【6073】アサンテ(東証1部) BY
現在値 1,393円/100株 PER--.- PBR1.29 3月配当優待 9月配当優待
住宅用白アリ防除のトップ。東北、関東から京都まで営業網。JAと提携。
配当(実績)は3月末・9月末の年2回・合計60円配当のため、配当利回りは約4.30%となります。
アサンテは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末時点の単元以上保有株主に対し、三菱UFJニコスのギフトカード1,000円分を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.74%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 138億円、営業利益 16.8億円、EPS 102.6円
■2018年3月期 売上高 139億円、営業利益 21.3億円、EPS 114.3円
■2019年3月期 売上高 145億円、営業利益 22.8億円、EPS 122.8円
■2020年3月期 売上高 144億円、営業利益 22.3億円、EPS 128.0円
■2021年3月期 売上高 (未定)億円、営業利益 (未定)億円、EPS (未定)円 ce
□2020年6月1Q 売上高 35億円、営業利益 4.5億円、EPS 26.0円 (8/5)
□2020年9月2Q 売上高 77億円、営業利益 16.5億円、EPS 90.7円 四e
2020年3月期の売上高は前期比0.5%減の144億円、営業利益は同2.0%減の22.3億円となり、売上高・利益ともに予算を下回って減収減益で着地しました。主力の白蟻対策については、受注最繁忙期である春先の朝晩の冷え込みにより、白蟻の飛翔期と2週間ほどのズレが生じ、CM等の投入時期とミスマッチが生じたことで営業効果が薄れたほか、期末にかけて新型肺炎による営業影響を受け、トップラインは伸び一服となりました。その一方、原価となる人件費については、採用難及び新型肺炎にともなう新卒社員採用時期後ろ倒しにより、期末時点の人員数が同60人減の962人に減少したことで人件費が下振れ、概ね前期並みの利益を確保するに至りました。
進行期である2021年3月期の通期予算については、新型肺炎の影響を合理的に織り込むことが難しいことから、現時点では未定としています。新型肺炎による緊急事態宣言発令により、4月中旬から5月中旬までのおよそ1ヵ月間に渡って営業停止を余儀なくされたものの、6月からは前年同月比プラスで推移しているため、順調に出直っているような印象も受けます。ただ8月5日に既に開示されている1Qによれば、売上高は18.4%減の35.0億円、営業利益は47.9%減の4.5億円と黒字を確保してはいるものの、本来的に1Qは白蟻飛翔期にかかる最繁忙期であり、例年期末にかけて数字の積み増しが鈍くなることから、2Qもまずまず回復したとしても、通期では実績期の半分程度の営業利益水準が精々になろうかと思われます。
当社はローリング方式で3年中計を公表しており、「売上高CAGR6%&営業利益CAGR10%」を志向するとともに、従来はこの2021年3月期の数値目標として売上高165億円・営業利益28.8億円を目指していましたが、新型肺炎による影響もあり、今回はローリングせずに目標を一旦棚上げしたものとみられます。当社のビジネスモデルは労働集約型の「人工(にんく)商売」であり、業績拡大のためには社員数を増やしていく必要があるものの、所謂3K職場であることや、昨今の採用難から思うように社員数を増やせていないため、トップラインが殆ど伸びない一方、ベテラン?の離職率増加や採用難による人件費の浮きにより、図らずもコスト削減が進み、利益だけ伸びている状況が継続しています。
また、これまでの当社営業は業務提携先であるJAに“おんぶにだっこ”であり、JAに10%強の手数料を支払い、営業先と信用補完機能を買って営業をしてきましたが、2018年9月には独力で尼崎に阪神営業所を開設したほか、奈良の橿原営業所も新設し、(人材採用はさておき)まずは営業拠点の拡充に努めています。この7月には札幌でリフォーム業を営むハートフルホーム(年商9億円)を7億円弱で買収しており、悲願の北海道進出に向け橋頭保を築くなど、これまでには見られなかったMAの動きも出てきています。今後、新型肺炎の影響で人材市場の需給が軟化すれば一気に採用が進む可能性もあるため、そういう意味では評価出来る買収策と考えています。
なお、株主還元については、ほぼ無借金かつ85億円を超えるネットキャッシュを保有しているほか、設備投資が殆ど不要な商売ということもあり、配当性向40%基準により継続的に増配【15→20→25→32→40→46→50→54→60→未定(予】、しています。今期は配当未定とはしているものの、もし減配とする場合でも配当性向40%を厳格適用せずに年40~50円程度に減配幅を抑えてくるものと考えています。
*参考記事① 2020-02-19 1,881円 OP
【6073】アサンテ/トップライン伸び鈍いが、追加の株主還元余地は大。
*参考記事② 2019-08-07 1,912円 OP
天候影響で今期未達含みも、論点は追加の株主還元・アサンテ(6073)。
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