最終赤字転落&中計取り下げで「雌伏期」入りへ、鳥貴族(3139)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3193】鳥貴族(東証一部) ---

現在値 1,961円/100株 PER当期赤字 PBR3.76 7月配当優待 1月配当優待

居酒屋「鳥貴族」の飲食店舗の運営及びフランチャイズ展開。
配当金は1月末・7月末に4円ずつのため、配当利回りは0.41%となります。

鳥貴族は株主優待を実施しており、1月末・7月末現在の単元株主に対して1,000円分

の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは1.42%となります。

業績は下記の通りとなっております。 
■2015年7月期 売上高 186億円、経常利益 10.8億円 EPS 56.9円
■2016年7月期 売上高 245億円、経常利益 15.4億円 EPS 85.7円 
■2017年7月期 売上高 293億円、経常利益 14.2億円 EPS 83.5円 

■2018年7月期 売上高 339億円、経常利益 16.1億円 EPS 57.1円 

■2019年7月期 売上高 358億円、経常利益 6.0億円 EPS▲30.7円 ce修正
□2019年1月中 売上高 178億円、経常利益 3.4億円 EPS 4.63円(3/8)

2018年1月中間期の売上高は前年同期比8.1%増の178億円、経常利益は同60.2%減の

3.4億円となり、期初予算との比較でも大幅な減益となりました。通期の直営新店は純増

80店の計画でしたが、既存店の低迷に伴い期中で新規出店を凍結したため、純増数は

僅か12店に留まりました。その既存店売上についても、予算前提は97%水準に置いてい

たものの、結果的には92.1%での仕上がりとなり、2017年10月1日より実施した280円から

298円への値上げにともなう客離れ影響が色濃く残った格好となりました。また、利益面

についても、国産食材や人件費の高騰により、採算性が一段と悪化しました。


なお、2019年7月期の通期予算については、中間時点で減額しており、売上高が5.6%増

の358億円(従予:379億円)、経常利益は同62.3%増の6.0億円(従予:16.4億円)にそれぞれ

修正しています。予算前提となる既存店売上高について、従来見込みの100%水準から、

99%へと下方修正させたほか、出店後12ヶ月を経過していない“既存店成り前の店舗”

についても、売上見込を減額した上で修正予算としています。また、今期中に退店予定

の21店(簿価のある4店)の減損を上期時点で認識したほか、下期についても退店予定

とみられる不採算店18店の減損を認識するため、通期で7億円程度の減損計上となり、

ボトムラインで赤字へと転落する見込みとなっています。


今期は4年中計の2年度目となっており、最終年度である2021年7月期に売上高293億円

→640億円(CAGR21%)、営業利益14→51億円(CAGR38%)を其々目指していましたが、

業績低迷を受け、今回中間決算において本中計ならびに業績目標を取り下げました。

本中計自体が、業績絶好調の時期に策定されたものであり、出店計画も既存店売上高

も前提条件がかなり強い計画だったため、既に足許の経営実態と大幅に乖離してしま

っていることから、取り下げ自体は妥当な判断と捉えています。

 

ただ、今期21店の退店にくわえ、減損した18店の不採算店も早晩閉店見込みとみられる

ことから、出店を原則凍結していることを踏まえると、トップラインの成長が事実上止まっ

てしまった可能性もあり、既存店の持ち直しによる内部成長しか伸び代が無い点は非常

にネガティブです。マテリアルによれば、今秋に修正中計が出るようなので、まずはその

内容の確認と、足許の既存店売上高の動向を注視していきたいと考えています。

 

財務状況については、一部上場時のPOが効いていることもあり、自己資本比率は依然

40%水準を堅持しています。また、株主還元については、従前より配当性向を10%程に留

めて、内部留保に回してきた経緯もあり、今期は最終赤字でタコ配の見込みとなるものの

財務的には余裕(ネット無借金)なので、年8円の配当は維持されるとみられます。

 

*参考記事① 2018-12-03 2,242円 ---

既存店底入れ気配見られず、新規出店を原則凍結・鳥貴族(3139)。

 

*参考記事② 2018-05-02 2,857円 ---

値上げ後は精彩を欠くが、店舗数は順調増・鳥貴族(3193)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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