メガトン自社株買い一服も、本業好調で増額修正・丸井グループ(8252)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8252】丸井グループ(東証一部) ---

現在値 2,214円/100株 PER19.4 PBR1.74 3月配当優待 9月配当優待

自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計47円のため、配当利回りは約2.12%となります。

丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で単元株を保有する株主

に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポンを進呈しておりますので、配当優待

利回りは約3.92%となります。また別途、3月末にカード会員限定ですが、1,000エポスポイント

を進呈しています。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 4,049億円、経常利益 280億円 EPS 58.9円
■2016年3月期 売上高 2,458億円、経常利益 291億円 EPS 70.7円
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円 

■2018年3月期 売上高 2,389億円、経常利益 351億円 EPS 93.1円 

■2019年3月期 売上高 2,530億円、経常利益 400億円 EPS 114.4円 ce修正
□2018年9月中 売上高 1,132億円、経常利益 192億円 EPS 56.8円(11/8)

2018年9月中間の売上高は前期比6.8%増の1,132億円、経常利益は同24.4%増の192億円

となり、期初予算との比較はないものの、コンセンサス水準を上回って着地しました。主力

の小売事業においては、従来型の消化仕入区画から定借型区画への切替が想定を超過

するペース(87%→96%)で進捗したことで採算性が一段と改善しました。一方、金融事業に

ついては、上期で念願の40万人の新規会員を獲得したことによる取扱高の増加にくわえ、

リボ債券流動化による債権譲渡益42億円の発生もあり、利息返還費積み増しによる費用

増25億円をネットしてなお大幅なセグメント増益となり、全社業績を大幅に押し上げました。


また、本中間時点において2019年3月期の通期の予算についても増額しており、売上高が

5.2%増の2,530億円(従予:2,490億円)、経常利益も同13.8%増の400億円(従予:390億円)へと

それぞれ修正しており、10期連続となる増益達成と、2桁成長の継続を見込んでいます。

小売事業においては、日本リテールファンド物件である川崎ルフロンおよび水戸店の閉鎖

による減収影響があるものの、今期で100%完了を目指す定借化(による利益率の改善)が

特に利益面で寄与するほか、金融事業についても、業界平均の7%を大きく上回る17%強の

取扱高伸長が続く見通しであり、既述のリボ債券流動化益といった営業利益段階から算入

される一時利益も相俟って、当該セグメントについても2桁を超える増益が見込まれます。


今期は2021年3月期を最終年度とする5年中計の3年度目となり、3年後に営業利益500億

円(直近期実績352億円/CAGR約11%)を目指しています。この中計のドライバーの一つは、

小売事業における定借化の推進となりますが、既述のとおり、想定超のペースで推移して

いるため、今期中の定借化完了が見込まれます。

 

一方、金融事業については、定借化の副作用でカード会員の新規獲得が計画に届かない

(カードの勧誘が丸井社員でなく、テナントスタッフ任せとなるため)公算が高かったものの、

ネット決済大手のGMOPGと提携し、ネットショップ経由の会員増を図るとともに、住宅仲介

大手のエイブルと提携し、同社直営店舗網を通じた新規会員の獲得を図るなどの手打ち

を講じました。その結果、足許では長らく目標としてきた年間80万人を確保する見通しで

あり、今期は最終的に期末で82万人程の新規会員の獲得を目指しています。また、金融

事業においては、昨年9月よりNISA積立のハウス証券会社「tsumiki証券」をサービスイン

しており、当分は全く業績寄与しないと思われるものの、自社カード会員へのセールスに

より中長期的に新たなストックビジネスとして寄与していくことが期待されます。

 

そして当社最大のウリである株主還元については、配当性向40%基準に従い、38→47円

へ7期連続となる9円の増配を予定しています。また、今期も自社株買いを70億円規模で

実施しており、今期の予想総還元性向は69.1%となります。直近4期合計で850億円もの

メガトン級の自社株買いを繰り出してきたこともあり、息切れ感は否めない状況ですが、

今期もなんだかんだで総還元性向100%を達成するため、追加で自社株買いする可能性

は十分にありそうです。ただ、中長期的には「配当性向55%、総還元性向70%」を掲げてい

るものの、配当へのシフト意向も公言しているため、自社株買いを手段とした株主還元に

ついては、来期あたりでそろそろ一服してくるものと思われます。

 

*参考記事① 2018-08-21 2,344円 ---

爆裂高還元は今期で終了?自社株買いおかわりに期待・丸井グループ(8252)。

 

*参考記事② 2018-01-31 2,012円 ---

小売・金融ともに好調で、株主へのフル還元続く・丸井グループ(8252)。

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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