コタ/財務盤石で底堅いが、「旬報(専売)店」の拡大ペースは鈍め。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4923】コタ(東証1部) OP


現在値 1,177円/100株 PER27.1 PBR3.13 3月配当優待 

美容室向けヘア化粧品の製造・販売。一括販売とバーター無料コンサルの「旬報店」に特徴。

配当は3末一括の18円のため、配当利回りは1.53%となります。
コタは株主優待制度を実施しており、3月末の単元株主に対して5,000円相当の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.77%となります。

業績は下記の通りとなっております。 
■2017年3月期 売上高 65.5億円、経常利益 12.3億円 EPS 41.1円 

■2018年3月期 売上高 67.3億円、経常利益 13.3億円 EPS 47.5円 
■2019年3月期 売上高 69.9億円、経常利益 14.0億円 EPS 48.6円 
■2020年3月期 売上高 74.6億円、経常利益 14.9億円 EPS 52.6円
■2021年3月期 売上高 76.5億円、経常利益 12.6億円 EPS 43.1円 ce

□2020年6月1Q 売上高 12.0億円、経常利益▲0.1億円 EPS▲0.0円(7/30)
□2020年9月2Q 売上高 32.0億円、経常利益 3.8億円 EPS 8.5円 四e


2020年3月期の売上高は前期比6.7%増の74.6億円、経常利益は同6.6%増の14.9億円となり、期初予算を上回ったほか22期連続の増収・7期連続の経常増益を達成しました。主力品のシャンプー/コンディショナーである「コタアイケア」や、「コタトリート プレミーク」というトリートメント新製品の投入により、トイレタリー系商材が販売数量を伸びて全社業績を大きく牽引しました。一方、その他商材については、カラー剤については競合他社の新商品に押されたほか、パーマ剤についてもファッション潮流の変化を受けてウェーブ系商品が減少するなど軒並み苦戦しており、全社ではまちまちの動きとなりました。

進行期である2021年3月期通期の予算については、新型肺炎の影響が想定されるものの、期初時点から予想を開示しており、売上高が2.5%増の76.5億円、経常利益は15.8%減の12.5億円を見込んでおり、23期連続の増収を目指す一方、利益は2桁減益を予想しています。主力商品である「コタアイケア」好調持続が期待される一方、新事業所開設に伴う減価償却費等の増加を見込んでいますが、この数字には新型肺炎によるダウンサイドを織り込んでいない点は要注意です。既に7月末に1Qが開示されており、新型肺炎による美容院の来店客減の影響を受けた格好となりますが、そもそも美容院業界の業績は春(3月)・夏・冬に季節偏重性があり、当社の場合は下期に利益が集中するため、寄与の薄い1Qだけでは判断しずらい状況です。


当社は中期経営計画のような目標を開示していないものの、年限のない目標指標として「経常利益率15%以上、ROE10%以上」を定めていますが、足許水準ではいずれの指標もクリアしています。当社のビジネスモデルは製品の一括仕入れを条件に、「旬報店」と呼ばれる顧客管理システムを美容院に無料で使ってもらって、店舗の経営コンサルティングを提供するという特殊なモデルを採っています。この「旬報店」の導入店は当社取引先のうち一部に限られるものの、当社売上高の占有率は65%を占めているため、「旬報店」の増加が成長に直結する最重要指標となりますが、導入店数はこの1年で1,633店のまま積み増しが出来ていません。会社側はまずは広く薄く取引先を拡大させる施策を採っているものとみられますが、中期的には売上高成長の鈍化が懸念されます。

 

一方、利益面については、2012年の京都工場の竣工により、生産能力が大幅に増強された一方で、減価償却費も大幅に増加したものの、既に償却費負担はかなり減少しているため、この5年程で経常利益率は20%水準にまで引き上がっています。また、同工場の稼働率は現状でも6割程であるため、生産能力を余しているような状況であるため、かような観点からも「旬報店」の新規開拓が望まれるような状況といえます。


なお当社は財務体質が非常に良好であり、無借金経営かつ50億円程の現金を貯め込んでいます。今期も予想配当金は18円を据え置いているものの、例年3月に1:1.1の株式分割を実施していることもあり、実質的には連続増配となっています。不透明な状況ではあるものの、資金繰りには全く問題がなく、還元余力も十分あるような状況のため、引き続き自社株買いが期待される状況です。

 

*参考記事① 2017-09-09 968円*分割遡及修正済(/1.31) OP

自社株TOBで総還元性向は実質6割超の水準へ、コタ(4923)。

 

*参考記事② 2016-09-23 780円*分割遡及修正済(/1.46) OP

端数分割を繰り返し実質増配中、コタ(4923)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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