【3965】キャピタル・アセット・プランニング/特定顧客へ高依存だが、指定替えの要件満たす。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3965】キャピタル・アセット・プランニング(東証二部) BY

現在値 1,312円/100株 PER16.6 PBR 2.49 9月配当株主優待 3月配当

生命保険の販売支援システムとコンサルが主体。相続対策システム育成中。
配当金は3月末・9月末合計21円配予想のため、配当利回りは1.60%となります。

 

キャピタル・アセット・プランニングは株主優待制度を導入しており、9月末に単元株を保有する株主に対して、1,500円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りはおよそ約2.74%となります(2単元以上の場合は2,500円分のカタログギフト)。

業績を確認していきます。
■2016年9月期 売上高 42.4億円、営業利益 2.4億円 EPS 37.0円 
■2017年9月期 売上高 60.1億円、営業利益 3.4億円 EPS 43.2円 

■2018年9月期 売上高 65.4億円、営業利益 5.0億円 EPS 53.2円

■2019年9月期 売上高 72.9億円、営業利益 6.2億円 EPS 76.3円

■2020年9月期 売上高 82.0億円、営業利益 7.1億円 EPS 78.8円 ce

□2019年12月1Q  売上高 12.5億円、営業利益▲1.2億円 EPS▲16.5円(2/7)
□2020年3月2Q  売上高 38.0億円、営業利益 2.6億円 EPS 28.7円 ce

2019年9月期は単体決算から連結決算に移行したため百分率比較はないものの、売上高は前期比7.4億円増の72.9億円、営業利益は同1.2億円の6.2億円となり大幅な増収増益を確保したほか、対予算に対しても上振れました。主力の生保向けシステムについては、前期の生保標準生命表改訂に伴う特需が剥落したものの、売上依存度46%(前期40%)を占める大口相手先であるソニー生命や、同11%(前期15%)を占める三井住友海上あいおい生命等に対して、申込書ペーパレス化システムや医務査定自動化等のRPA系商品の販売が好調に推移しました。また、インフォーム社を期中に完全子会社化したことにより、同社業績の9ヶ月分を取り込んでいます。

 

進行期である2020年9月期の予算に関しては、売上高が12.5%増の82.0億円、営業利益は13.6%増の7.1億円を予想しています。期初時点における受託開発の受注残は1年前と比べて4割強少ない8.2億円となっているものの、今期もソニー生命を中心に高水準のシステム投資が見込まれるほか、生保他社・証券・銀行会社向けのライフプランシステムの受注が下期に予定されていることから、期中で受注を積み増し、最終的に2桁の増収増益で仕上げる計画となっています。そのため、去る2月7日に1Qが開示されているものの、積極採用策による人件費負担が先行投資的に重くのしかかっており、業績進捗の観点からはあまり見栄えのしないものになっています。

 

当社は2016年10月のIPO企業ですが、JASDAQ・スタンダード市場への上場だっただめ、成長可能性資料は開示されておらず、中長期的な業績の定量目標等も示されていません。ただ、成長のための定性的な取組みは3点示されており、①サラリーマン向けのスマホ用ライフプランニング・アプリ、②富裕層向けのファンドラップを含めたアグリゲーションシステム、③企業経営者向けの事業承継・相続システム、以上3点の拡充・拡販により、現在のソニー生命“一本被れ状態”となっている状況からの脱却を図る方針です。ただ実態としては、得意の生保向けシステム受注でついでに医務査定自動化といったRPA絡みの案件を拾ってきてそちらで受注高を稼いだりしているので、特定顧客への売上依存度が高まっている可能性も高く、そこは留意が必要かと思われます。

 

2018年末には生損保業務に特化したSIerであるインフォーム社(年商5億円、利益僅少)の株式を追加取得しており、同社顧客である損保向けへの新規拡販を狙うとともに、外注費の軽減も図る方針です。また、昨年2月には青山財産ネットワークス(8929、青山財産)と資本業務提携を締結しており、当社が青山財産の1.6%持分を取得したほか、それと同時に日本M&Aセンター(2127、MAセンタ)も青山財産を2.9%持分を取得しており、本スキームはMAセンタでイグジットした企業経営者等に対して、青山財産で当社のシステムを用いて運用助言を行ったり、節税用の小口化不動産を売りつける内容となっています。MAセンタ、青山財産ともに事業承継や相続ニーズの高まりで業績が伸長しており、当社としても非金融機関チャネルは貴重なので今後の業容拡大余地を考慮すると、本提携はそれなりに意義のあるものと考えています。

 

なお財務面に関しては、2018年の二部指定替え時にPO(@2,731)を実施して11億円強を追加で調達していることもあり、ネット無借金状態を継続しています。調達資金は採用費用やRD、引越し費用等に消えてしまった部分もありますが、本来的にはそこまで資金需要のある業種でもないので、現状25%~30%に定める配当性向は今後引き上げられる可能性が高そうです(今期は1円増配の年21円配、配当性向26.6%を予想)。また、当社はその業容的に、より信用力の高い上場市場部へと移るインセンティブが高いと考えられ、実際に昨年9月末時点では既に指定替えの形式基準を満たしている旨をわざわざアナウンスしています。

 

*参考記事① 2019-01-30 1,250円*分割遡及修正済 OP

実績期はキッチリ予算守るが、今期は成長一服。キャピタル・アセット・プランニング(3965)。

 

*参考記事② 2018-01-12 1,715円*分割遡及修正済 NT

想定外の未達決算も、高い成長モメンタム続く。キャピタル・アセット・プランニング(3965)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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