【7522】 ワタミ/渡邉美樹氏がCEO復帰、新業態「白熊商店」の成長が鍵。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7522】 ワタミ (東証1部) NT

 

現在値 1,302円/100株 PER102.2 PBR3.11 3月優待配当 9月優待

居酒屋『和民』等を国内外で展開。高齢者向け宅食サービスも運営、介護事業は売却。

 

配当金は3月一括の7円50銭円配当のため、配当利回りは0.58%となります。
ワタミは3月末・9月末に100株を保有する株主に対して、半期毎に3,000円の株主優待券を進呈しておりますので、合算して配当優待利回りを算出すると約5.18%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年3月期 売上高 1,282億円 経常利益▲11億円 EPS 209.1円
■2017年3月期 売上高 1,003億円 経常利益 7.1億円 EPS ▲46.9円

■2018年3月期 売上高 965億円 経常利益 16.3億円 EPS 3.8円

■2019年3月期 売上高 947億円 経常利益 12.2億円 EPS 35.1円

■2020年3月期 売上高 963億円 経常利益 13.0億円 EPS 12.7円 ce
□2019年9月中 売上高 453億円 経常利益▲2.0億円 EPS▲14.3円(11/14)

2019年9月中間期の売上高は前年同期比2.5%減の453億円、経常利益は同赤字縮小の▲2.0億円と一応の増益は確保したものの、期初予算には届きませんでした。国内外食事業は、予算前提の既存店売上高を100.7%でセットしていましたが、上期16ヵ月累計では100.1%とまずまずの仕上がりとなったほか、「ミライザカ」と「三代目 鳥メロ」の主力2業態の新店についてはそれぞれ計画比116%、131%と順調な滑り出しとなっています。また、宅食事業についても1日あたり配達数は240→232千食に減少したものの、生産性向上施策により利益率が大きく改善しています。その一方、海外外食事業については出店3に対して退店7と純減となったほか、主展開エリアである香港で治安悪化の影響を受けたほか、上海・深センも不調だったため、セグメント赤字にまで転落しており、海外事業が全社業績の足を引っ張った格好となります。


なお2020年3月期通期の予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比1.6%増の963億円、経常利益は同5.7%増の13.0億円と小幅な増収増益を計画しています。国内外食事業の出退店計画については、「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」を中心に、出店35・退店10(前期は出店28・退店15)を見込んでおり、ネット25店の純増を計画していますが、上期末時点で出店16・退店7だったため、やや遅れている印象です。また、国内外食事業の既存店売上高については通期計画の100.7%に対して、既に開示されている9ヶ月累計で99.5%とこちらも多少ビハインドしています。また、宅食事業の配達数も足許12月は1日あたり223千食まで低下しており、相変わらず人員の確保難から拠点の新規開設が進んでいないことが見て取れます。そのため、海外事業も冴えない状況が続くものとすれば通期予算据置は過大であり、今期は未達が濃厚な状況と考えられます。

 

引き続き199円のハイボールを199円で提供する「ミライザカ」と、生ビールを199円で提供する「三代目 鳥メロ」の主力2業態を中心に出店するとともに、「和民」を業態転換ないしスクラップしていくのが基本方針となります。特に「和民」「坐・和民」といった従来型の総合居酒屋は“ワタミ”という響きに良くないイメージがついてしまったことや、昨今のいわゆる“忘年会スルー”に代表される会社の宴会需要が急速に減ったことによる売上減にくわえ、宴会向けの大型座敷席を配した店舗レイアウトがそもそも顧客に馴染まなくなってしまっているといった背景もあるため、基本的にはブランド丸ごと廃止してしまうような方向性とみられます。

 

また、「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」に次ぐ業態の柱については、「白熊商店(白熊ストア)」という新業態を開発しています。今流行りの大衆酒場業態であり、皮串や煮豆腐などのいかにもなB級メニューを廉価で提供するとともに、レモンサワーが通常サイズで既にメガ容量というお得感も演出しています。一見するとパイプ椅子詰め込み方式の薄利多売型業態のようですが、実際はドリンクは特に安くない値付(例:生398円)をしているため、見た目ほど採算性が悪くなさそうです。この他にもテリー伊藤氏コラボのからあげ業態「からあげの天才」を開発し、こちらはFC方式でによる早期収益化を図っていますが、こちらはまだ成否の判断が出来るような店舗数にはなっていません。

 

足許のトピックとしては、昨年10月より創業者の渡辺美樹氏が会長兼CEOに復帰し、「売上高1,000億円復帰、営業利益30億円」という目標をブチ上げていますが、いかんせん復帰してまだ3ヶ月なのでまだ何の評価も出来ません。財務面については、損保ジャパンへの介護事業売却(210億円)で手にしたキャッシュの半分をまだ温存しており、実質無借金状態を継続しています。そのため、今期業績が冴えないためタコ配圏に沈んでしまう可能性があるものの、期初予想の7.5円配は守られる可能性が高いとみております。

 

*参考記事① 2019-07-12 1,536円 NT

業態転換一巡で、ネガティブイメージはほぼ払拭・ワタミ(7522)。

 

*参考記事② 2019-01-07 1,343円 OP

今期業績は久々に予算ペースで進捗、ついに国内店舗も“純増”へ・ワタミ(7522)。

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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