【3172】ティーライフ/新型肺炎裏にTV通販が好調、予算は上振れ着地か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3172】ティーライフ(東証一部)  OP

現在値 1,127円/100株 PER16.0 PBR0.99 7月配当優待 1月配当

PB健康茶、化粧品をカタログ、ネットで販売。製品製造など外部委託。
配当金は年2回・合計20円配当のため、配当利回りは1.77%となります。

ティーライフは株主優待制度を導入しており、7月末の単元株主に対して1,000円分の株主優待券を進呈していますので、配当と合算した配当優待利回りは2.66%となります。

業績を確認していきます。
■2016年7月期 売上高 72.0億円、経常利益 4.4億円 EPS 79.2円
■2017年7月期 売上高 73.2億円、経常利益 5.4億円 EPS 107円 

■2018年7月期 売上高 72.8億円、経常利益 4.7億円 EPS 99.6円 

■2019年7月期 売上高 92.8億円、経常利益 3.5億円 EPS 57.0円 

■2020年7月期 売上高 93.7億円、経常利益 3.7億円 EPS 62.4円 ce

□2020年1月2Q 売上高  50.7億円、経常利益 2.8億円 EPS 52.2円
□2020年4月3Q  売上高  74.5億円、経常利益 3.6億円 EPS 74.8円(6/3)


2020年1月中間期の売上高は前年同期比12.7%増の50.7億円、経常利益は同53.2%増の2.8億円となり、期初予算との比較はないものの5割を超える増益を確保し、順調な仕上がりとなりました。主力の小売事業において消費増税の影響を受けたほか、台湾・中国の越境ECも新型肺炎影響でやや低調に推移したものの、TV通販メインの卸売業については、高麗人参サプリ「J‘s kami高麗」等の販売が引き続き好調に推移し、小売事業の低調を補って大幅増となりました。一方、不動産事業については、袋井センターの3PL受託のための人員確保が先行し、増収減益となっています。


2020年7月期の通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比0.9%増の93.7億円、経常利益は同4.4%増の3.7億円とほぼ横ばいを見込んでいます。小売事業において、トライステージ傘下の日本ヘルスケアアドバイザーズ(NHA)から漢方薬通販事業を譲受したことにより、第2種・第3種医薬品群や機能性食品の拡販が見込まれるほか、卸売事業についても美容系サプリが引き続き好調に推移する見通しです。なお、去る6月3日に3Qが開示されていますが、売上高は前年同期比9.4%増・経常利益は同66.9%増と高水準で進捗しており、会社側は新型肺炎による不透明を理由に業績予想を据え置いているものの、ECというドメインや顧客の定期購入性を考慮すれば、高い確率で予算を超過して着地してくるものとみられます。


今期は下方ローリング済の新3年中計の初年度となっており、3年後の2022年7月期に売上高101億円(CAGR2%)、経常利益5.2億円(CAGR12%)を業績目標としてセットし直しています。これまでの当社中計の業績目標は意欲的な数値となることが多かったものの、実態反映で現実的な数値を置くどころか、今次ローリングではかなり保守的な目標値まで屈んできているような印象です。

 

成長戦略としては、引き続きアクティブシニア向けの新商品開発と海外事業(台湾・上海)によるオーガニック成長とともに、MAを活用した外部成長の2本軸となります。特に継続推進しているMA策については、2018年8月にインテリア雑貨や、ベビー用品・登山用品などのECであるライフイット(売上高12.8億円、利益は僅少)を完全子会社化したほか、2019年9月にはNHAの一部事業(売上高3.7億円、営業利益▲2.7億円)の事業譲受を受けており、矢継ぎ早の業容拡大を進めています。

 

そしてこれらMAによる成果が、同じECやTV通販内で多くの商品ジャンルを取り扱うといった“足し算”の域を出なかったものの、2019年9月に約15億円を投じて延床9千坪級の掛川センターを取得しており、ここに全国にバラバラ散らばる買収済子会社を寄せ集め、有機的に結合していけるかどうかが中長期的な利益成長のポイントになりそうです。また、当社は自らが非常に手間のかかるB2CのEC事業者として“一日の長”のノウハウ蓄積があることから、袋井・掛川の両センターについては、自社運用や倉庫転貸としての利用に留まらず、他EC事業者からの保管・発送・配送の業務受託といった小口3PL事業の拡大を志向しており、こちらは本業の茶類通販の良し悪しによらず安定的な趨勢増が期待出来る領域であると考えています。


財務面については、実質無借金状態が続き剰余金が膨れ上がっていましたが、掛川センター取得の際に借金をしたため足許では若干悪化しています。配当については、これまでは増配基調【16→20→23→25→27→28→34→34→20→20円(予】を継続してきたものの、今期は20円止まりとなる可能性が高そうです。これは配当性向である約30%を適用したものとみられ、場合によっては上振れ着地(と増配)が視野に入る状況ですが、会社側は今後の物流不動産事業の拡大を睨んで財務温存を優先するものと考えています。

 

*参考記事① 2019-12-15 858円 OP

大型物流施設取得で、利益水準回復はこれから?ティーライフ(3172)。

 

*参考記事② 2018-12-10 1,136円 OP

想定外の大幅減配は、物流賃貸業本格化の兆し?ティーライフ(3172)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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