【2798】ワイズテーブルコーポレーション/デリバリー絶好調だが、継続前提に重要事象が点灯。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2798】ワイズテーブルコーポレーション(東証2部) NT

現在値 1,859円/100株 PER--.- PBR10.2 2月無配株主優待 8月株主優待

ワイズテーブルコーポレーションは今期も無配継続を予定していますが、株主優待制度を導入しており、2月末・8月末に単元株を保有する株主に対して、5,000円分の食事券を年2回進呈していますので、配当優待利回りは約5.37%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年2月期 売上高 149億円、経常利益 3.6億円 EPS 74.9円 

■2018年2月期 売上高 139億円、経常利益▲0.1億円 EPS▲172円 

■2019年2月期 売上高 137億円、経常利益 0.1億円 EPS▲250円

■2020年2月期 売上高 137億円、経常利益 2.3億円 EPS 18.1円 

■2021年2月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2020年8月中 売上高 55.0億円、経常利益▲1.0億円 EPS▲52.6円 四e

2020年2月期の売上高は前期比微減の137億円、経常利益は同大増益となる2.3億円を確保した、期初予算との比較では若干の未達で落着しました。XEX事業は改装オープンしたTKSC名古屋の巡航化が寄与し、既存店売上前提の109%には届かなかったものの、105.6%という高水準を確保しました。このほか「SEL OCTAGON TOKYO」「BISTRO J_O」の新規運営受託も寄与しています。また、サルバトーレ他事業についても同前提101%に対して100%と底堅く推移しました。利益面についても、人件費や原材料価格の上昇傾向が続いているものの、これらトップラインの増加で飲み込んだ格好になります。


進行期である2021年2月期の予算については、新型肺炎の影響により合理的な算出が出来ないことから未定としています。3月からパーティー、歓送迎会等の団体需要がほぼゼロとなったほか、4月7日~5月31日までイートイン型業態を全店休業しています。その一方、サルバトーレを中心とするピザデリバリーについては注文件数が飛躍的に増加するなどしており、XEXよりも展開店舗数もセグメント売上も遥かに多いことから、相当程度の穴埋めになっていると考えられますが、それでも全社ベースでは家賃削減等があったとしても損益均衡圏まで届かず赤字転落となる公算が高そうです。なお出退店については、出店ゼロ・退店3店程度を見込んでいます。

 

当社はXEX事業のシンボルである代官山店を、川崎汽船が保有する商業施設“ラ・フェンテ代官山”で長らく運営してきましたが、川崎汽船が当該施設を野村不動産に売却したことにより、2018年7月6日に立ち退き閉店しています。その代わりとなる新旗艦店のひとつとして昨年竣工の東急プラザ渋谷の17階・18階に、「CÉ LA VI Tokyo(セラヴィ)」を出店させています。同業態はLVMHとオーナーのベルナール・アルノ―氏とPEファンドが、シンガポールのマリーナベイサンズを皮切りに香港やサントロペで展開している総合エンタメレストランであり、日本では当社がイコールパートナーとして50%の持分を保有し、全国展開が出来る状況ではあるものの、いかんせんこの渋谷の「セラヴィ」一号店が新型肺炎禍で売上実績が出ずらいため、本業態の全国展開はやや先の話となりそうです。


気がかりなのは財務状況であり、度重なる店舗の閉鎖とそれに伴う減損計上もあり、足許の自己資本比率は10.2%まで低落しています。累損も相当溜まっているので、配当の可否は論じるまでもありませんが、5月にメイン行から4億円を調達出来たものの、6月以降分の追加の金融支援はまだ合意出来ていない模様であり、結果として6月12日付で継続前提に重要事象注記が付されています。希薄化覚悟で第三者割当増資でエクイティを調達し、追加のデット調達が望まれる状況です。

 

*参考記事① 2018-06-14 2,809円 NT

XEX代官山の立退閉店?の影響は大きく、復配も遠く・ワイズテーブルコーポレーション(2798)。


*参考記事② 2017-06-04 2,747円 NT

剰余金欠損回復で復配リーチ圏に、ワイズテーブルコーポレーション(2798)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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