【3193】鳥貴族(東証一部) ---
現在値 2,242円/100株 PER34.7 PBR3.76 7月配当優待 1月配当優待
居酒屋「鳥貴族」の飲食店舗の運営及びフランチャイズ展開。
配当金は1月末・7月末に4円ずつのため、配当利回りは0.36%となります。
鳥貴族は株主優待を実施しており、1月末・7月末現在の単元株主に対して1,000円分
の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは1.24%となります。
業績は下記の通りとなっております。
■2015年7月期 売上高 186億円、経常利益 10.8億円 EPS 56.9円
■2016年7月期 売上高 245億円、経常利益 15.4億円 EPS 85.7円
■2017年7月期 売上高 293億円、経常利益 14.2億円 EPS 83.5円
■2018年7月期 売上高 339億円、経常利益 16.1億円 EPS 57.1円
■2019年7月期 売上高 379億円、経常利益 16.4億円 EPS 64.5円 ce
□2019年1月中 売上高 187億円、経常利益 7.4億円 EPS 38.6円 ce
2018年7月期の売上高は前期比15.8%増の339億円、経常利益は同13.1%増の16.1億円
と2桁の増収増益を確保したものの、期初予算比は大幅な減収増益となりました。通期
の直営新店が純増80店計画のところ、81店の純増を果たし、FC込展開店舗数は665店
まで順調に増加しました。しかしながら、昨年10月1日より実施した280円→298円、への
値上げに起因する客数減少や、台風や地震などの自然災害、W杯といった外的要因に
よるマイナス影響もあり、既存店売上高は計画の104.0%に対して、96.3%まで大幅に落ち
込みました。また、野菜などの国産食材や人件費の高騰により、採算性も悪化しました。
進行期である2019年7月期の予算については、売上高が11.7%増の379億円、経常利益
は同2.0%増の16.4億円を見込んでいます。直営出店については、実績期並みの純増80
店強が見込まれていましたが、既に“名有り”となっている出店内定店以外は、新規出店
を凍結させることが明らかとなっています。従って、今期の増収はこの“名有り”内定分と、
実績期出店店舗の通期稼働効果により作られる計画であり、新店以外の予算前提となる
既存店売上高も97%(上期94%・下期100%)水準で設定されています。なお、既存店のテコ
入れ策はオーダーの伸び悩むドリンクメニューの変更(例:メガハイの導入)や、接客内容
の見直し、タッチパネルの改良を実施していく予定ですが、期待される効果は微妙です。
今期は4年中計の2年度目となっており、最終年度である2021年7月期に売上高293億円
→640億円(CAGR21%)、営業利益14→51億円(CAGR38%)をそれぞれ目指しています。
基本的には毎期100店程の店舗純増を目指す積極出店施策がベースとなっているため、
今期は中計2年度目にして新規出店の凍結が明らかになっていることから、現在の中計
は早くも頓挫した格好です。会社側も一旦は表記の業績目標を据え置いてはいるものの、
「初年度実績を勘案して、改めて精査」とアナウンスしているため、減額ローリングないし
は本中計自体の取り下げもありえるような状況に入った可能性が高そうです。
利益面の改善策としては、タッチパネルの導入推進による人件費削減(※会計合計額の
“見える化”により注文点数が減ったという指摘があるが、他の外食企業でも依然として
導入が推進されているため、マイナス点をネットしてもなお導入効果の方が高いと考える)
や、自社工場新設による原価率の改善を計画しています。また、集客策としては、深刻な
客離れが進んだファミリー層、および40代~60代超の世代は注力ターゲットから外して、
20代~30代の世代にフォーカスした集客を実施することとしており、これはアルコールを
中心とした利幅の厚いドリンクの注文率との相関に起因した顧客絞り込みとみられます。
なお財務状況については、一部上場時のPOが効いていることもあり、自己資本比率は
依然35%超を堅持しているほか、当社はそもそもの配当性向を10%前後に留めて、株主
還元を絞っているので、外食企業としてはかなり余裕のある状況です。単一業態のため
MAなどの使い道も特にないものとみられることから、株主サイドとすればせいぜい下値
での自社株買いが期待出来る(かもしれない)、といった捉え方かと思います。
*参考記事① 2018-05-02 2,857円 ---
値上げ後は精彩を欠くが、店舗数は順調増・鳥貴族(3193)。
*参考記事② 2017-11-16 2,871円 ---
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