会社側の様子見姿勢目立ち、全体的に手詰まり感も・コーセーアールイー(3246)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3246】コーセーアールイー(東証一部/福岡) ---

現在値 752円/100株 PER8.3 PBR1.08 1月配当株主優待

福岡都市圏中心にマンションや投資用ワンルーム開発・分譲。
配当金は1月に一括の33円配当のため、配当利回りは約4.39%となります。

コーセーアールイーは株主優待制度を実施しており、1年以上保有を継続している単元

以上の株主に対して、500円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは

約5.05%となります(※2単元までは配当優待利回り維持)

業績から確認していきます。
■2016年1月期 売上高 79.1億円、経常利益 6.9億円 EPS 60.7円
■2017年1月期 売上高 102億円、経常利益 10.9億円 EPS 83.0円 
■2018年1月期 売上高 128億円、経常利益 17.5億円 EPS 132.7円

■2019年1月期 売上高 121億円、経常利益 15.4億円 EPS 100.3円

■2020年1月期 売上高 121億円、経常利益 14.1億円 EPS 90.5円 ce
□2018年7月中 売上高 34.8億円、経常利益▲0.4億円 EPS▲0.4円 ce

2019年1月期の売上高は前期比5.7%減の121億円、経常利益は同11.8%減の15.4億円と

なり、期初より減収減益を予想していたものの、その予算を下回って着地しました。予算

段階では資産運用型の完成戸数(販売予定戸数ではない)330戸、ファミリー型は福岡・

鹿児島を中心として完成戸数186戸を計画していましたが、実際の引き渡し戸数は其々

322戸・171戸に留まり、資産運用型・ファミリー型ともに完成戸数を下回って在庫を持ち

越す格好となりました。一方、管理戸数については、300戸程度積み上げて期末時点で

3,197戸とし、業績への寄与は限られるものの、管理事業だけは増収増益となりました。

進行期である2019年1月期の売上高は0.4%減の121億円、経常利益は8.6%減の14.2億

円と、引き続き減収減益の予想となっています。今期の資産運用型の完成戸数は344戸、

ファミリー型は完成戸数99戸を予定しており実績期との比較では完成戸数自体は74戸

ほど減少する見込みです。今期は当社設立以来の最大物件となる千早(252戸)の竣工

を予定しているものの、コンパクトな資産運用型であり、全住戸売り切っても41億円程の

売上寄与に留まります。また、単価の張るファミリー型物件については、エリア外である

首都圏(立川)などでの分譲を予定しているものの、いかんせん竣工予定戸数が実績期

の半分程の99戸に留まるため、業績寄与が限定的なものとなります。


今期は2020年1月期を最終年度とする3年中計の最終年度となっておりまが、昨年7月に

にこの計画値を修正し、売上高は140億円(従予:141億円、CAGR11%)、経常利益は17.8

億円(従予:17.1億円、CAGR17%)を予想していました。然しながら、今期予想については、

上述のとおりこの修正目標を大幅に下回る予算を置いているため、事実上断念したもの

とみられます。当社の基本的なスタンスとしては、福岡の人口増という背景があるものの、

現状供給水準である400~500戸程度で頭打ちとみており、競合との仕入れ競争が激化

する福岡での供給に見切りをつけ、他の九州の主要都市ないしは首都圏へと軸足を移し

ている状況です。そのため、現状はその過渡期となっており、仕入も販売も中途半端

状態に陥っており、数字を作ろうにも作りづらくなっているような印象を受けます。

 

当社は2017年10月に東証一部に指定変更となっており、その際のPOで約24億円もの巨

額資金を調達しています。足許の株価水準は、PO価格である@1,291円を大幅に割り込ん

で株価が推移しているものの、仕入が進んでいないこともあって、自己資本比率は43.1%

にまで良化しており、地方の新興マンデベとしては異例の高財務体質を誇っています。

そのため、フロー型の分譲事業ではなく、ストック型の賃貸物件保有を増やしていくという

選択肢もあるものの、会社側では高値圏での仕入自体に慎重なスタンスであり、足許で

はフィー型の賃貸管理収入を増やしにかかるなど、様子見の姿勢が目立つ状況です。


なお、株主還元については、配当性向30%基準で利益成長に応じて増配していましたが、

減益基調に転じてしまったこともあり、今期も据え置きの年33円配当を予想しています。

既述のとおり財務的には余裕があるので、当面減配は考えなくてもよいかと思いますが、

成長力・株主還元力ともに手詰まり感が出てきてしまった印象は否めません。

 

*参考記事① 2018-05-05 970円 ---

中計増額ローリングもなお保守的、コーセーアールイー(3246)。


*参考記事② 2017-05-09  844円*分割修正済 ---
新中計はコンサバ路線か、コーセーアールイー(3246)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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