【6077】N・フィールド/離職率テコ入れ進み、トップラインの2桁成長も堅持。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6077】N・フィールド(東証1部)  OP

現在値 429円/100株 PER22.1 PBR2.55 12月配当 株主優待あり

精神疾患の患者への訪問看護事業。退院患者へ賃貸物件入居支援も。
配当金は年1回の5円の配当のため、配当利回りは1.17%となります。

N・フィールドは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の株主に対して、2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約5.28%となります。

業績を確認していきます。

■2016年12月期 売上高 60.8億円、営業利益 4.8億円 EPS 19.3円  
■2017年12月期 売上高 80.2億円、営業利益 5.6億円 EPS 24.2円  

■2018年12月期 売上高 93.9億円、営業利益 5.2億円 EPS 18.3円

■2019年12月期 売上高 104億円、営業利益 4.8億円 EPS 15.5円(2/7) 

■2020年12月期 売上高 118億円、営業利益 6.0億円 EPS 19.4円 ce 
□2019年6月中間 売上高 56.0億円、営業利益 1.5億円 EPS 3.1円 ce 

2019年12月期の売上高は前期比11.6%増の104億円、営業利益は同6.3%減の4.7億円となり、減益にはなったものの、売上・利益ともに期初予算を達成して着地しました。業容拡大の肝となる看護師の採用がまたしても未達に終わったほか、新規開設拠点も計画の21拠点に対して15拠点ほどに留まったものの、稼働率は概ね計画通りの水準を確保したほか、賃貸住宅紹介が好調に推移しました。一方、利益面については、リファラル採用や直接採用の取り組み強化により、人材紹介会社への支払いが減少したことや、単純な採用数の未達により採用コストが低減し、結果的に利益は上振れました。

進行期である2020年12月期の予算については、売上高が12.6%増となる118億円、営業利益は同25.5%増の6.0億円と2桁の増収増益を見込んでいます。既に47全都道府県に出店済となっているため、各拠点の統廃合ないし格上げ(営業所・出張所の事業所化)フェーズに移行しており、新規開設は実績期並みの16拠点を計画しています。KPIである人月あたりの訪問件数は、足許87件程度に留まっているものの、これは登録看護師の教育強化と離職率の低減を企図してあえて抑えていたような背景があるため、在籍年数が伸びて熟練度の向上が期待される今期は採算性の良化が見込まれます。なお、新型肺炎影響は軽微な部類と考えられますが、訪問看護際の業務手間が増えることから、一日の訪問可能件数が減少する可能性や新規採用面では多少影響が出るものとみられます。

 

今期は2022年12月期を最終年度とする4年間の中計の2年度目となっており、最終的に売上高155億円(CAGR13%)、営業利益10.8億円(CAGR20%)を目指しています。これまで過去8期に渡り、売上高CAGR20%を超える飛躍的な成長を遂げてきましたが、さすがに足許では成長カーブを鈍化させる青写真となっています。これは当社の所属看護師の8割が女性であり、かつ子育て・介護に時間を割かれる40代前後の世代が多いため離職率が極めて高く、結果として採用費が高止まりしていたことが背景にあります。そのため、本中計期間は医療情報管理システム「Oasis」の機能拡充や、稼動減少を含めた職員待遇の改善、初期教育の拡充といった雇用関係を整備し、離職率の改善を念頭に体制を再構築をするための4年間という位置付けになっています。

 

また、こうしたオーガニック部分のテコ入れだけでなく、これまで蓄積させた精神疾患データの活用(匿名化した上で外部提供)や、障害者雇用義務の精神障害者への適用範囲拡大を契機に、LITALICOやウェルビーのような就業支援サービスへと業容を拡大することで、2025年頃に売上高CAGR120%の奪回を志向しています。ただ実際のところ、従来の訪問看護事業における離職率と採用コストの抑制は明らかな良化傾向が確認されるものの、会社側の中計前提KPIである人月あたり稼動数KPIの96件は足許87件から相当な乖離があるほか、こうした従来事業以外の部分は進捗している気配がないため、向こう数年間の売上高2桁成長なら何とかなるかもしれませんが、利益計画については過大な印象を受けます。


株主還元に関しては総還元性向50%水準をメドとしてきましたが、「配当性向25%+自社株買い」といった形に還元方針を修正しています。実際に2019年2月には約1億円の自社株買いを実行しているものの、ここ1年程は実施していません。財務的には無借金で良好であり、資金需要がない業種であるため、この5~6年来安値に沈んだ株価水準では下支え的な実施が期待されるところであります。

 

*参考記事① 2019-04-15  759円 OP

看護師採用難続くが、トップライン成長は堅持。N・フィールド(6077)。

 

*参考記事② 2018-03-26 1,819円 OP

業績未達続くが、トップライン成長は著しい。N・フィールド(6077)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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