不採算店の閉鎖一巡で、やや持ち直しの機運・鳥貴族(3139)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3193】鳥貴族(東証一部)  OP

現在値 2,275円/100株 PER58.0 PBR3.88 7月配当優待 1月配当優待

居酒屋「鳥貴族」の飲食店舗の運営及びフランチャイズ展開。
配当金は1月末・7月末に4円ずつのため、配当利回りは0.35%となります。

鳥貴族は株主優待を実施しており、1月末・7月末現在の単元株主に対して1,000円分の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.23%となります。

業績は下記の通りとなっております。 
■2016年7月期 売上高 245億円、経常利益 15.4億円 EPS 85.7円 
■2017年7月期 売上高 293億円、経常利益 14.2億円 EPS 83.5円 

■2018年7月期 売上高 339億円、経常利益 16.1億円 EPS 57.1円 

■2019年7月期 売上高 358億円、経常利益 11.4億円 EPS▲24.7円 

■2020年7月期 売上高 346億円、経常利益 12.6億円 EPS 39.2円 ce

□2020年1月1Q 売上高 85億円、経常利益 4.9億円 EPS 27.5円(12/6)
□2020年1月2Q 売上高 174億円、経常利益 8.2億円 EPS 40.4円 ce

2019年7月期の売上高は前期比5.5%増の358億円、経常利益は同29.0%減の11.4億円となり、期初予算に対しては大幅な未達となったものの、中間時点で減額した修正予算は確保しました。当初、直営新店を80店純増させる計画でしたが、既存店の低迷に伴い期中で新規出店を凍結した上で不採算店の閉鎖を進めたため、結果的に総店舗数は前期から6店の純減となり、期末時点の総店舗数は659店となりました。既存店売上についても、予算前提を97%水準に置いていたものの、結果的に94.8%での仕上がりとなり、298円均一に引き上げた前期(値上げ自体は2017年10月1日より実施)のハードルがそもそも低めであることも考慮すると、台風等の天候による影響はあったものの、客離れの進行により非常に厳しい結果となりました。

 

進行期である2020年7月期の通期予算については、売上高が3.5%減の346億円、経常利益は同10.4%増の12.6億円を予想しています。予算前提となる既存店売上高については、不採算店の閉鎖一巡効果もあり99.3%水準で置いているものの、これは2020年4月からの法改正による店舗禁煙化によるマイナス影響を一定程度織り込んだ数値となっています。また出店についても、直営出店をゼロ想定としているため、実績期の店舗純減によりトップラインがマイナス成長となる見込みです。これにくわえて、期中に更なる退店や減損に備えてボトムラインで▲4億円分の“名無し”の特損を既に織り込んでおり、かなりコンサバな予算となっています。実際のところ、12月6日に既に1Qが開示されていますが、10月の台風休業の影響を受けてなお高進捗となっており、現段階では早くも上振れ着地の期待が高まっています。


当社はこれまで2021年7月期を最終年度とする4年中計で売上高293億円→640億円(CAGR21%)、営業利益14→51億円(CAGR38%)を其々目指していましたが、足許での業績低迷を受け、本年3月に本中計と業績目標を取り下げています。そのため、今回本決算で新たな中計を策定しており、計画期間を1年伸ばした上で、最終年度の2024年7月期に売上高450億円、営業利益8%(36億円)を新たな定量目標に定めています。トップラインは出店再開により無理なく実現可能な水準とみられますが、営業利益率が足許の3.3%から倍以上に引き上げる計画となります。

 

具体策としては、“アメーバ経営(所謂京セラの稲盛氏の施策)”の採用により、各店舗・リーダーの採算管理を厳格化するとともに、ドミナント形式による積極出店施策の裏で進んでいた自社店舗のカニバリを不採算店の閉鎖により間引いていき、その閉鎖した分の店舗を未進出エリアに出店していく方針となります。無論、ドミナント効果が薄れるため、認知度の向上や物流費の抑制効果が薄れるものの、これまでの重点展開エリアである関西・関東・中部では相当程度の認知度が醸成されたことから、満を持して地方への展開を進めます(地方でも当社店舗の客単価が馴染む一方、人件費が安いというメリットがある)。また、翌々期までにロサンゼルスに1号店を出店して今後の海外展開への布石とする計画です。

 

なお財務状況については、一部上場時のPOが効いていることもあり、足許で減損の打ち込みが続いているものの、自己資本比率は依然40%弱の水準を堅持しています。株主還元については、既述のとおり今期は特損を計上予定であるものの、それでもなお配当性向20%に過ぎない低還元のため、年8円の配当水準はなんの問題もなく維持可能であり、場合によっては増配してくる可能性もあろうかと思います。

 

*参考記事① 2019-05-30  1,961円 OP

最終赤字転落&中計取り下げで「雌伏期」入りへ、鳥貴族(3139)。

 

*参考記事② 2018-12-03 2,242円 OP

既存店底入れ気配見られず、新規出店を原則凍結・鳥貴族(3139)。

 

 

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