看護師採用難続くが、トップライン成長は堅持。N・フィールド(6077)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6077】N・フィールド(東証1部) --ー

現在値 759円/100株 PER54.8 PBR4.62 12月配当 株主優待あり

精神疾患の患者への訪問看護事業。退院患者へ賃貸物件入居支援も。
配当金は年1回の5円の配当のため、配当利回りは0.66%となります。

N・フィールドは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の株主に対して、

2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約

3.29%となります。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 43.5億円、営業利益 5.1億円 EPS 20.1円 
■2016年12月期 売上高 60.8億円、営業利益 4.8億円 EPS 19.3円  
■2017年12月期 売上高 80.2億円、営業利益 5.6億円 EPS 24.2円  

■2018年12月期 売上高 93.9億円、営業利益 5.2億円 EPS 18.3円(2/8) 

■2019年12月期 売上高 105億円、営業利益 4.3億円 EPS 13.8円 ce 
□2019年6月中間 売上高 49.9億円、営業利益 0.9億円 EPS 0.6円 ce 

2018年12月期の売上高は前期比17.0%増の93.2億円、営業利益は同8.5%減の5.2億円

となり、例年通り売上・利益ともに計画未達となったほか、営業利益は減益となりました。

事業拡大の肝となる看護師の採用が想定より進まなかったほか、都市部での看護師の

需給タイト化等による人材紹介会社への紹介手数料の増加が収益を押し下げました。
また、精神科業務習熟度の低い看護師の採用増加による現場への投入の遅れも響き、

新規拠点の開設も計画の25拠点に対して、21拠点に留まりました。

進行期である2019年12月期の予算については、売上高が11.8%増となる105億円、営業

利益は17.9%減の4.3億円とまさかの連続減益を見込んでいます。既に47全都道府県に

出店済であり、実績期では1拠点を閉鎖していることから、拠点は統廃合フェーズに移行

しており、新規開設は21拠点ほどに留める計画です。足許では看護師の採用は順調に

進んでいる模様ですが、当社の場合期央に採用が減速する傾向があるため、割引いて

評価する必要がありそうです。また、今期も習熟度の低い看護師の育成・教育を優先す

るため(約半年の教育期間を要する)、人月あたりの訪問件数は88→87件へと減少する

前提となっており、稼働の低下により採算性が悪化する格好となります。

 

当社は2022年12月期を最終年度とする4年間の中期経営計画を策定しており、最終的

には売上高155億円(CAGR13%)、営業利益10.8億円(CAGR20%)という数字を掲げてい

ます。これまで過去7期に渡り、売上高CAGR30%超の飛躍的成長を遂げてきましたが、

意図的にスピードダウンさせる方針となっています。これは当社の所属看護師の80%が

女性であり、かつ子育て・介護に時間を割かれる40代前後の世代が多いため、離職率

非常に高く、結果として人材紹介会社への採用費用支払いが高止まりしてしまっている

ことが背景にあります。そのため、中計初年度である2019年12月期からは、既述の通り

働きやすい雇用環境の整備に注力するほか、医療情報管理システム「Oasis」の機能拡

充や、待遇改善を実施して、持続可能な成長へ向けた体制の再構築をする方針です。

 

そんなわけで、向こう4年の成長モメンタムは大幅に鈍化するものの、体制再構築により

オーガニック再成長を目指す以外の施策としては、これまで蓄積させた精神疾患データ

の活用(匿名化した上で外部提供?)や、2018年4月の法令改正による障害者雇用義務

の精神障害者への適用範囲拡大を契機に、LITALICOやウェルビーのような就業支援

サービスにも進出する意向です。そして会社側としては2025年頃までに、売上高CAGR

120%の奪回を志向していますが、その水準感の議論するには時期尚早かと思います。


また、株主還元に関しては総還元性向50%水準をメドとしてきましたが、「配当性向25%

+自社株買い」といった形に還元方針を修正しています。実際に本年2月には約1億円の

自社株買いを実行しているため、今期の計算上の総還元性向は9割を超える計算とな

ります。この自社株買いは(内容の悪い決算の)株価対策の側面が強いものの、いくら

無借金といえども株主還元に振り向け過ぎなので、会社側としては足許の株価水準が

安すぎるという、アナウンス効果を狙った可能性もありそうです。

 

*参考記事① 2018-03-26 1,819円 ---

業績未達続くが、トップライン成長は著しい。N・フィールド(6077)。


*参考記事② 2017-03-30 1,459円 ---
業績未達も拠点拡大は順調、N・フィールド(6077)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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