【3246】コーセーアールイー/不正問題が尾を引くも、新中計はしゃがみ過ぎの印象。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3246】コーセーアールイー(東証一部/福岡) OP

現在値 590円/100株 PER12.3 PBR0.84 1月配当株主優待

福岡都市圏中心にマンションや投資用ワンルーム開発・分譲。
配当金は1月に一括の15円配当のため、配当利回りは約2.54%となります。

コーセーアールイーは株主優待制度を実施しており、1年以上保有を継続している単元以上の株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.38%となります(※2単元までは配当優待利回り維持)

業績から確認していきます。
■2017年1月期 売上高 102億円、経常利益 10.9億円 EPS 83.0円 
■2018年1月期 売上高 128億円、経常利益 17.5億円 EPS 132.7円

■2019年1月期 売上高 121億円、経常利益 15.4億円 EPS 100.3円

■2020年1月期 売上高 90.5億円、経常利益 6.4億円 EPS 41.9円 

■2021年1月期 売上高 93.0億円、経常利益 6.5億円 EPS 47.5円 ce
□2020年7月中 売上高 44.8億円、経常利益 3.6億円 EPS 24.8円 ce

2020年1月期の売上高は前期比25.5%減の90.5億円、経常利益は同58.3%減の6.4億円となり、期初より減収減益を予想していたものの、その予算を下回って着地しました。計画では資産運用型の完成戸数(販売予定戸数ではない)334戸、ファミリー型は同99戸を予想しており、そもそも前期より74戸少ない想定だったものの、実際の引き渡し戸数は其々301戸・87戸に留まり、資産運用型・ファミリー型ともに完成戸数を下回って在庫を持ち越す格好となりました。物件的には当社設立以来の最大物件となる資産運用型の千早(252戸)が寄与しました。なお管理戸数については、246戸程度積み上げて期末時点で3,443戸となりました。

進行期である2021年1月期の売上高は2.7%増の93.0億円、経常利益は1.3%増の6.5億円と、横ばい予想となっています。今期の資産運用型の完成戸数は602戸、ファミリー型は完成戸数52戸を予定しており実績期との比較では完成戸数自体は169戸ほど大幅に増加する見込みです。資産運用型においては前期の当社設立以来の最大物件となる千早に続き、千早4丁目A棟・B棟(合計504戸)のビッグプロジェクトの竣工を予定しているものの、単価の低い資産運用型であり、全部売りきっても100億円程の販売総額となるほか、竣工時期も期末に近いため在庫として相当数が残るものと考えられます。なお単価の張るファミリー型物件については、百道(18戸)・向新町(34戸)のみとなりますが、実績期積み残しの完成在庫を捌くとみられます。


実績期は3年中計の最終年度であり、途中で業績目標を減額して売上高は140億円(従予:141億円、CAGR11%)、経常利益は17.8億円(従予:17.1億円、CAGR17%)に修正していましたが、最終年度で子会社において顧客の銀行融資における源泉徴収票や賃料関係の必要書類を改ざんしていた不祥事が発生し、かかるコンプラ対策により販売が減速したことから、減額後目標を更に下回る水準で着地しています。進行期からは新3年中計を策定しておりますが、最終年度の2023年1月期に売上高105億円(CAGR5%)、経常利益は7.9億円(CAGR7%)と従来実績を下回る極めて保守的な計画値となっており、一旦はコンプラ重視のために“しゃがむ”想定をしているとみられます。

 

従前中計の考え方は、当社拠点である福岡エリアは本邦屈指の人口成長エリアではあるものの、昨今は大手デベロッパーの参入もあり他社競合が熾烈を極めているため、福岡を抜け出して首都圏に本格進出する方針でした。然しながら、件の不正融資問題が発生したほか、昨今の新型肺炎影響により、これまで素地の仕入れで競り負けていた福岡のホテルや商業の需要が後退したため、再び福岡エリアに注力する方針に改めています。そのため新中計期間は、地元福岡で金融機関の信頼を取り戻すべく“地固め”するための定性的色付けが強い3年間となりそうです。


財務状況については、2017年の東証一部指定変更時のPOで約24億円(@1,291円)もの調達しています。足許の株価水準はこのPO価格を大幅に割り込んでいるものの、自己資本比率は42.2%にまで良化しており、地方の新興マンデベとしては異例の高財務体質を誇っているため、不正融資問題や新型肺炎余波で(当社への)融資姿勢が厳しくなったとしても、余裕で持ちこたえられる水準感にあります。なお株主還元については、配当性向30%基準で比較的厳格に運用しているため、今期は2円増配の15円配当を予想しています

が、業績予想自体が保守的なので、期末の着地が上振れればその分はストレートに増配されることが期待されます。

 

*参考記事① 2019-05-28  752円 OP

会社側の様子見姿勢目立ち、全体的に手詰まり感も・コーセーアールイー(3246)。

 

*参考記事② 2018-05-05 970円 OP

中計増額ローリングもなお保守的、コーセーアールイー(3246)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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