中計高進捗で、株主還元もハイピッチで進む・丸井グループ(8252)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8252】丸井グループ(東証一部) OP

現在値 2,320円/100株 PER18.3 PBR1.77 3月配当優待 9月配当優待

自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計57円のため、配当利回りは約2.46%となります。

丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で単元株を保有する株主

に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポンを進呈しておりますので、配当優

利回りは約3.31%となります。また別途、3月末にエポスカード会員限定の優待として

1,000円分のエポスポイントを進呈しています。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 2,458億円、経常利益 291億円 EPS 70.7円
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円 

■2018年3月期 売上高 2,389億円、経常利益 351億円 EPS 93.1円 

■2019年3月期 売上高 2,514億円、経常利益 397億円 EPS 115.9円 

■2020年3月期 売上高 2,590億円、経常利益 435億円 EPS 127.1円 ce
□2019年9月中 売上高 1,270億円、経常利益 215億円 EPS 60.7円 四e

2019年3月期の売上高は前期比4.6%増の2,514億円、経常利益は同13.2%増の397億円と

なり、中間時点の増額後予算には届かなかったものの、期初予算を超過し、2桁の増益を

果たしました。主力の小売事業においては、従来型の消化仕入区画から定借型区画への

切替が想定を超過するペースで進捗し、期初の87%から一気に100%の区画で切替完了し、

採算性が一段と良化しました。一方、金融事業については、念願の年80万人の新規会員

を獲得したことによる取扱高の増加にくわえ、リボ債券とキャッシング債券を流動化したこ

とによる債権譲渡益61億円の発生もあり、利息返還費積み増しによる費用増▲34億円を

ネットしてなお大幅なセグメント増益となり、全社業績を大きく押し上げました。

 

進行期である2020年3月期の予算については、売上高が3%増の2,590億円、経常利益は

9.3%増の435億円を予想しており、11期連続となる増益達成と、ほぼ2桁の利益成長継続を

見込んでいます。小売事業においては、実績期の仕上がりで106%を達成した定借型売場

(100%を超過するのは、バックヤードの倉庫がレンタブル面積に変わるなどするのが原因)

の通期利益貢献がはじまることにくわえ、なお今期は2千坪程のレンタブル面積を積み増す

計画となっています。金融事業についても、業界平均の年7%を大きく上回る年17%~19%強

の取扱高伸長が続いており、足元のカード会員の増加傾向も相俟って、当該セグメントも

2桁の利益成長が継続する公算です。なお、全社利益予算では研究開発費を積み増して

いるものの、定借化完了したこともあり、消費増税による影響は殆ど織り込んでいません。


今期は2021年3月期を最終年度とする5年中計の4年度目となり、2年後に営業利益500億

円(計画前実績352億円/CAGR約11%)を目指しています。この中計のドライバーの一つは、

小売事業における定借化の推進となりますが、上述のとおり計画より前倒しで完了してし

まっているので、小売事業については中計期間における定性目標を既に達成しています。

 

一方、金融事業については、定借化による副作用で会員増加が伸び悩んでいたものの、

ネット決済大手のGMOPGや、住宅仲介大手のエイブルとの提携により、自社店舗に限ら

ない新規会員の獲得を目指した結果、長らく目標としてきた年間80万人の獲得を果たし、

くわえて高単価化・アクティブ化を図るために、昨年から家族ゴールド会員制度を導入し、

取扱高が反転に転じています。その他、アニメ事業や家賃保証事業といったサブセグメン

トについても、カード会員増によるシナジー効果発現により、高成長を果たしていますが、

ハウス証券である「tsumiki証券」や、VC事業は想定以下の推移となっている模様です。

 

当社の投資論点としては、主力2事業が好調なため、進行中の5年中計については達成

可能圏にあると判断される点(来期も2桁の利益成長が期待される)と、手厚い株主還元策

にあると考えています。実績期は配当性向40%基準に従い、38→49円へと一気に11円も

増配し、7期連続の増配を果たしました。中期目標として掲げてきた配当性向目標の55%

についても、2024年3月期を目処とした時限目標に切り替えているため、今後は段階的に

配当性向を引き上げていく方針であり、今期はさらに8円積み増して年57円配(44.8%)を予

想しています。またこれとは別に70億円の自社株買いを実行しているため、総還元性向

はおよそ7割程に到達する公算であり、好業績を背景に破竹の高還元が期待されます。

 

*参考記事① 2019-02-05 2,214円 OP

メガトン自社株買い一服も、本業好調で増額修正・丸井グループ(8252)。

 

*参考記事② 2018-08-21 2,344円 OP

爆裂高還元は今期で終了?自社株買いおかわりに期待・丸井グループ(8252)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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