4期連続で総還元性向100%超へ、丸井グループ(8252)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_6187.JPG

【8252】丸井グループ(東証一部) ---

現在値 1,686円/100株 PER18.8 PBR1.4 3月配当優待 9月配当優待

自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計37円のため、配当利回りは約2.19%となります。

丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元以上
を保有する株主に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポン
を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.56%となります。また別途、

3月末にカード会員限定ですが、1,000エポスポイントを進呈しています。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 4,164億円、経常利益 276億円 EPS 56.3円
■2015年3月期 売上高 4,049億円、経常利益 280億円 EPS 58.9円
■2016年3月期 売上高 2,458億円、経常利益 291億円 EPS 70.7円
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円 

■2018年3月期 売上高 2,455億円、経常利益 350億円 EPS 91.5円 ce
□2017年9月中 売上高 1,175億円、経常利益 145億円 EPS 39.7円 ce

2017年3月期通期の売上高は前期比3.6%減の2,370億円、経常利益は同
6.8%増の311億円と減収増益となり、利益は中間時の減額修正予想値を

クリアしました。主力の小売事業においては従来型の消化仕入の不振や、

定借化に伴う遊休区画の発生により前年を下回りました。また、金融事業

はにおけるエポスカード等の総取扱高は前期比17%増の1兆7237億円と、

高い伸びを維持出来たことでリボ・分割払い収入が底上げされ、全社業績

を大きく押し上げ、不振の小売事業をある程度カバーしました。

進行期の2018年3月期の予算については、売上高が3.6%増の2,455億円、

経常利益は12.4%増の350億円と、9期連続となる増益を計画しています。

前の期に小売事業における定借化が大幅に進捗(20→62%)しているため、

今期から大きく収益改善効果が発現するほか、急速な定借化の副作用で

実に16%もの高水準に達していた遊休区画についても、ある程度埋め戻し

が進捗する公算であり、今期は均して12%程での推移を見込んでいます。

今期は2021年3月期を最終年度とする5年中計の2年度目であり、4年後に
営業利益500億円(直近期実績312億円/CAGR約11%)を目指しています。

既述のとおり、急速な定借化により初年度から伸び悩む形となりましたが

今期は中計並みの成長モメンタムの確保が期待されます。また、収益源と

なる金融事業については、足許で手数料の発生するリボ・分割払いによる

支払いが急速に伸長しており、中でも加盟店への分割払い適用を百万店

規模に激増させたため、分割払い決済数が1年で倍増しており、この分割

払いの認知度向上により、ストック収入の飛躍的な増加が期待されます。

(ZOZOのツケ払い浸透で、若者の先払抵抗感が減ったのかもしれません)

 

ただ、小売事業・金融事業ともに死角が無いようも見えますが、小売事業

は定借化により、売上不振リスクをテナントにヘッジしたところで、構造的

な小売(もっと言うとアパレル)不振には対応出来ていませんし、金融事業

に関しては、テナント化によるカード勧誘力の低下や、決済手段の多様化

により、エポスのトランザクションをスルーされるリスクも高まってきている

ため、足許で鈍化する新規のカード会員獲得状況については要注意です。

事業の状況はかような状況ですが、当社は株主還元に関しても並々なら

ぬ意欲を見せており、今期も配当性向40%基準に従い、33→37円へと6期

連続となる4円増配を予定しています。また、今期も自社株買いを150億円

規模で実施する予定であり、例年通り全部買うとすると仮定すると総還元

性向は約113%となり、4期連続の100%超過還元も達成することとなります。

会社側のスタンスとしては、最悪業績が未達であっても、メガトン級の自社

株買いの実施により、力づくでもEPSを上伸させる意図があるようです。

 

また、業績や直接的な還元以外のIR活動に注力しており、年間200~300

社の機関投資家IRやIR-Dayの開催、英字開示情報の充実により、昨年は

米国の金融専門誌で本邦の小売企業で最優秀IR企業(1位)を獲得する等

しているため、今後は機関投資家の厚みが増してくる可能性があります。

ややスピード違反気味ですが、青井一族の同族経営に期待しています。

 

*参考記事① 2016-12-04 1,567円 ---
投資家コンシャスがより鮮明化、丸井グループ(8252)。

*参考記事② 2016-07-11 1,399円 ---
自社株買いと増配ピッチが急拡大、丸井グループ(8252)。

 

 

会社四季報 2017年 3集夏号 [雑誌]

新品価格
¥2,060から
(2017/6/11 06:43時点)

 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村