小売・金融ともに好調で、株主へのフル還元続く・丸井グループ(8252)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8252】丸井グループ(東証一部) ---

現在値 2,012円/100株 PER22.2 PBR1.65 3月配当優待 9月配当優待

自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計37円のため、配当利回りは約1.84%となります。

丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株を

保有する株主に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポンを

進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.82%となります。また別途、

3月末にカード会員限定ですが、1,000エポスポイントを進呈しています。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 4,164億円、経常利益 276億円 EPS 56.3円
■2015年3月期 売上高 4,049億円、経常利益 280億円 EPS 58.9円
■2016年3月期 売上高 2,458億円、経常利益 291億円 EPS 70.7円
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円 

■2018年3月期 売上高 2,455億円、経常利益 350億円 EPS 91.4円 ce
□2017年9月中 売上高 1,145億円、経常利益 154億円 EPS 41.0円(11/9)

2017年9月中間期の売上高は前年同期比1.4%減の1,145億円、経常利益

は同17.1%増の154億円となり、期初予算比では減収増益となりました。

主力の小売事業においては、従来型の消化仕入区画の不振が継続した

ものの、定借化区画の割合増加が奏功し、2期振りに期初予算比・前年

比ともにクリアとなりました。金融事業については、カード会員総数の増

や、取扱高の高いエリート会員(ゴールド・プラチナ)の割合増加により、

セグメント利益は128→146億円へと大幅に増加し、業績を牽引しました。


なお、2018年3月期通期の予算については、売上高が3.6%増の2,455億円、

経常利益は12.4%増の350億円と、9期連続の増益予算を据え置いています。

小売事業における定借化比率は、上期で更に進捗(62→74%)しているため、

前期末の16%をピークに高い水準が続いていた遊休区画比率についても、

期末までに11%まで改善する公算です。また、仮に定借化しても損益改善

の難しい川崎店(主にラゾーナの影響)や水戸店(商業地としての地盤沈下)
については本年中に閉鎖してしまう計画です。金融事業については、引き

続き取扱高の増加が見込まれるほか、懸案の過払利息の返還がほぼ峠

超えたため、向こう数期に渡り安定した利益成長(復元)が期待出来ます。

かような状況から、今期の会社予算は達成可能な範囲と判断しています。

今期は2021年3月期を最終年度とする5年中計の2年度目であり、3年後に
営業利益500億円(直近期実績312億円/CAGR約11%)を目指しています。

この中計のドライバーの一つは、小売事業における定借化の推進であり、

来期中に念願の定借化比率100%を達成する見込みであるため、不採算の

消化仕入区画と遊休区画の消滅により、相当な損益改善が見込まれます。

また、金融事業については、定借化の副作用でカード会員の新規獲得が

計画に届かない(カード勧誘が社員でなく、テナント任せとなることが原因)

ものの、既述の過払利息の減少とテナントでの分割払い・リボ払いの解禁

といった施策により、相当程度のモメンタムでの利益成長は可能とみます。

 

また、当社の凄まじいところはこの意欲的な中計数値だけではなく、今期も

配当性向40%基準に従い、33→37円へと6期連続となる4円増配を予定して

いることや、自社株買いを150億円規模で実施しており(※111億円購入済)、

総還元性向は113%となるため、4期連続の100%超過還元となることです。

会社側は配当に直接影響するEPSの見た目を非常に重視していることから、

最悪業績が届かなくても、大量の自社株買いという実弾の資本政策により、

還元を果そうとする株主重視姿勢が鮮明であり、非常に高く評価出来ます。

 

このような資本政策絡みのコーポレートアクションも特徴的ですが、博多店

における導入階の食品・飲食フロア化も百貨店業界の常識を外れるかなり

チャレンジングな取り組みであり(当社の後で仙台パルコ2は同じことをやる)、

青井一族による同族経営により、サラリーマン会社ばかりの同業他社では

絶対に実現できないスピードで構造改革が進んでいます。

 

なお、あえて当社の弱点を挙げるとすれば、パルコや他の百貨店と異なり、

あまり自社所有の不動産を持っていないことであり、EC化の進展等で若者

を相手にするテナントから十分な賃料が取れない場合には、構造的に相当

苦しくなるため、博多店のような客層を分散させる取り組みが望まれます。

 

*参考記事① 2017-06-29 1,686円 ---

4期連続で総還元性向100%超へ、丸井グループ(8252)。

 

*参考記事② 2016-12-04 1,567円 ---
投資家コンシャスがより鮮明化、丸井グループ(8252)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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