【3193】鳥貴族/新中計の出端を挫かれるも、採算性の良化傾向が顕著。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3193】鳥貴族(東証一部)  OP

現在値 1,806円/100株 PER--.- PBR2.88 7月配当優待 1月配当優待

居酒屋「鳥貴族」の飲食店舗の運営及びフランチャイズ展開。
実績ベースの配当金は1月末・7月末に4円ずつのため、配当利回りは0.44%となります。

鳥貴族は株主優待を実施しており、1月末・7月末現在の単元株主に対して1,000円分の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.55%となります。

業績は下記の通りとなっております。 
■2016年7月期 売上高 245億円、経常利益 15.4億円 EPS 85.7円 
■2017年7月期 売上高 293億円、経常利益 14.2億円 EPS 83.5円 

■2018年7月期 売上高 339億円、経常利益 16.1億円 EPS 57.1円 

■2019年7月期 売上高 358億円、経常利益 11.4億円 EPS▲24.7円 

■2020年7月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce(6/5)
□2020年1月2Q 売上高 174億円、経常利益 13.4億円 EPS 68.1円 ce

□2020年4月3Q 売上高 230億円、経常利益 12.4億円 EPS▲13.2円(6/5)

2020年1月中間期の売上高は前年同期比2.4%減の174億円、経常利益は同4倍の13.4億円となり、トップラインは概ね予算通りだったものの利益は予算を大きく超過しました。前提となる既存店売上高については、不採算店の閉鎖一巡による良化と店舗禁煙化によるマイナスをネットして99.3%水準でセットしていたものの、矢継ぎ早のキャンペーン効果等により上期6ヵ月は100.1%で推移しました。出店については計画ゼロのところ、上期は出店1店(FC)・退店13店の純減12店と大きく退店超となったものの、好調な既存店で穴埋めし切った格好となります。利幅が改善したのは、新店ではなく既存店の売上構成比が増えた点や人件費・水光費コスト管理強化が奏功したことに由ります。

 

進行期である2020年7月期の当初予算については、売上高が3.5%減の346億円、経常利益は同10.4%増の12.6億円を予想していましたが、足許6月5日の3Q公表時に全て未定に変更しています。新型肺炎の影響により、4月・5月のほぼ2ヶ月弱に渡って直営全店をクローズしていたほか、営業再開後も営業時間を短縮する等の措置を講じているため、合理的な見通しが立たなくなったことがその理由です。当社は7月決算であり、まともに影響のある4月については今次3Q決算で既に取り込んでいることを鑑み、6月・7月が3月実績並みの既存店売上高83.9%と仮定するのであれば、概ね3Qの利益水準(経常利益で12億円程)のままで、通期も落着するものと試算されます。


当社は従来4年中計において、翌2021年7月に売上高640億円(CAGR21%)、営業利益51億円(CAGR38%)を其々目指していましたが、値上げ等に起因する業績低迷を受け、昨年3月に本中計と業績目標を取り下げています。そして計画期間5年の新中計を掲げなおしており、最終年度の2024年7月期に売上高450億円、営業利益8%(36億円)を定量目標として定めています。そして新中計の初年度となる今期については、上述のとおり極めて好調な滑り出しを決めたものの、不幸にも新型肺炎の影響を受け、早くも出端をくじかれたような格好となりました。

 

中計の具体策としては、“アメーバ経営(所謂京セラの稲盛氏の施策)”の採用により、各店舗・エリア・統括といった各経営階層毎の採算管理を厳格化するとともに、ドミナント形式による積極出店施策の裏で進んでいた自社競合を不採算店の閉鎖により間引き、その閉鎖した分の店舗を未進出エリアに出店していく方針となります。実際これまで大阪圏・首都圏・中京圏の主要3エリアに絞っていましたが、昨年より茨城県(取手・土浦)にも出店を果たしており、今後は栃木県や群馬県といった北関東を重点エリアに定めてじわりと出店していくものとみられます。また、ドミナントの弊害で顧客側に「飽き」が出ていることから、隔月のフェアメニュー(とりメンチカツ、炙りささみ燻製等)の投入や、「ご当地キャンペーン」と称した限定メニュー(松本山賊焼、室蘭焼き鳥等)の投入でマンネリ化の抑制を図っています。

 

財務状況については、二部上場当時のPO(約18億円)でエクイティ調達をしたほか、本年4月末に取引3行から25億円をデットで調達しており、その入れ繰りがあるものの、自己資本比率は40%弱の水準をキープしており、盤石と言えそうです。株主還元については、既に配当予想を未定に変更しているものの、期初時点では年8円を予想しており、これは減損や新型肺炎影響といった一過性要素を除く実態ベースでも配当性向10%そこそこと試算されるので、予定通り8円配とする可能性も十分残っているものと考えています。

 

*参考記事① 2019-12-10 2,275円 OP

不採算店の閉鎖一巡で、やや持ち直しの機運・鳥貴族(3139)。

 

*参考記事② 2019-05-30  1,961円 OP

最終赤字転落&中計取り下げで「雌伏期」入りへ、鳥貴族(3139)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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