【2686】ジーフット/先ずは年170億円弱の支払家賃の削減に期待したいが・・・。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2686】ジーフット(東証1部)  NT

現在値 506円/100株 PER--.- PBR1.22 2月配当優待  8月配当優待

イオン系の靴小売。中部地盤に全国展開。ツルヤ靴店・ニューステップ合併。
配当金(実績)は2月末・8月末の年2回計10円で、配当利回りは約1.97%となります。

ジーフットは株主優待を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して1,000円分の買い物券(年間2枚)進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.92%となります(無配の場合の同利回りは約3.94%)。

業績を確認していきます。
■2017年2月期 売上高 1,022億円、経常利益 50.2億円 EPS 63.0円  
■2018年2月期 売上高 972億円、経常利益 22.7億円 EPS 17.6円

■2019年2月期 売上高 950億円、経常利益 3.8億円 EPS▲34.7円 

■2020年2月期 売上高 890億円、経常利益▲19.9億円 EPS▲104.6円  

■2021年2月期 売上高 (未定)億円、経常利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce  
□2020年8月中 売上高 385億円、経常利益▲15.0億円 EPS▲35.3円 四e

2020年2月期の売上高は前期比6.2%減の890億円、経常利益は同赤転の▲19.9億円となり、大幅増益を予想していた期初予算を大きく下回ったほか、壊滅的な減益幅となりました。商品別ではスポーツ靴の売上が同1.8%増と依然として堅調に推移したものの、婦人靴・紳士靴・その他については軒並み同13.0%~15.0%の減となりました。これは当社のMDが依然空回っており、類似重複商品の在庫がダブついている点にくわえ、記録的な冷夏・暖冬により季節性商品の不振も重なり、過剰在庫状態と値引き販売のスパイラルに陥ったことが原因です。なお、出退店に関しては、出店15店・退店60店となり、期末の総店舗数は889店となりました。

進行期である2021年2月期の予算については、新型肺炎の影響により合理的な算定が出来ないことから未定としています。緊急事態宣言を含む4月・5月にかけて当社店舗の多くが出店するイオンモール等のSCで全館閉鎖措置や、時短営業が採られたため、1Q(3月~5月)にかけて新型肺炎の影響の影響を色濃く受けた格好となりました。それでも開示されている月次既存店売上高によれば、3月は61.9%、4月は34.4%、5月は63.5%とゼロ近傍の数字にはなっておらず、感染者の多い都市部の店舗が相対的に少ないことや、健康増進機運の高まりによるスポーツ靴の伸長を考慮すれば、通期での赤字継続は濃厚ながらある程度“見れる”数字で仕上がることが期待されます。出退店については微減になるものとみられますが、実績期に相当数の不採算店の閉鎖を実施したため、採算性の改善が見込まれます。

 

当社は実績期を最終年度とする中計3ヵ年で、売上高を1,040→1,080億円、営業利益を55→65億円に伸長させる業績目標を置いていたほか、KPIとして期末店舗数を880→1,000店とする出店計画を設定していましたが、実際の着地は営業赤字だったので大幅未達に終わりました。これまでは主力の「ASBEE」及び派生の子供靴業態、家族向け業態を中心に出店を進めていましたが、かような状況のため、当面は不採算店の閉鎖を進め、ダウンサイズ化を進めるものとみられます。また海外事業における注力エリアであった中国についても、一気に36店を閉鎖し(現存5店)、原則撤退の方向となっています。

 

新型肺炎禍ということもあり、新中計の開示も見送られていますが、新たなKPIとして在庫水準の調整(346→270億円以下)に留める点と、具体的な施策としてイオンスポーツ商品調達との共同調達の強化や本部機能のスリム化、チラシのデジタル化等が挙げられているため、向こう3年程は成長よりは体制立て直し期間としての位置付けが濃くなるものと考えられます。本来であれば、イオンやイオンモールを中心に支払う約170億円弱もの年間支払家賃の削減が最優先事項となりますが、“貢物系”子会社である当社は、政治的観点から殆ど手を付けないものとみられ、シワ寄せを食らいやすい点が構造的な弱点となります。


なお株主還元に関しては、実績期の5円減配(年10円配)に続いて、今期は未定とされていますが、無配に転落する可能性が高いと考えられます。イオン系子会社はミニストップしかり、業績悪化子会社は減配や保有株式の売却を強いられているため、グループ政策的にも株主還元には回らないものと考えています。

 

*参考記事① 2019-07-03 652円 NT

靴小売業のEC化進み、家賃負担は非常に重い・ジーフット(2689)。

 

*参考記事② 2018-06-04  784円 OP

高級店順調も、主要業態はMD裏目で在庫過多状態に・ジーフット(2689)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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