【3139】ラクト・ジャパン(東証1部) OP
現在値 3,095円/100株 PER14.4 PBR1.91 11月配当 5月株主優待
旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の30円配当のため、配当利回りは0.97%となります。
ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.29%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しています。(ギフト内容:欧州産チーズ詰め合わせや十勝チーズ、十勝白い牧場アイス詰め合わせ等)
業績は以下の通りとなります。
■2016年11月期 売上高 886億円、経常利益 14.3億円 EPS 96.8円
■2017年11月期 売上高 1,013億円、経常利益 25.2億円 EPS 179.5円
■2018年11月期 売上高 1,154億円、経常利益 26.1億円 EPS 182.3円
■2019年11月期 売上高 1,167億円、経常利益 27.4億円 EPS 200.1円
■2020年11月期 売上高 1,300億円、経常利益 30.0億円 EPS 213.8円 ce
□2020年5月2Q 売上高 620億円、経常利益 14.0億円 EPS 99.7円 ce
2019年11月期の売上高は前期比1.2%増の1,167億円、経常利益は同5.1%増の27.4億円での着地となり、売上高・利益ともに期初予算をショートしたものの、概ね予想通りの水準で着地しました。主力の乳原料・チーズ事業において、所管独法である農畜産業推進機構(ALIC)が国内の脱脂粉乳不足を受けて輸入量を増加させたことによる在庫のダブつきの影響を受けたほか、食肉加工品事業についても国内の豚肉需要が軟調で供給過多だったことから、何れも減収となりました。一方、アジア事業については、豪州産生乳の高騰でオセアニア圏の他社が価格競争力を失う中、生乳仕入地を分散させている当社が優位に立ったほか、タイ工場をはじめとする現地のチーズ製造・販売事業の急伸により大きく収益貢献し、主要2部門に代って全社業績を押し上げました。
進行期である2020年11月期の予算については、売上高が11.3%増の1,300億円、経常利益は9.2%増の30.0億円を予想しています。主力の乳原料・チーズ事業においては、ALIC方針により引き続き脱脂粉乳の在庫過多の影響を受けるほか、外食需要減少にともなうチーズ需要の伸び悩みが懸念されるものの、チーズや調製品といった好採算品を重視することでミックス改善を図ります。また、食肉加工品事業についても、日米FTA発効にともなう採算性良化が見込まれます。アジア事業についても、食の欧米化の潮流を受け需要が漸増しているものの、豪州圏乳価が高止まりしているため、多様な調達経路を持つ当社の優位な状況が継続しています。以上から、新型肺炎による外食向けの停滞は懸念されるものの、主力2事業の回復と、アジア製販事業の成長が期待されるため、伸び幅はともかく増収増益は何とか可能な範囲にあるかと考えています。
当社はローリング方式の中計を洗替しており、今期を期初としたロール後の新中計では、3年後の2022年11月期に売上高1,410億円(CAGR6.5%)・経常利益35億円(CAGR8%)を目指しています。前回中計比で向こう3年間の売上高CAGRが150bps.、経常利益CAGRが100bps.減速しているものの微減の範囲であり、成長モメンタムには大きな変化が無いものと認識しています。前提のファンダメンタルズとして、国内の乳製品消費量はここ20年間は約12百万トンで頭打ちであるものの、同生産量は酪農家の高齢化による廃業で輸入依存度が尻上がりに上昇しているため(輸入依存度はこの20年で10pt.上昇して43%と推定)、乳製品商社としてシェアの約35%を握る首位の当社はそのをフルに享受出来る立場であることが強みです。ヨーグルトブーム一服で、脱脂粉乳が過剰在庫状態となっていることだけがネックですが、これは遠からず解消していくものと考えています。
海外事業についても、主戦場であるアジアで乳製品消費量も飛躍的に増加しているため、国内同様に事業環境のファンダメンタルが良好です。当社は商社機能に留まらず、シンガポールやタイに工場を開設してメーカー機能を有していることが特徴です。そしてこれらの2工場はフル操業状態で黒字化しているほか、シンガポール工場は設備増強により今年度後半に生産能力が1.3倍に拡大する見通しとなっています。こうした採算性の高い製販分野の伸長により、アジアを中心とした海外事業が今後の全社利益を牽引することが期待されるため、今回ロールした中計目標値についても、達成可能な範囲にあるものと考えています。
なお配当金については、これまでは配当性向11%水準で株主還元を極限まで絞ってきましたが、自己資本比率が前期比380bps.良化して33.0%となり、ターゲットとしていた30~40%のレンジに入ったことから、配当性向を14%にまで引き上げ、配当予想を22円→30円へ8円も増配しています。これでもなお還元不足とみることは出来ますが、当社の場合はアジアで工場を新設するというある種明確な資金需要があるため、まぁこんなものかと思います。
*参考記事① 2019-10-19 3,635円 NT
脱脂粉乳の高在庫は一過性、成長シナリオ不変。ラクト・ジャパン(3139)。
*参考記事② 2019-03-25 4,225円 NT
商社株ではなく食品株としての株価評価へ変貌、ラクト・ジャパン(3139)。
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