【8252】丸井グループ(東証一部) OP
現在値 2,469円/100株 PER20.1 PBR1.83 3月配当優待 9月配当優待
自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計57円のため、配当利回りは約2.31%となります。
丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で単元株を保有する株主に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポンを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.92%となります。また別途、3月末にエポスカード会員限定の優待として1,000円分のエポスポイントを進呈しています。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 2,458億円、経常利益 291億円 EPS 70.7円
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円
■2018年3月期 売上高 2,389億円、経常利益 351億円 EPS 93.1円
■2019年3月期 売上高 2,514億円、経常利益 397億円 EPS 115.9円
■2020年3月期 売上高 2,560億円、経常利益 420億円 EPS 122.6円 ce修正
□2019年9月2Q 売上高 1,254億円、経常利益 219億円 EPS 64.4円
□2019年12月3Q 売上高 1,864億円、経常利益 318億円 EPS 91.9円(2/6)
2019年9月中間期の売上高は前年同期比1.8%増の1,254億円、経常利益は同14.1%増の219億円となり、期初予算との比較は無いものの増収増益を確保しました。主力の小売事業においては、前期に従来型の消化仕入区画から定借型区画への切替が完了して通期貢献を始めたものの、自社売場の一部で後継テナントが決まらなかった区画があったほか、EC事業も非常に苦戦したため、定借化完了で採算性は改善したものの、セグメント利益は微増程度に留まりました。一方、金融事業については好調に推移し、会員数は前年同期比6%増の708万人(ゴールド会員は同15%増の230万人)に膨らんだことによる取扱高の大幅な増加にくわえ、リボ債券流動化による債権譲渡益が71億円の発生もあり、新たに積み増した引き当て・償却・利息返還等の費用▲9億円をネットしてなお大幅なセグメント増益となり、全社業績を押し上げました。
2020年3月期の予算については、3Q時点で再修正しており、売上高が前期比1.8%増の2,560億円(期初予:2,590億円)、経常利益は同5.6%増の420億円(期初予:435億円)に減額しているものの、11期連続となる増益達成を見込んでいます。小売事業においては、既に100%切替を完了した定借型売場を更に拡大する方針であり、バックヤード倉庫や自主企画売場を廃して5千坪を捻出し、レンタブル床に切り替える方針ですが、当初貸し出すことを想定していなかった導線の弱い区画のため、リーシングに苦戦しています。金融事業については、新規会員の獲得と上級会員化施策等により、業界平均の年7%を大きく上回る年17%~19%強の取扱高伸長が続けているほか、今期は消費税5%還元による“追い風”効果もあり、今期の取扱高は期初予想通り2兆7,500億円水準を確保するとみられます。ただ、全社としては小売事業におけるECの大苦戦と、台風・暖冬影響による影響が色濃く出る形で期初予算までは届かない見通しです。
今期は2021年3月期を最終年度とする5年中計の4年度目となり、2年後に営業利益500億円(計画前実績352億円/CAGR約11%)を目指しています。この中計のドライバーの一つは、小売事業における定借化の推進となりますが、これは既に前期に達成しており、追加で5千坪をレンタブル化するため、当該区画のリーシングの完了を前提に追加で10億円分の損益改善が見込まれます。ただその一方、既存でSC化しているモディ渋谷の廃墟化が進んでいる点など別の角度での割引要素もあるので、本セグでの上振れ期待は難しいと考えています。
金融事業については、定借化による副作用で会員増加が伸び悩んでいたものの、ネット決済大手のGMOPGや、住宅仲介大手のエイブルとの提携により、丸井店舗外での新規会員の獲得を目指した結果、会員数の増加は概ね計画通りに進んでいると考えられます。ハウス証券会社である「tsumiki証券」や、VC事業は想定以下の推移となっているものの、VC事業については昨年10月にEコマース支援のBASE(4477、当社出資比率6.1%)がマザーズに上場するなどしており、多少は芽が出ているような印象も受けます。
そのため、この5年中計目標については達成の雲行きがかなり怪しくなってきたと判断しているものの、当社最大の投資論点は株主還元妙味にあると考えています。前期は配当性向40%基準に従い、38→49円へと一気に11円増配し、7期連続の増配を果たしました。中期目標の配当性向55%についても、2024年3月期を時限に段階的に配当性向を引き上げていく方針であり、今期は更に8円積み増して年57円配(46.4%)を予想しています。またこれと別に70億円の自社株買いを実行しているため、総還元性向は実に7割強にのぼる公算です。特に今回、向こう5年間の「EPS年間成長率10%、年間増配率15%」を還元イメージとして公表していることから、中期的に自社株買いを絡めた上での高還元施策が継続される蓋然性が高いと思われます。
*参考記事① 2019-02-05 2,214円 OP
メガトン自社株買い一服も、本業好調で増額修正・丸井グループ(8252)。
*参考記事② 2019-07-24 2,320円 OP
中計高進捗で、株主還元もハイピッチで進む・丸井グループ(8252)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。